1746 彗星の主翼翼型についての質問です
山名さんはじめ当時設計に関わった人は、翼根が層流翼で翼端が通常一般の翼型だったと書き残していますが
ミリタリークラシック2022年6月号の記事ではこれとは真逆に、翼根が最大厚位置20%の旧来翼型で翼端は同40%の層流翼と書かれています・・・
定説をくつがす新資料が見つかったのでしょうか?

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梅干し

  1. 結論から言うとその雑誌の誤植だと思います。

    丸メカの解説(元空技廠の上山技術少佐)を引用すると、元にしたのはNACA230**系の翼型です。

    「NACAの翼型では、この矢高線の上下に肉付けする翼厚の分布、いわゆる対称翼については、最大翼厚の位置が翼弦長の30%位置にある一種類に限られていた。この場合、前縁半径は翼厚比の2乗に比例して変化するため、厚翼では前縁半径が大きすぎ抵抗が大きく、薄翼では前縁がとがりすぎ、大迎角での失速性が悪いという欠点があった。(中略)
    中央部(翼根)の厚翼ではNACAの標準の前縁半径の約1/2、翼端部の薄翼では逆に約2倍の前縁半径の値を持つようにしたため、中央部の厚翼ではその後出現した層流翼の形に近くなり、主翼全体としても抵抗が小さく、かつ平面形とも関連して失速性の良好な主翼が得られた。」

    超音速

  2. 彗星の主翼の厚比は翼根16%翼端6%ですが、一般的には翼根15%翼端9%前後の厚比にします。
    つまり彗星は翼端でより薄い翼型を試みたのです。
    NACAの本来想定する厚比からは外れるため、その対策をとったということでしょう。
    NACA4桁・5桁翼型の前縁半径と最大翼厚位置を変更して層流翼に近づける手法はNACAでも行われていました。
    「NACA 23012-34」が彗星のそれに該当します。
    ハイフンの後の2桁は、1桁目が前縁半径を6分の3に変更、2桁目が最大翼厚位置を40%に変更という意味です。
    「公表座標データ (Official Ordinates) NACA翼型 (NACA wing sections)」
    で検索してください。こちらでNACA翼型の形状が見られます。
    書籍に翼断面図が載っていますが、「NACA 23012-34」がそれとほぼ一致すると思います。

    超音速

  3. 無料サンプルを読めば誤植じゃないのはすぐ分かります(P23〜24)
    翼根を従来翼型にしたので強風、紫電よりフィレットを小さくできたとか
    瑞雲の大きなフィレットに言及し、不意自転対策に成功した彗星と失敗した瑞雲という構図を述べています
    この記事を書いたのは小峰文三という人なのですが、設計者の証言と真逆の内容なので一体どんな根拠をお持ちなのか気になったのです
    梅干し

  4. 言葉の間違いか確認するのなら翼断面図を探して確認するのがよろしいかと思います。

    my

  5. 米軍テスト機の彗星翼根
    https://ww2db.com/images/air_d4Y_7.jpg
    靖国神社の彗星翼根
    http://www.exkw.bb4u.ne.jp/~tabiari2/images/suisei03.jpg
    プレーンズオブフェイムの彗星翼根
    https://www.warbird-photos.com/airshows/2013-POFAirshow-PS-2/PlanesofFame-Airshow2013-Preshow2_D4Y1_Suisei_-_P-47G_Thunderbolt_0193.jpg
    同上翼端
    http://www.flugzeuginfo.net/images/museums/planesoffame/d4y3_imperialjapanesenavy_7483_3.jpg
    どう見ても小峰文三氏の記述が誤りだと分かります
    不意自転についても翼根の失速が原因と誤解して書いてますが
    このPDFを読めば間違いだと分かります
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/2/6/2_6_108/_pdf/-char/ja
    梅干し


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