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四式戦闘機「疾風」のプロペラについて質問します。 同時期の日本軍用機のプロペラは表・裏両面とも赤褐色(いわゆるレッドブラウン)が多いのに、疾風のプロペラは前面若草色・裏面赤褐色となっています。これは中島の前作である二式戦闘機「鐘馗」の両面赤褐色プロペラとも異なっていることになります。疾風のプロペラの前面が若草色塗装になっているのには、何か理由があるのでしょうか? 備後ピート |
- これは若草色ではなく、機体外面、機体内面とおなじ「黄緑七号色」です。
陸軍機では大戦後半にそのように大幅な塗色数の削減・整理統合が行われたのです。
二式戦の生産終了後にそれが行われたため、二式戦は影響を被っていませんが、三式戦、一式戦(立川製)は、「黄緑七号色」のプロペラをつけるようになっています。
四式戦のプロペラの「黄緑七号色」のみやや明るいのは、住友金属と日本楽器で塗料の入手経路が違ったためなのかもしれません。
片
- 新様式の「黄緑七号色」塗装のプロペラでは、黄色の翼端標識もプロペラ翼端から隙間のないベタ塗りになっています。
それ以前では、翼端から隙間を開けて赤色または黄色の帯として塗装されていたものです。
四式戦のプロペラも翼端標識が「ベタ塗り型」であるのはおわかりいただけると思います。
片
- それからこの場合、プロペラの前後面両方とも黄緑七号色塗装です。
片
- 片様。詳しい回答どうもありがとうございます。私なりに傍証を確認しましたところ、某「飛行機模型製作の教科書」にある林鉄平氏の三式戦一型丁の作例が、まさにそう(スピナー及びプロペラ両面黄緑七号色、プロペラ翼端黄色識別色帯でなくベタ塗り)でした。何度も読み返している記事なのに意識せず見過ごしておりました。
備後ピート
- 今、実機写真や現存遺物から黄緑七号色の変色・褪色の傾向を見ているのですが、機体用塗料の方が黄変の傾向が強く、赤みがかったところまで割に早く行ってしまうようです。
対してプロペラ用途料は黄変が遅いようで、相対的にこちらの方が緑に見える、ということのようでした。
すぐに塗膜がぼろぼろになる機体の迷彩用塗料に秘して、プロペラ用途料は時間が経過しても塗面が滑らかです。
そもそもの塗膜成分の違いが、褪色後の色の違いに繋がっているようです。
片