1832 Ta183系のずんぐりした外観についてです。
図面を見た感じエアインテークの上に座席と燃料タンクを置いているようですが、mig-15等はエアインテークを上から潰すようにして配置しています。
ではなぜ、ta183はそのようなレイアウトを取ったのでしょうか?
そしてなにが非効率と判断されてmig-15などでは前述のレイアウトに改良(?)されたのでしょうか?
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  1. Ta-183のずんぐり胴体ですが、ジェットエンジンのインテイクダクトと排気ダクトはあまり長くすると効率が悪くなるため、内蔵するダクト類を短くした結果です。
    また、戦略物資節約で木材や鋼材を多用したので、強度の関係で主翼内に燃料タンクや主脚庫を置けず、全部胴体に詰め込んだのも一因です。
    しかし太短い胴体は遷音速域で飛ぶと空気の圧縮性の影響で、かえって抵抗が大きくなってしまいます。
    このため戦後のジェット機では胴体を長く取る設計となり、エンジンの推力も余裕が出てきたこともあって長いダクト類も許容する考えになりました。
    そもそも胴体には武装や電子機器など積みたいものがいくらでもあります。

    ちなみにMiG-15のインテイクダクトは上から潰すのではなく、途中で左右に分かれてコクピットと燃料タンクの横を通っています。
    上から潰すインテイクダクトはF-86やF-84ですね。
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  2. ありがとうございます!強度の問題でしたか。
    第1世代の一部でインテークを左右に配置している機体に疑問を感じてましたが、効率の問題もあるのですね!
    更に質問なのですが、wikiには翼断面は表裏の無い対称形であり、裏返して使えるという見るからに不穏な記述が存在してますが、そういう翼型もあるのでしょうか?それとも効率や失速特性を無視してロケットの様に推力でゴリ押そうという末期特有の奴でしょうか?
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  3. 結論からいえば後退翼ジェット機と対称翼の組み合わせは必要なものです。Me262ですでに対称翼を採用していてドイツは世界に先駆けていたのです。

    レシプロ機では通常、翼型基準線が上反り曲線を描くカンバー翼を使います。
    1920年代によく使われたクラークYはカンバー比4%で、揚抗比はいまでも最高クラスです。
    しかし飛行機が高速化し、迎え角0度に近くなると、カンバー比の大きな翼はCm値(頭下げモーメント)が高いため、主翼がフラッターを起こします。
    そのため単葉機の時代になると、カンバー比2%程度の翼型が一般的となります。
    さらに高速のジェット機になると、直線翼のロッキードP-80ではカンバー比約1%。
    遷音速域を飛ぶ後退翼ジェット機ではカンバー比ゼロの対称翼が必要となりました。後退翼は剛性確保が難しく、フラッターが起きやすいからです。
    戦後に米ソで作られた後退翼ジェット機はドイツを真似したので対称翼が一般的になりました。
    現在ではスーパークリティカル翼の登場で対称翼からは脱却しています。

    なお、レシプロ機の時代でも水平尾翼は対称翼となっており、左右共通で裏返して使える場合も多いです。
    対称翼は安定性がよく製造コストも安くできるので、B-17やB-26は主翼にも対称翼を採用しています。

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  4. そうだったのですね!翼型については素人なのでよくわかりました。
    忙しい中質問に答えていただいて嬉しいです!
    本当にありがとうございました!
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