1756 過給機、その中でも排気タービンについての質問です。排気タービンのデメリットとして「低空ではただのデッドウェイトだ」という話を何かの本で読んだのですが、@たとえばP47だとして、排気タービン関係の装備ってどれくらいの重さなんでしょうか。A過給機は「空気を圧縮してエンジンに送り込む事で空気の薄い高空でも出力低下を防ぐもの」だと思っているのですが、エンジン次第では低空でも「出力増強」の効果がある(=デッドウェイトにはならない)ように設定できるものなのでしょうか。
かめ

  1. 僭越ながら呼び水程度に
    フルスロットルで所定の出力を出せる高度である臨界高度(海面高度と同じ出力を発揮できる限界の高さ)を越えると空気が薄くなっていきエンジンは出力が低下していきます。出力低下を軽減するため各種過給機が有ります。なので「出力増強」と言うよりは「出力維持」じゃないかと思います。
    まさのり

  2. >@排気タービン関係の装備ってどれくらいの重さなんでしょうか。
    中間冷却器なしの排気タービンを装備した五式戦II型は、重量増加は150kgほどで、同じく百式司偵IV型の重量増加も同程度です。
    中間冷却器をつけるとなると巨大なスペースが必要なので、設計段階から飛行機を大きく作らないと無理です。
    P-38から排気タービンを撤去した英空軍向けライトニングIは軽量になったわけではなく、自重はP-38Dとほとんど変わっていません。
    なので、排気タービン装備による重量増加とは、システムを組み込むため大きく作った機体の重さというのが大きいと思います。

    >Aエンジン次第では低空でも「出力増強」の効果がある(=デッドウェイトにはならない)ように設定できるものなのでしょうか。
    それは自動車用ターボエンジンですね。

    排気タービンのメリットのひとつに、無段変速であるという点があります。
    機械式2速過給機は全開高度の谷間ができますが、排気タービンには谷間がなく、低高度から全開高度まで一定の出力を維持できます。全開高度以上での出力低下も緩やかです。
    ただし機械式でも中間冷却器つき2段にしたりフルカン継手を使ったりして効率を上げ、近い特性を実現できます。

    超音速

  3. 質問者の意図からは外れるかもしれませんが
    一時的な出力増強なら「水メタノール噴射装置」というのは有ります。ただしその装置を使用しないときはデットウェイトになります。
    まさのり

  4. まさのり 様
    回答ありがとうございます。排気タービンの主機能が空気が薄い高空での「出力低下を防ぐ」ものであることは知っています。知りたかったのは「低空でも タービンを使って濃い空気を無理矢理送り込めば 無しの場合より出力を稼げるのか? もしそうなら低空でもデッドウェイトにはならないのでは? また、低空では単に圧縮した空気を送り込むだけではダメよ、ということなら それを活用できるようにエンジン側で調整できるのか?」ということです。

    超音速 様
    回答ありがとうございます。五式戦で150kgというと結構な重さですね。また、中間冷却器をつけると排気タービン自体の重さじゃなくて機体自体が大きくなって重くなるということなのですね。
    かめ

  5. 出力は無しの場合より稼げるけど、所定の出力以上はダメですよってことじゃないかと思います。あと超音速さんもおっしゃってますが、排気タービンのメリットとして、エンジン出力を利用するスーパーチャージャーに比べ
    ・エンジンの出力ロスがない
    ・過給圧の制御がしやすい
    というのも有ります。
    まさのり

  6. P47のR-2800は1段1速スーパーチャージャー+1段ターボチャージャーです。
    低高度ではスーパーチャージャーで過給圧が間に合うので、ターボは必要ないです。許容量以上の過給圧で過給するとエンジンが壊れるので、低高度でターボを使って出力は上げることはできません。
    雷鳥

  7. 補足 エンジンをより高い過給圧でより高い出力が出せるように改良すれば、低高度でもターボを使って過給圧を上げて、出力を上げることができます。
    雷鳥

  8. 雷鳥 様
    わかりやすい説明ありがとうございます。根本的に理解が足りていなかったようです。スーパーとターボのどっちを装備するかの選択をするわけじゃなくて、低空ではスーパーで出力を稼ぐのが前提で、それに加えて高空用にターボを装備するかどうか(出来るのかどうか)なんですね。
    かめ


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