1594 零戦とF4Fの損害比率の資料についてのお尋ねです。
零戦とF4Fの損害比率を考える上で信憑性のある具体的な出典や記録などがあればお伺いしたいです。

以前「ミッドウェーより前の時点での彼我の損害比率が1対1.7であった」という主張が米軍側の過大戦果認識を多分に含んでおり眉唾物であるとする論をみつけました。
(曰く、「昭和17年の5月8日の珊瑚海海戦において零戦18機の6個小隊を含む攻撃隊が敵艦隊上空でF4F・SBD編隊と交戦した。この際米軍はこの際22機を対空砲と合わせて撃墜したと記録している。しかし実際は零戦の損失は不時着水した1機のみであった。」という内容。)

同様にこちらとは別の質問欄の記録にても、私と同じく零戦とF4Fのキルレシオについてのご質問をなさったAAA様に対し回答者様のT216様が
5月8日の敵艦隊上と空味方艦隊上空両方の空中損失のみの合計の記録として「3機未帰還+3機不時着水」の零戦と「14機喪失」のF4Fというご回答をお残しになられています。

1対1.7でF4Fが優勢という主張の方の「1.7」という数字については
「The First Team」という書籍にて3機の九六艦戦を含めた17機の日本海軍戦闘機の撃墜に対しF4Fは10機を失ったという記述があるらしく(珊瑚海海戦だけかウェーク島の戦い等を含むのかは不明)、もしかするとそれがソースなのかも知れないという一定の目星をつけたのですが
一方でそれに懐疑的な立場の引用元などは自分自身で見つける事が出来ませんでした。

上記T216様のご回答の引用元等を含めて、ご教示頂けないでしょうか?
ねお

  1. 5月8日の米艦隊上空での零戦の損失は1機のみという記述については、日本軍側もF4Fを6機SBD15機の米軍損失に関わらずグラマン戦闘機32機体カーチス爆撃機17機撃墜の過大認識をしていた、といった内容も書かれており、双方の損失を照らし合わせたかのような記述がありました。

    仮に上記を鵜呑みにするのであれば、F4Fは「The First Team」の交換比率と辻褄を合わせる為にそれ以外の戦闘にて自隊の損失を4機に抑えたまま九六式艦戦を3機零戦を13機落とす必要がありますし、T216様の回答にあった空戦で14機喪失という話とは既に食い違いが生じています。
    日米一方の損失だけが大きく食い違うならともかく、日米ともに喪失数がそれぞれ食い違う(ように推測される)ので、改めて双方損害記録の内訳を詳しく照らし合わせてみたいと思いました。
    ねお

  2.  https://www.history.navy.mil/research/library/online-reading-room/title-list-alphabetically/b/battle-of-the-coral-sea-combat-narrative.html
     のRESULTS OF THE 7THの欄には喪失したF4Fは3機となっています。
     なお、ヨークタウンの戦闘記録 https://www.ibiblio.org/hyperwar/USN/ships/logs/CV/CV5-Coral.html では2機、レキシントンのそれ https://www.ibiblio.org/hyperwar/USN/ships/logs/CV/cv2-Coral.html には記載がなさそうです。
     
    hush

  3. 航空戦の結果を星取表のようにして並べるのは一見、有効なように見えますが
    実際の戦闘は基地上空で戦う空戦と侵攻作戦などでは条件が異なり、どちらの数字が多い、少ない、といった議論があまり意味を持たない場合があります。昭和17年中の空戦などはその最たる例で、勝敗の判断はそれぞれの側が意図したことを達成できたかどうか、を見て行く必要があります。すなわち敵よりも損害が多くとも目標を達成していれば「勝ち」なのです。
    戦果報告ではなく、損害報告をもとに調べて行けば敵味方の撃墜数は概ね見えては来ますが、その数字をもって勝敗を見ると間違えることが多いようにも思います。
    BUN

  4. hush様、ありがとうございます。

    不勉強で英語に長けてないものですが、20頁のresult of the 7thはどうも7日の祥鳳攻撃時における現場認識のようなニュアンスですね。
    日本軍側の零戦と「type97」の計13機撃墜を主張していますが(13機だと搭載艦戦数より多いのでは…)、ひとまず空中にあがった機体だけで考慮するならば祥鳳機は零戦と九六艦戦を合わせた6機のみで、3機行方不明3機不時着でしたでしょうか。
    日本側は僅か6機と高角砲で90機以上の米攻撃隊を迎え撃つわけですから、むしろこの7日の戦闘に限ってはSBDの損失はともかく艦艇攻撃を直接行わないであろうF4F隊に何故3機も損失が生まれたのか疑問です。

    45-46頁の彼我損失一覧についての一覧は米空母側は戦闘で31機とレキシントン轟沈で35機と書かれておりますが、うちいくらがF4F戦闘機隊なのかまではやはり記載がないですね。
    ねお

  5. BUN様、ありがとうございます。

    確かに条件差を踏まえるのであれば珊瑚海も然りですし、長距離侵攻を要したガダルカナル戦やポートモレスビー戦など、零戦とF4Fが対峙した戦闘はほとんどキルレシオ等からの評論は意味を持たないのかも知れませんね。

    質問趣旨からやや逸れますが、珊瑚海海戦においては零戦とF4Fの損失数がどうであれ、MO攻略という目標を退いた我が軍の戦略的「負け」、機動部隊同士の戦闘において敵正規空母を撃沈した戦術的「勝ち」という良く聞かれる評論は揺るがないものでしょうか。
    ねお

  6. 一点、T216様の5月8日の零戦の損失数3機については戦史叢書の南東方面海軍作戦(1)に記載があるらしいことが分かりました。ありがとうございました。
    F4Fの「14機」は変わらず不明です。
    ねお


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