1471 キ87、キ94の完成が遅くなるため開発が命じられた四式戦疾風の高高度型キ841改は「使用エンジンはハ三四五(ハ四五 四四型の仮称)。主翼面積は主翼先端を片側約五○○ミリずつのばして二二・五平方メートル。プロペラ直径は約三・五メートルとする。」「主翼面積を一平方メートルふやしたこと、高空における方向安定を確保するため垂直安定板および方向舵をそれぞれ一○%大きくしたこと、プロペラ直径が大きくなったこと、このため脚柱もながくなったこと、エンジンが一○○キロ重くなったなどの理由で、自重はキ84にくらべ約二○○キロあまり重くなった」「キ841改の最大の特徴は、プロペラをキ84の三・一メートルにたいし思い切って三・五メートルとし、プロペラ効率を第一として上昇性能の改善をねらった点だが、」
とあります。
設計部第二課吉田熊男技師のメモに依る為「実際値では無い」事に注意ですが、エンジンの100キロを包含して200キロなのですから、引く100キロの、100キロ分が主翼延伸と脚強化なわけですね。
四式戦闘機のプロペラを三・五メートルにすることによる重量増加は、せいぜい百キロ未満程度であったということが伺えます。
この重量増加をきらって、三・一メートルのプロペラを採用したことは、返す返す悔やまれましが、実際問題として四式戦をプロペラ直径三・五→三・一メートルとしたときの試算としてどれだけ純粋な重量が軽減され、それは効率の低下に見合うものだったのでしょうか。
げしゅたぽ

  1. 四式戦闘機のプロペラは重量185kg。
    3.5m×3翅の銀河のプロペラは190kgです。
    超音速

  2. 脚の重さはどう重くなりますか?
    あと、
    すみません、三翅と聞いて思い出しました。三・五メートルという直径は脚など付随的問題を除いても、振動問題を生じていたのを思い出しました。
    彩雲試作機は三・五メートル×四翅で大減速比であり、量産型の三翅より遥かに好結果を出している例ですが、振動問題がありましまね。量産機では効率の低下を承知で減速機0.5誉・三翅に改めざるを得ない(ただし試作機と量産機では減速機・プロペラ以外の要素が多く排除できないため三・五メートル三翅の方が額面ほど劣るとは思いません、表面処理など)ため、三・五メートルでも高効率とは限らないですね。更にこれでもまだ振動問題が尾を引いていた様で戦争末期には振動問題を克服し「本来の薄いプロペラ」に変更したところ大きく高速化したと堀越氏の寄稿がありました。

    悲劇の発動機誉によると本来の誉は減速機の関係上減速比は0.5を下回れないため、高回転の誉を大直径四翅の様な低速回転とするには減速機をファルマン形式とした二二型/二四型(量産されず)が必要となりますから、大直径×四翅には手が出し辛い状況も理解しております。
    その中間に位置する三・三メートル四翅の場合と三・一メートル四翅の場合とを脚込みの軽量化度合で比較したいと思います。
    げしゅたぽ

  3. 紫電の三・三メートル四翅は203kgとあります。あとは脚柱の短縮による軽量化がプロペラ効率低下に見合うものだったのかを、知りたいです。
    どれだけ軽量化に貢献したか。
    四式戦疾風に三・五メートルとの比較は、実用的な話では減速機及びプロペラ振動問題対策後の形態で評価しないといけないため、取り下げることにします。
    げしゅたぽ

  4. 四式戦のクリアランスは38.5cmで(3.0mペラの初期型)紫電改の3.3mペラがそのまま取り付けられそうだと以前言及したことがあります。
    http://www.warbirds.sakura.ne.jp/ansqn/logs/A004/A0000751.html

    ちなみに紫電11型のクリアランスは20p、F6FやF4Uなどは20p未満です。
    超音速

  5. すみません、クリアランスというのは推力軸(水平時)の地面とのクリアランスという事でよろしいでしょうか。
    げしゅたぽ

  6. 水平姿勢・静荷重においてプロペラ回転面下端と地面との間隔です。
    何センチあればいいというものではないが、他機種と比較するに四式戦の38.5cmは結構余裕があるようなのです。
    超音速

  7. ああ、失礼しました、お恥ずかしい。
    総合すると、あまり(言われるほど)軽量化に貢献していないと見てよろしいですね。
    プロペラ本体の20kg余りは、もともとキ84の設計が全備3250→3560kgに拡大した時点で重心を合わせるために前部胴体を15センチ延伸のうえ、酸素ボンベまで前進させる必要があったことを考えると、前が重くなってバラスト追加の要は無いと見えます。
    蓋を開けてみれば中途半端な軽量化成果で何となくやり切れません。
    げしゅたぽ

  8. 試製彩雲に対して彩雲11型は最大速度が遅くなりましたが、上昇性能は良くなりましたね。
    ペラ先端速度が速くなることで低空低速でのプロペラ効率は向上したのです。
    四式戦もエンジン減速比を変えずに3.3mペラを装着したとすると同じように低空低速性能は向上するが、高空高速性能は悪化するはずです。
    超音速

  9. 試製彩雲の上昇力ソースをどこかに埋もれてしました。
    確か量産機に対して、試作機は7分36秒/6000mで、強制冷却ファンのお陰で低速でのプロペラ効率低下を補ってあまりあるものだったと記憶しています。
    もっともこれは特殊な例で、おおむね上昇力(レシプロ機においては低速域プロペラ推進効率)と高速力(高速度域効率)はトレード・オフである旨承知しております。

    丸2018年2月号付録によると、6分26秒/5000mの計測条件は吸気圧+250mmHg 2600rpmと、混合気調節機構対策前であり油温・筒温異常上昇問題により長時間の低速高出力運転出来ていない状態のものであると考えられます。要求の五分/5000mを満たせなかったのは、プロペラでは無いと考えます。
    本来の量産四式戦は三・一メートルでももっと高い上昇力を発揮していたので、必ずしも間違っていたとは思いません。
    むしろプロペラを拡大するよりも三・一メートルでも脚柱をその分短くして軽量化していれば、という方向の方が今は気持ちが強いです。
    むしろ四式戦闘機は脚短縮で軽量化していなかったのかという気持ちが強いです。ありがとうございました。
    げしゅたぽ


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