1474 九七式司令部偵察機二型、固定脚機ながら500km/hを突破する高速機でありますが、(不可能を承知で)引き込み脚機に改良できていた場合、どれほどの高速機になり得たでしょうか。
げしゅたぽ

  1. ざっと計算しましたところ、抗力が92.4%に減少し、したがって速度は530km/hに向上する見込みです。
    超音速

  2. もう一声と欲しくなる値ですが、新司偵一型とほぼ同等と考えると善戦してはいますね。意外にも固定脚が優れるを知り驚きです。エンジンをハ102に強化した場合も、新司偵の二型の600km/hに迫れますか。
    げしゅたぽ

  3. すいません。少し計算ミスしました。523.6km/hです。


    950馬力になっても533.1km/hにしかなりません。
    超音速

  4. 新司偵の様に双発機により翼面馬力を上げるしかないということですね。ありがとうございました。
    因みに抗力○○%増大で速度低下は○○%という関係性を教えて頂けますか。
    げしゅたぽ

  5. >超音速様
    すいません、その「ざっと計算」というのは、一体どのようなものなのでしょう。何か解析ソフト等を使ってらっしゃるのでしょうか。
    便乗質問となってしまい、無礼は承知していますが以前から気になっていたんです。

    複雑な内容でしたら簡単な概要だけでも構いませんので、もしよろしければ教えていただければ幸いです。
    みいつ

  6. まず抗力の算出式を使います。
    D=p×V^2×S×Cd/2
    D:抗力(N)
    p:空気密度(kg/m^3)
    V:速度(m/s)
    S:代表面積(m^2)
    Cd:抵抗係数

    主脚部分の側面積を図面でざっくりと測って、両脚で2.5m^2とします。
    翼断面型に成形されたスパッツはCd値0.015と推定します。NACA0021のチャートを参考にしました。
    速度510km/h(141.67m/s)、高度4330mの空気密度0.7987kg/m^3を代入すると、300.567N。
    これが主脚部の抗力です。D:抗力の単位はニュートン(N)なので9.8で割って30.67kg


    次は全機抵抗を算出します。
    推力馬力の算出式を使います。
    P×np=F×V/75
    P:軸馬力(hp)
    np:プロペラ効率
    F:推力(kg)
    V:速度(m/s)
    軸馬力900hp、プロペラ効率85%、速度141.67m/sを代入すると推力405.0kg。
    水平等速飛行なら推力と抗力が等しいので抗力も405.0kg。
    ここから主脚部の抗力を引くと405-30.67=374.33kg
    再び単位をニュートンに戻し3668.434N

    抗力式を移項し、
    S×Cd=2×D/(p×V^2)
    Dに3668.434、pとVは既知であるため、S×Cd=0.45768979942が求められる。

    推力馬力式のFをD/9.8に置換し、次のように整理する。
    P×np=p×V^3×S×Cd/1470
    V以外は既知であるので、移項してVを求める式にする。V^3=P×np×1470/(p×S×Cd)
    V^3=3,076,265.7632
    あとは立方根するだけ。
    V=145.4369したがって523.5728km/h
    超音速

  7. 統一懸吊架のときもこの手法を使いました。
    しかし某質問主さんには詳細を聞かれることなく、ただの手計算で誰が決めたとも知らない計算法であり信用ならないものと切り捨てられました。

    まあ、その通りなのは事実であり、信じるかどうかは質問主さんの自由です。
    間違いのご指摘は大歓迎であります。
    超音速

  8. 解説がとても丁寧で素人の自分にも概ね理解できました(できた気になった?)。しかしスパッツのCd値の0.015のところのくだりがよく分からなかったのですが。
    げしゅたぽ

  9. 抵抗係数Cdに対して、適用されるのは側面積ですか?前方面積はどう扱うのか分かりません。
    510km/hの機体にとっても固定脚の効果は若干ともいうべき13km/hともなると、単発攻撃機の類は引き込み脚の導入はかえって改悪にならないかと思ってしまいますが。たとえば、天山やSB2Cなどが引き込み脚を備えた理由が、説明がつかなくなってしまう様な気がします。三点着陸ですので、ドシンと衝撃荷重がかかります。
    この辺が逆にモヤモヤする次第であります。
    げしゅたぽ

  10. いえ、不時着水時にひっくり返るは座視できぬ問題でした。以降はある程度間を置いてから初歩的な手落ちの無いように努めて書き込むように致します。
    げしゅたぽ

  11. 代表面積というのは普通は正面面積を使いますが、翼の場合は翼面積×Cd値(抗力係数)で抗力を算出します。
    ここでスパッツは小さな翼として取り扱ってますので側面積×Cd値で計算しています。
    NACA0021は翼厚比21%の対称翼です。スパッツの断面型に近いものとして参考にしました。
    実際にはタイヤ露出部によりもう少し抵抗は大きくなるだろうと思います。
    九七司偵は軽い機体なのでタイヤも細身(幅12.5cm)で、タイヤの抵抗は無視できるものとしました。
    これが九九艦爆のタイヤだと幅20cm、天山は28cmです。つまり機体が重くなるとタイヤも大きくなる。いくらスパッツで整形しても面積自体がとても大きくなり、タイヤ露出部の抵抗も無視できなくなります。
    飛行機の引込脚化が大型機から始まっていったのはそういう理由もあるのです。
    超音速

  12. なるほど!。納得の行く解説をしていただきありがとうございます。タイヤの幅は盲点でした。
    げしゅたぽ

  13. 丁寧に解説していただきありがとうございます。
    恥ずかしながら、そもそも抗力計算の考え方を理解していませんでしたので、大いに参考にさせていただきます。
    超音速さん、ゲシュタポさん本当にありがとうございました。
    みいつ

  14. この手法の使える範囲は限られています。
    全機抵抗のうちS×Cdを一定値として扱ってますが、これは高速域だけでできる話で、中低速になれば誘導抗力も算入しないといけません。
    ほかの目的に使うなら十分注意してください。

    老婆心ながら補足します。
    超音速


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