1571 今でこそ英語で "fighter" (fighter aircraft) といえば日本語の戦闘機と同義ですが、本来はボクサーなど拳で戦う格闘家を指す語であるはずです。日本語に直訳するなら「拳闘家航空機」または略して「拳闘機」などとなろうかと思います。翻って他言語に目を向ければフランス語、ドイツ語、イタリア語、その他欧州言語圏ではほぼ共通して日本語の「狩猟」「追いたて」「山狩り」または「駆除」などに該当する語と航空機に該当する語の組み合わせで形成されており、同様に米陸軍が用いた "pursuit airplane" もこれに近い語と言えます。これら英語を除く欧州言語と古米国英語では他の軍用機と同じくミッションをストレートに言い表しているのに対し、現英語だけが異なる表現に至ったその理由や発生および形成過程をご教示願います。ただし米陸軍でも "fighter multiplace" という語があったり、戦闘機集団では "fighter" を用いていたり、米海軍では "fighter" を古くから用いているなど、古米国英語でも "fighter" は用いられていたことは承知しております。
DDかず

  1.  英語の戦闘機は、初期にはScoutを使用しています。名前通り、偵察機から発達したためですが、これが実情にそぐわないためでしょうが、1920年代初期にイギリス空軍はFighterに変更します。この改称以前に、この名は、おそらくはブリストル・ファイターに由来するのではないかと思いますが、複座戦闘機の名称として使用されており、スカウトは単座戦闘機のことでした。他の国々が、いつごろからHunterに相当する言葉を使用していたかは存じませんが、アジア歴史資料センターに残るものでは1922年に在米、在仏大使館付海軍武官間での往復文書「我航空隊の飛行機数人員等問合せの件」に、戦闘機という言葉が載っています。また、旧日本陸軍の校式二型試作戦闘機は1922年の初飛行ですが、いつからこの名称になったかは存じません。「日本国語大辞典」は1936年に川端康成が書いたものを戦闘機の初出としていますので、一般に広まるには10年以上かかったわけですが、イギリスがFighterに名称変更したので、日本もそれに追従したのだろうと思われます。したがって、イギリスでの改称時期は1920-2年なのだろうと思っています。
     英語圏以外の各国がHunterに相当する言葉を戦闘機の意味で使用していることについては、よく分かりません。ただ、第1次大戦時の戦闘機の発達はフランス空軍のギャロス等がリードしていますので、もし、フランスが改称したなら、他国が追随しても不思議はないと思います。ただし、イギリスのフランスに対して持っている感情を考えると、わざと違う名称にしたというのは、ありえなくもないとは思っています。
     
    hush

  2. >1. 特定の航空機名に由来し、かつフランスに対する対抗意識であれば納得がいきます。もしブリストルがF2をレスラーと名付けていたら、今頃英語圏では "wrestler aircraft" または "wrestler aerocraft" であったのかもしれません。
    ちなみに私は "chasse", "jagd", "caccia", "pursuit" は全て飼い主である猟師の元、猟犬たちが獲物を追いたてるイメージで、戦闘機の役割表現としてかなり的を射ていると感じています。
    DDかず

  3. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC

    ファイターの英語の本来の意味は「戦士/戦闘を行う者/格闘家/戦う者全般」ではないですか?
    ですから、「ファイター(戦闘を行う者)」の「者」を「機械(飛行機)」に当てはめて「戦闘を行う機械(飛行機)=ファイター」と名付けたのは正しいんじゃないでしょうか?
    で、日本は「ファイター(戦闘を行う者)=戦闘機(戦闘を行う飛行機)」と直訳したのも正しいと思います。

    ボクシング用語の「ファイター」は、戦い方のタイプを指し示す単語(インファイターの略)で、ボクサー(拳闘士)の事では無いはずです。
    ・ボクサー=拳闘士/拳で戦う者
    ・インファイター(略してファイター)=内に入り込み戦う者/攻撃的な戦い方の者
    ・アウトボクサー=距離をとって戦う拳闘士

    翻訳(造語)を「拳闘機」とするなら、元の単語が「ボクサー(拳闘士/拳で戦う飛行機/ボクシングを行う機械)」になるはずです。
    まやん

  4. >>3 新しい何かが生まれた時にそれをどう呼ぶかは、それをどう定義するかによって変わります。

     戦闘機を「戦闘を行う機械(飛行機)」と定義づければ確かに「Fighter aircraft」は正しいのですが、米軍などでは「敵の爆撃機を追撃する飛行機」として「Pursuit aircraft」を使っていますし、>>1や>>2で解説しているとおり非英語圏では「敵飛行機を狩る飛行機」として日本語に直訳すれば「狩猟機」になるような単語を使っています「フランス語:Avion de chasse」「ドイツ語:Jagdflugzeug」。
     ちなみにそれらの非英語圏の言語で「戦闘を行う飛行機(フランス語だと:Avions de combat 、ドイツ語だと:Kampfflugzeug)」はいわゆる「戦闘機」ではなく、現代的なマルチロール機を意味する単語になります。
    おうる

  5. >>4 訂正

    ×:米軍などでは
    〇:WW2以前の米軍では
    おうる

  6. 戦闘機の名称が各国でバラつく最大の要因は戦闘機という機種が偵察機、爆撃機の後から、いちばん最後に生まれたからでしょう。そうでなければKampfflugzeugは戦闘機を意味していたかもしれません。
    BUN

  7. >>4
    新しい何かが生まれた時にそれをどう呼ぶかは、「その国が」それをどう定義するかによって変わります。

    もしくは

    新しい何かが生まれた時にそれをどう定義するかは国や地域や軍の歴史や文化によって変わります。
    まやん

  8. 米空軍のfighterについては、(陸軍航空軍の)pursuiterを直接に呼び替えたものでは決して無く、(廃される)attackerとpursuiterとを統合する種別である事は、はっきりしています。
    米空軍の「戦闘機」とは空対空戦闘「だけ」を行う機種では無く、攻撃機と追撃機を統合した、対地であれ対空であれ戦闘を行うという意味の「戦闘」機なのです。
    にも@遅くなり。


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