1558 誉の鋳込みフィンについて教えてください。
本やwebを見るとこのフィンは予め機械加工された小片のピース?と見受けられるのですが、鋳造で作られるシリンダヘッドとの結合方法がよく分かりません。
奇跡の発動機、なども一通り読んだのですがその製造工程については、地獄絵図のようだった、と書かれているのみで加工法がよく分からないのです。
ブルノー式については現代の情報などを探して、何となくこれは木型の下方から加圧した湯を注入する方法かな、と理解出来たのですが鋳込みの方、良い情報源などありましたら是非教えて下さい。何とぞよろしくお願いします。

MI66

  1. Wikipediaは読まれましたか?

    引用
    「あらかじめ製作しておいた一枚一枚形状の異なるアルミニウム製の薄いフィンをシリンダーヘッドの鋳型にはめ込んでおき、そこに鋳込むことでフィン以外の部分を形成するという方法」
    超音速

  2. 超音速様、ご回答ありがとうございます。
    Wikipediaの記載については確かに少し詳しいですが、この工法に疑問を覚える次第です。

    具体的に言うと、例えばフィンと金型の関係。
    鋳型は砂型だと思っているのですが、厚み1mmのフィンを一本一本、型に差し込む?作業がちょっと想像し難いのです。
    治具を作ってまとめて扱うとなると、鋳型製作後の打ち込みがちょっと想像できないもので砂型製作時点で予め型にはめ込んでおくとすると今度は鋳型の製作に困難を極める。と言った具合。

    さらにフィンとフィンの間の外壁に着目します。
    溶融したアルミ合金を流し込むと、鋳造後、冷えて固まると収縮してしまいますからフィンの保持を余程上手くしないと隙間が空いて、抜け落ちてしまいます。
    この、余程上手く、のところがうまく説明出来ないのですが、例えばフィン1枚だけなら、焼きばめのような効果でしっかり保持されることは理解出来るのですが、2枚3枚となって来た時にはフィン間のピッチも収縮してしまうのでフィンを固定しておくことは出来ず、固定をしないと、隙間から湯があふれてしまうので今度は鋳造の姿が浮かばない、と言った具合です。
    まさしく、ちょっと気になると夜も眠れない、誰か助けて〜と言った状況なのですが、どこかに図解の資料などは、ないでしょうか…。
    MI66

  3. 私もこの題目は、これまで解ったつもりでいてどこか噛み砕き切れていない思いを抱えたまま、なんとなく看過してきておりました。ぜひ知りたいです。
    DDかず

  4. ちょっと可能な方法を考えてみると部分ロストワックス法当たりがさしあたり思い付きます。
    この方法かは解りませんが、可能性はあると思います。
    まず、フィンの部分以外の型を作りフィンの部分をワックスで作り嵌め込む様にする。
    ワックス型にはフィンを埋め込んで置く。
    基の型に砂をかけて埋め込んで砂型を作る。
    フィン以外の型を取り外し加熱してワックス
    青江

  5. 失礼操作をミスりました。
    ワックスを取り除き鋳型にする。
    そんな所が、一番簡単に考えつく方法ではないでしょうか?
    青江

  6. >>2
    3段落目に関して

    アルミのフィンにアルミ(湯)を流しこむ訳ですから、境目が一旦溶けた後に固まり「一体」になるのではないですか?
    フィンと鋳物の成分が微妙に違うので、境目にどちらとも違う材質の層が出来る可能性が有りますが、強度が必要な場所じゃないので問題ないと思います。

    フィンが溶け込まなくてもロウ付けやハンダ付けと似た状態ですから外れる事はないと思います

    「焼きばめ」は「固形と固形をはめあう事」ですから、液体を流し込んで固める場合には使わない言葉だと思います。
    流し込みで作る鋳物の場合は「鋳ぐるみ」だったと思いますが、シリンダーヘッドの場合はフィンを「くるむ」わけではないので呼び方に確証はありません。

    ちなみに当時の星型エンジンのシリンダーとヘッドが「ねじ込み+焼きばめ」のようです
    http://www.sun-inet.or.jp/~ja2tko/sangane.engine/se.tyousa%20zerosen.htmlの2項4と2項5参照
    こちらの「★シリンダとピストン/Cylinder, Piston」の項にも「焼きばめ」とあります
    http://www.w2design.co.jp/TimeslipR1340_a.html
    まやん

  7. >>2
    2段落目に関して

    こちらは予想です(鋳物屋じゃありません)
    当時の工法に詳しくないので、現代の工法で考えてみます

    「ロッカーアーム室(耳のような部分)の中まで中子を入れる必要がある事」と「フィンの溝が楯(y軸方向)に走っている」ので横方向(x軸方向)に型を分割していたと予想します
    耳の部分の断面は斜めに切りあがるか、別体の砂型かな?
    砂型の合わせ面がhttp://www.sun-inet.or.jp/~ja2tko/sangane.engine/se.tyousa%20zerosen.htmlの5項の断面に近くなると思います

    フィンに関してはhttps://www.nc-net.or.jp/company/47507/product/detail/30589/の4分02秒に出てくる「別体で固めて型に差し込む方法」があるようです
    今は薬品(だったかな?)で砂を固められるのですが、当時がどうだったのかは不明ですから、当時この工法だったかどうかは不明です

    別の方法として「砂で固める前に差し込んでいる」可能性も有ります
    https://www.nc-net.or.jp/company/47507/product/detail/30589/の2分03秒の画面手前に、アミが先に砂型に差し込まれています

    ネットで写真を探したけど実物の写真が見当たらないので予想しづらいですね
    どこかに実物の写真は無いでしょうか?
    まやん

  8. 酣燈社の中島飛行機エンジン史 によりますと鋳込みフィンは正田飛行機(株)に外注したそうです
    「正にそれは工芸品であった。ひれとひれの間の型鈑とひれの外側の型鈑、何れもクロム,モリブデン鋼で削り出してあったが、これを丹念に重ねて鋳型を作りひれを組み込み、これにシリンダーの他の部分を鋳込むのである」
    「試験の成績は悪くなかった。通常のひれのものよりシリンダー温度が10度C位低かったと思う」
    「鋳物の湯がつがれて砂型の中から金型もろともとり出されるのだが、かなりの温度のところで間にあるクロム鋼の型鈑を引き抜かねばならぬ」
    「これが熱い中で行われるので作業員は耐えられぬような熱さの中で作業している」
    「型の温度が下がると型鈑が引き抜けなくなってしまうのである」
    「そのうちに住友金属工業がブルノー方式によって5mmピッチのきれいなひれの鋳物に成功した。詳細は覚えていないが、現在のダイキャストの前身のような、圧力による鋳込み方式であったと思う」
    ガス欠

  9. おお!諦めかけていたのですがこんなに回答が。感謝。

    DDかず様、青江様、貴重なご意見と情報有難うございます。まやん様、動画の紹介や詳しい解説のサイト、誠に参考になりました。そして鋳込みのイメージがだいぶん膨らんできたところに、ガス欠様の貴重な情報で私の中でひとつのイメージを持つに至りました。
    私はフィン自体を鋳込んでいたとばかり思っていたのですが、次のような構造が見えてきました。

    *エンジン全体としては砂型。
    *ただしフィンの周りはザックリ大き目に砂型を削り取っておく。
    *予め作っておくのはフィンではなく、フィンとフィンの間の型鈑、これが重要。
    *この型鈑同士を何らかの方法で一体化しておく。
    或いは大きめの母材から必要な部分を機械加工で削り出したものを金型として製作しておく。
    *上で作った金型を、先の砂型にはめ込む。
    *後は中子などをはめ込み、通常通りの砂型鋳造を行なう。

    ガス欠様情報の、「砂型の中から金型もろともとり出される」や「鋳物の湯がつがれて砂型の中から金型もろともとり出されるのだが、かなりの温度のところで間にあるクロム鋼の型鈑を引き抜かねばならぬ」
「これが熱い中で行われるので作業員は耐えられぬような熱さの中で作業している」
「型の温度が下がると型鈑が引き抜けなくなってしまうのである」でだいぶスッキリしたように思います。本当に有難うございました。

    後は蛇足になりますが、

    *この時の湯の注入方法で上からバケツをひっくり返すような入れ方が通常であるがこれだと湯に空気が入り込み鋳物に巣として残る。特にフィンのような薄い部分で強度不足や割れを招く。
    *そこで砂型の下方から圧をかけた湯を注入すれば型の空間内の空気を上方へ押し出して巣の発生を防ぐことが出来る。これがブルノー式。
    *圧のかけ方次第ではあるが型の細部にも湯が入り込みやすくなり、薄いフィンの工作精度が向上する、或いは鋳込み用の金型は必要なくなる。

    こんなところでどうでしょうか。
    しかし、「正にそれは工芸品であった」のくだりは感慨深いですね。兵器としての生産性云々の見方もあろうかと思うのですが自分は率直に言って感動を覚えました。実物を見てみたいものです。

    MI66

  10. サイズ制限で小さいですが
    http://warbirds.sakura.ne.jp/BBS/gazo2/img/4673.jpg
    ガス欠

  11. ブルノー式は、金型鋳造です。
    ケンジ

  12. 河口湖自動車博物館に実物があります。
    ただし例年8月しか公開されません。
    今年は公開中止でした。
    超音速

  13. >>10
    かなり密なフィンですね

    全体が見れる訳ではないので確証は無いですが、フィン側面と上面に継ぎ目がないように見えます
    と言う事は、ヘッド中段から下は間に型板をはさみながら「輪のような形状のフィン」を積み重ねていく
    その後に「正面から見てL字に見える輪のような形状のフィン」を数枚重ね、その後に側面と上部の「半月状態のフィン」をはめ込み、周囲を型で囲い固定する
    「輪のような形状のフィン」部分に挟み込む型板は分割できるようにしておく
    中子は先に入れておくか「輪のような形状のフィン」を積み重ね終わった時点で入れ込んでおく
    最後に「>>8」に記載されてるように出来上がったフィンの塊を砂型にいれて残りを鋳造したのでしょうね

    >>9
    フィンも先に作っておいたんじゃないでしょうか?
    「>>8」の文献に「これを丹念に重ねて鋳型を作りひれを組み込み」とあります

    まやん


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