1581 ドイツ空軍におけるエンジン換装の事情について質問します。

ユンカースJu88:初期型(A型等)yumo211ないしyumo213→後期型(C型夜戦ないしS型等)BMW801

フォッケウルフFw190:初期型(A型等)BMW801→後期型(D型)yumo213

つまりエンジンの装備状況が、両者で改新ではなくクロスオーバーしているのです。これは何らかの機体技術・戦術上の要求によるものでしょうか?それともエンジンの生産・供給上の事情によるものでしょうか?

また他方ではJu188のA型、E型のように両者を並行装備しているものもあり、こうなるともうわけがわかりません。

エンジンの換装は生産ライン及び整備部隊に重大な影響を及ぼすものですから、安易に行われたものとは思えませんが、このあたりの事情について詳しい識者の方、どうか教えてください。

備後ピート

  1. BMW801 Jumo213 は同クラスなので、ある意味互換性があること。
    なので、機体の用途によって、エンジンのタイプを選べること。
    Ju188のA型とE型などは、発動機の供給状況次第でまさにどちらを載せてもよかったわけです。

    BMW801には、緊急出力のある戦闘機用エンジンとしてのタイプがあったので、Ju88を戦闘機的に使用する場合こちらを選んだ。

    だが、BMW801全開高度の関係で高高度戦闘に不利であり、この点に有利なJumo213 の戦闘機型エンジンが遅れてやって来たので、Fw190はこれを装備した型を作った。


  2. Ju88A系列はJumo213を積んでいないと思います。

    BMW801装備のJu88RやG-1が配備され始めるのは1943年末ごろのようです。
    Fw190にBMW801が優先されたためなかなか供給されなかったからです。

    一方Jumo213を装備するJu88G-6の生産は1944年後半からみたいです
    213は211の発展型ですが、既存の211の生産量を落とさないようにするため、213の生産が軌道に乗るのが遅れたそうです。
    超音速

  3. 片様、超音速様、回答どうもありがとうございます。

    個人的にはフォッケウルフがそうであるように、Ju88も後期になればエンジンをJumo213に統一してBMW801を切り捨てればと思ってましたが、生産調整その他の理由でそうもいかなかったようですね。そうするとむしろどちらでも装備可能なようにした機体設計が良かったのかな?

    「Ju88を戦闘機的に使用する場合」とはJu88の夜間戦闘機型の場合でしょうか?連合軍戦略爆撃機に対して全開高度の問題はどうなるんだと思いましたが、夜間戦略爆撃機の場合、侵入高度はそんなに高くないんですね(ランカスター:7460m、ハリファックス:7315m、スターリング:5030m、いずれも実用上昇高度。マイケル・E・ハスキュー著「比べてわかる第二次大戦兵器図鑑」より)。納得がいきました。

    備後ピート

  4. 1943年以降はモスキートへの対処が急務になってくるんで、BMW801の割り当てがやっと回ってきたのかなと思います。
    超音速

  5. 戦争後半のエンジン選定は性能面だけでなく、ジェットエンジンの生産に大きく影響されています。
    ユンカースJumo004の生産によってJumo系エンジンのBMWへの換装が促進され、BMW003の大量生産が準備されると残るDB系への換装計画が進みます。
    新しいエンジンは敵の何々機に直ちに対抗するといったような即応的な性能面の問題で選定されていた訳ではないのです。
    BUN


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