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https://krasnaya-biblioteka.jimdo.com/aircrafts/vvscccp/fighterprotection/ このサイトは、第二次世界大戦時のソ連戦闘機の防弾装備について書いて有ります。その中で不活性ガス充電システムというのが有ります。簡単に言うと冷やした排気ガスを燃料タンク内に入れるみたいですが、これは単に燃料タンク内を冷やすだけだったのでしょうか?それとも気化したガソリンを冷やして液状に戻すという事でしょうか?あと他国でこういった似たような装備ってあったのでしょうか? まさのり |
- お邪魔します
ガソリンの揮発温度をお調べください
液状化させるのは無理と分かります。
ももんが
- ももんがさん、早速な指摘ありがとうございます。ということはタンク内の温度を下げるが主目的ということでしょうか?
まさのり
- 温度を下げるのではなく、燃料の消費によってタンク内に空間が生じると内圧が低下し燃料が気化します。そこに酸素を含む気体が存在すると静電気などの火花で引火するため、これを防ぐため不活性ガスを充填するのです。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://en.wikipedia.org/wiki/Inerting_system
怪鳥
- 怪鳥様
便乗の疑問点ですが
・なぜボンベ充填の不燃性ガス等でなく排気ガスをわざわざ取り廻すのか
似た効果が期待できるならボンベ配管と排ガスの取り回し配管は似たような経路を辿る分ボンベの重量が軽くなる、ガス充填設備の配備や補給が不要位しかメリットが思いつきません。
わざわざ排ガスを引き込むメリットはなんでしょうか?
ももんが
- >ボンベの重量が軽くなる、ガス充填設備の配備や補給が不要
この二点だけで十分なメリットだと思います。
質問を質問で返すかたちですが、目の前で生産され続ける不活性ガス=排気ガスを使わず敢えて別の供給源に頼るメリットはあるのでしょうか?
2x4b-523p
- 推力式単排気管、排気タービンに使う場合や、エンジンの運転状況(停止滑空、巡航、全開)に左右されない噴射圧力と噴射量、不純物のタンク混入が無い
などでしょうか
ガス欠
- 排気ガスを導入すると腐食性が課題になるかと思いましたが、大戦時の航空機は寿命が短いため、問題視されなかったのかもしれません。(↓はDRY BAYのFIRE PROTECTION資料ですが、一部関連記述あり。IL-2の排ガス導入システムは燃料タンクを90日で破壊するが機体の寿命がより短い30日なのでノープロブレム、と書いてあるのか、、)
https://www.nist.gov/system/files/documents/el/fire_research/R0200472.pdf
At least one of the Soviet aircraft, the IL-2 (Sturmovik), was equipped with exhaust gas inerted fuel tanks. The 1L-2 exhaust gas was so corrosive that the tanks were expected to fail about 90 days after first being pressurized with the exhaust gas.
This was not considered a real liability since the anticipated combat lifetime for these aircraft was less than 30 days (Figure 3).
ちなみにCHATGPTにお尋ねすると、
-----CHATGPT-----
・1L-2:燃料タンクの加圧式燃料システム(空気)と不活性化システム(排気ガス)は併存している。
-----終わり-----
そうです。情報の裏はとっていませんが、参考まで。
太助
- すみません、文字認識ミスでIL-2ですね。
ちなみに大戦期に活躍した航空機の燃料システムは、大雑把にいうと、吸引式から加圧式に変化していったと認識しています。
太助
- 2x4b-523p様
=排気ガスを使わず敢えて別の供給源に頼るメリット
思いつく点ですが
静電気発火を確実に抑えられる信頼性、常に加圧され続ける事での
継ぎ手損傷やひいては燃料漏れの発生源になりえる
逆に排ガスの送り込みを手加減(弁での調整等)では逆に濃度不足での
静電気爆発や肝心の被弾発火時の消火性能でしょうか?
ボンベ式なら消えるまで大量に送り続けることができるが排ガスは常に一定
なので消火性能に疑問符が付きます
あまり詳しくないので一長一短だろうというのは予想できますが
他の方の意見も聞きたいです。
IL-2が1ヶ月で喪失するから持たなくて良いというのも
戦時下ならでわ、の割り切りですねありがとうございます。
ももんが
- それぞれ一長一短あるのでどちらを採用するかは設計者の判断次第でしょう。
La-7 ではLaGG-3 の排ガス抽気からCO2のボトル装備に替わっています。
Il-2 の戦場寿命が30日だから云々と言うのは戦後の統計に基づいた後付け論理でしょう。イリューシンがこの数値を設計時に想定していたとは思えません。
怪鳥
- 零戦の寿命が200時間程度だったというお話もありますね。どういった条件かは知りませんが、IL-2も同程度と仮定したら機体寿命は何日になるか?これは時間→日に変換するレートにより大分変わってきますが、
・1日24時間 ⇒ 200÷24= 8日程度
・1日12時間 ⇒ 200÷12=16日程度
・1日 6時間 ⇒ 200÷ 6=32日程度
・1日 3時間 ⇒ 200÷ 3=64日程度
というthe anticipated combat lifetimeが30日オーダーの表記も出てくるのではないかと思いました。(つまり設計が事前に把握した数字の可能性あり。)
あとはInerting systemですが、排気ガス導入SYSTEMに限ってはやはり腐食の点から平時の航空機には悪手だと感じます。このInerting systemの目的は、燃焼の3要素である燃料、空気(酸素)、火源のうち、燃料タンク内の酸素濃度を限界酸素濃度未満にしようというものだという理解です。燃料システムが加圧方式の航空機の場合、燃料タンク内の気体部分全てをInerting systemにより供給する必要はなく、大部分は空気を送り込むことで、燃料供給圧力は賄えます。つまり、Inerting systemの供給元がボトルであってもさほど多くの容量でなくてもよいのかもしれません。(酸素濃度を14%にしようとすれば、空気21%酸素濃度とすると、空気2に対し不活性ガス1で済むのかな?計算が正解なら燃料タンクの1/3容量相当の不活性ガスを持ち込めばよい=燃料タンクの負圧云々を考慮する場合に対して負担少と見積もることもできます。排気ガス利用は冷却する必要もあるでしょうし、過渡的な技術かと思います。)
太助
- Il-2 のロシア語ウィキをみましたら排気ガス導入システムはではなく、2リットルのCO2シリンダーを装備していると書いてありました。
怪鳥
- >>12
母国語(露)のwikipediaは別に『排気ガス導入システム』を否定している訳ではないと思います。以下の記載(和訳)のようにCO2シリンダーを装備していたという記述があるだけで。出典の記載がないので詳細が確認できないのは残念ですが、生産機全てに装備していたのか判らない。
https://ru.m.wikipedia.org/wiki/%D0%98%D0%BB-2
燃料タンクが撃たれたときにガソリンが発火するのを防ぐために、中性ガスシステムが導入されました。飛行機には 2 リットルの二酸化炭素シリンダーが設置され、圧力 150 気圧(液体 1200 グラム)まで充電されました。飛行中、二酸化炭素はガソリンタンクの上記の燃料空間に供給されます。
対してエンジン排気ガス説は、
The Fundamentals of Aircraft Combat Survivability Analysis and Design, second edition
という本が出典(多分>>7と同じ出典)らしいですが、以下記述もあり。
https://www.nist.gov/system/files/documents/el/fire_research/Chapter-2.pdf
Engine exhaust has also been used as an ullage inerting agent - the Russian-built Ilyushin IL-2 Sturmovik cooled and piped engine exhaust gases into its fuel tank ullage spaces.
出典が同じ本なので元がダメなら引用している記述も全滅にはなるんですが、アメリカ航空宇宙学会の本のようです。そこそこの値がするので内容確認予定なし。
CO2ボンベ説が正解か、排気ガス説が正解かですが、IL-2も息の長い飛行機のようですから、時期により排気ガス利用⇒CO2ボンベ利用へ(もしくは逆へ)移行していったのかもしれません。
p.s. 紹介頂いたIL-2の母国語(露)wikipediaに、エンジンの寿命100時間みたいな記述ありましたね。
太助