1707 1:ドイツ空軍は列強と異なり大馬力レシプロエンジンのパワーを効率的に推力に変えるために、プロペラ羽の枚数を増やすよりは羽幅を広げる方針を取り、大直径3枚プロペラ機がほとんどですが、それでもHe177やBv155のような機体では4枚プロペラを採用しています。やはり高空を高速で飛行するためには羽数を増やさざるを得なかったのでしょうか?

2:私の記憶モードでは紫電改のプロペラピッチ角装置は、それまでの米国ハミルトン・ハイドロマチック(油圧式?)からドイツのライセンス品(ユンカース?VDM?)に変更になったはずですが1:に述べたような理由で4枚プロペラの紫電改でも支障なく使えたのでしょうか?それともかなりの独自改良が必要だったのでしょうか?


備後ピート

  1. 1.
    過去に説明したこともあるんですが、
    プロペラは、直径が決まっているなら吸収馬力と全開高度によって適切な合計翅面積を決めます。そのうえで幅広3翅か細身の4翅or5翅のどれかになります。
    B-36のように直径を目一杯大きく取れるなら3翅にまとめたほうがいいです。また、戦後のターボプロップ機には翅幅のすごく広い3翅プロペラがよく見られます。
    He177のプロペラは直径4.5mですが、B-29の5mよりは小さく、吸収馬力が大きい。したがって翅幅の広い4翅となります。

    2.
    紫電改の住友/VDMプロペラはオリジナルと違い、電気式調速機が実用化に手間取り、ハミルトンの油圧式を応用して代替としました。
    支障なく使えたわけではなく、初期の紫電ではやはりトラブルが多発していますし、生産も順調に進まなかったそうです。
    四式重爆のVDMプロペラは電気式だそうですが、戦闘機用と違ってピッチ変更速度がかなり遅いようです。
    超音速

  2. 超音速様。詳しい解説ありがとうございました。個人的には2:でVDM式プロペラと分かったのがありがたかったです。

    かの佐貫亦男先生はユンカース油圧式のライセンスをドイツから持ち帰ったそうですが(現物は潜水艦で輸送中海没)、VDMを油圧式に改良する時、何らかの関与があったのかも知れませんね。
    備後ピート


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