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以前は大変お騒がせしました。 ところで航空力学の序の口の質問で大変恐縮ですが、角型翼端について質問です。 天下のN○Kのあまりの影響力の大きさという事もあり、もはや「総括の体を成していないだろ!」とまでの勢いで酷評されている「零戦に欠陥あり」は有名ですよね。この番組が発端の角型翼端形状に関する批判は誤りだとの論は散々目にし、いくら素人目でもNHKが結果ありきで作り上げた黒だというのは察しがつくのですが、… 改めて翼端形状のこの違いはあまり抗力に影響を与えないという事でよろしいでしょうか。また算出される抗力差は「真っ当な」解析では実際のところいくらの差を生んだとされるのでしょうか。 (あの先生のテキトーな実験!、といくら言ったところで、東大航空の教授が大真面目にやっていた事ですので、私としてはそれに正面切って反論できず黙り込んでしまうのです…。同じく航空分野の知識で○○%の抗力差、などと特定出来ないでしょうか) パンジャンドラム |
- 現代の旅客機に普及しているウィングレットは3〜5%の燃費改善効果があり、国際線で多く採用されたものの国内線ではあまり効果がないとされました。
最近では原油価格上昇によって国内線でも採用されてきてますが、それでもターボプロップ旅客機ではほとんどが角型翼端ですね。
下の方の質問1417で紹介した過去ログにもあるんですが、
歴群33零戦2に掲載の燃費データでは、二一型82L/時・三二型83.3L/時(いずれも333km/h巡航)です。1.6%の差ですが、二二型・五二型ともすべて同じ数値です。
エンジンの違いで差は出ても、翼端形状の違いだけでは誤差程度にしかならないと思います。
超音速
- 他でも指摘されていましたが、後知恵ベースの論は無意味でしょう。
当時の人々が使えたのは「当時判っていた理論」「当時やってみた結果」だけなのですから、今の航空力学による解析をあてはめることに意味はありません。
当時の人々はどう考えていたのでしょう?
WW1頃には意図的な丸はあまり見られず、戦間期で性能的に高いところを狙った機体から丸が見られますね。
BF109のような例もありますが、流れとしてはその後で角が来ます。
F3FやXF4F初期は丸く、F4F量産期は角、が古い例ですかね。
スピット、タイフーンあたりも切り落とし。
トーントレスやデバステーター世代は丸、デストロイヤーやアベンジャーは角。米陸軍だとP-51、P-47Nで角ですね。
セスナは140まで丸、150から角。
レザーバックからの変化も合わせて考えると面白いな、と思います。
六
- 超音速様 ありがとうございます。最大速力に与えた差も微々たるものですし、あの東大航空のセンセイは素人(素人の私がいうのもなんですが)だったのでしょうね。
六様
当時はコンピュータも発達しておらず、○○%の抗力というのはざっと見積もった値に過ぎず、それこそ価値が無いと思うのですが。
別に古くてもいいのですが、正確な抗力差を提示できればしてほしいというだけの話に過ぎないのであしからず。
私は現代の航空力学を「後知恵」と一蹴する向きは寡聞にして知らないのです。
後発技術などがタブー視されるのは戦史とかであって、例えば考古学などは戦後の新しい解析技術無くして成り立ちませんよね。
パンジャンドラム
- 東大航空力学の権威を相手に素人などとは筆が滑りました。
件の角型翼端でN○Kに乗っかってしまったのはおそらく彼の偶然のミス、猿も木から落ちるというものでしょう。
ともあれ、航空力学に詳しい方から、角型翼端と丸翼端の抗力差に関して、N○Kの番組の翼端問題を白か黒かジャッジしてほしいです。
零戦の精緻なモデルなどそうそう無いでしょうが、それに拘泥する必要はありませんよね。今は大学の研究室でも簡単な航空機の設計をやっている時代です。(既にN○Kが黒だと分かりきっているかの態度で尋ねるのも何ですが…確認も兼ねて、です)
パンジャンドラム
- ttps://aviation.stackexchange.com/questions/20945/why-are-modern-aircraft-wings-often-pointed-instead-being-more-rectangular
中にグラフがあります。
1930年代後半、誘導抗力が最小になるとして楕円翼が広く知られましたが、工作に不利な楕円翼の代わりとしてテーパー翼+丸型翼端ならほとんど同じ特性が得られると考えられました。
しかし、誘導抗力を減らすには適切な捩じり下げと翼端付近での下面削ぎ上げであって、これらの処置がしてあれば翼端形状の丸型・角型の違いによる差はないと判明してきたのだと思います。
同じく誘導抗力を減少させるものとして大戦後にウィングチップタンクが流行ったことがありますが、やはり一過性のものに終わってます。
ウィングレットなら目に見える効果があるものの、現代では丸型翼端は単なる美学とか宗教的とかそんなふうに切り捨てられてますね。
超音速
- 超音速様 ありがとうございます。
二号零戦の角翼端の抗力に対する批判はやはり言い掛かりという事ですね。
あの東大教授は確かに頭が良いかもしれないけど、ちょっと知識のアップデートが済んでなかった。あの番組自体14年も前のものですし。しかし割と近年まで丸翼端を良しとする面々が残っていたという事でもあります。
というかあの番組の零戦三二型失敗論は総じて失笑モノです。角翼端批判に限らず。
パンジャンドラム
- 翼端の形状のみの変更と勘違いされてる気がするのですが
曽根さんの記述も大学の先生も翼端の変更は丸型に翼を延長しての変更と捉えているのでないでしょうか
翼端を延長すればアスペクト比は大きくなり当然誘導抵抗も減少します
Tu
- >>Tu様 回答ありがとうございます。なるほど、角型よりもアスペクト比を言いたかったのに説明の迂遠さが誤解を招かせていたとしたら納得がいきます。本来教授が初歩的な解析ミスなどあり得ないでしょうから。
しかしN○Kの番組では専ら「角型」という呼称にのみ徹しており、何ら事の本質であるアスペクト比への言及がない以上、説明の片手落ちですよね…。アスペクト比が問題の本質ならそう付しておくべきですし、あれをストレートに受け取れば角型が悪いと断じたとしか受け取れません。
パンジャンドラム
- 科学とTV番組の関わりについてのみ述べますが、TVの製作時、一から十まで研究者が関わることはまずありません。あちらが情報を持ってきて「これ、こういうことですよね!」みたいなネタを説明するのが普通です。どれだけ説明しても制作側が理解してくれなければ番組には反映されません。
よって、最終的にできあがった編集済み・ナレーション入りのものを見て「あいつはこんなバカなことを言ってやがる」的なことを言われると、研究者もつらい場合があるかな。
とおり
- 再度言いますが、三二型・二二型・五二型とみんな同じ燃費率です。
アスペクト比と誘導抗力だけが本質ではありませんね。
そもそも翼面積を削ったので有害抗力が減るはずです。
ほかにテーパー比も捩じり下げも変わりますし、水平尾翼の取り付け角も変えています。
件の番組は詳しく覚えていないのですが、そこまで徹底して検証したのでしょうかね。
超音速