246 バルバスバウについて幾つかお尋ねします。

・最初に装着した戦艦はデラウェア級という認識でよろしいでしょうか?
・現在商船に用いられているものと、戦前のものには大きな違いがあるのでしょうか?
・現在も曲面の仕上げは職人の手作業なのでしょうか?

よろしくお願いします。

  1. http://www.history.navy.mil/photos/images/h93000/h93814.jpg

    呼び水という事でデラウェア級2番艦ノース・ダコタ(BB-29)の艦首。
    jas1

  2. http://www.shipconstructor.jp/project/miura.html
    職人さんから自動化というかCAD化が進んでいるようですね。
    SUDO

  3. この級あたりまでは、バルバスバウの効果というよりも、
    1)ラム(衝角)の名残のデザイン
    2)水線下の艦の長さを伸ばして(?)抵抗を減らした
    ということを、世界の艦船か、福井静雄氏の著書で読んだ覚えがあります。
    (結果・効果は承知していない、とも…)

    バルバスバウ(=球形艦首)として意図的にデザインされたのは、

    独:ビスマルク級
    伊:ヴィットリオ・ヴェネト級
    日:大和級(空母:翔鶴級)
    米:アイオワ級(?)

    だと記憶しています。球形艦首だからといって、前方に明瞭に突出して
    いないものが、初期には多かったようです。
    TOSHI!!

  4. >現在も曲面の仕上げは職人の手作業なのでしょうか?

    のみですが、2010年2月1日放送のNHK番組「生中継 ふるさと一番!
    巨大な船を造る熟練の技〜愛媛県今治市〜」をたまたま録画していて、
    当該質問にまつわる内容があったので、参考までに紹介します。

    番組のなかでは、大型船のバルバスバウや船底など曲線部分の加工について、
    「手作業でないとできない、と機械でできるようなわざではございません」と
    生産工程?の責任者がアナウンサーに解説したうえで、
    2cm厚くらいの船体外板を、熟練工がバーナー加熱と水冷却での収縮を使って
    手作業で曲げていく工程が紹介されていました。
    2分くらいの作業で、平板の角が10mm近く浮くほど曲がりました。

    番組中、社名は紹介されませんでしたが、立地やマークからして
    造船中手の新来島どっくが取材されていたのではと思います。

    なお鉄板の曲げ加工を「ぎょう鉄」、曲げる方法を「線状加熱」と
    いうそうです。
    番組での話とは別に、造船大手では当該作業の自動化への技術開発に
    取り組んでいるようで、IHIMUなどの半自動化の取り組みがヒットします。
    興味があったら検索してみてください。

    以上、ご参考になれば。
    TMT

  5. 英語圏(少なくとも米国)のオンライン文献を見る限りUSS Delaware (BB-28)を
    もってバルバスバウそのものの嚆矢と見なしているようです。
    その後の例として挙げられるのがフランスの客船ノルマンディやアメリカの
    プレジデントラインの客船です。しかしこれらはいずれも試験的な試みと
    捉えられていたようです。現在のバルバスバウの設計は50年代に論文が発表される
    ようになってから発展してきたとされており、
    戦前のものとの技術的つながりについては否定的な記述が目につきます。

    英語版wikipediaが上記の内容でまとまった記述があります。
    国際航路協会の論文等に同様の記述があるのである程度一般的な内容のようです。
    けい

  6. ブラウ・バウには、バルバス・バウ的機能は期待できないのでしょうか?

    Ranchan

  7. バルバス・バウは周知のように艦首水線部で造る波と水線下の球状部で造る波を逆位相として造波抵抗を低減するモノです
    一方で古い仏艦などに見られるプラウ・バウplow bowは船体の水線下に対して上部重量削減のため水線上を縮小した結果の産物ですから、似て非なるモノと言えるでしょう
    (上記逆位相の波は起きてなさそうですしね)
    USS Delaware (BB-28)にしても、水線長の増大を狙ったWWI期の英主力艦(英はバルバス・バウとは言ってない)と比べて何が違うのかって思いますね
    (米国人は先見性をアピールしたいんでしょうケド)
    要は明確な理論に即して艦首を球状化したモノか、単に経験則的に船体の水線下を出っ張らせたモノかで、バルバス・バウの該否が分かれるんじゃないでしょうか
    駄レス国務長官

  8. >5.
    >現在のバルバスバウの設計は50年代に論文が発表されるようになってから発展してきたとされており、戦前のものとの技術的つながりについては否定的な記述が目につきます。

    球状船首については、1911年の D.W.Taylor の論文に始まり、1930年の E.M.Bragg、1933年の同じく D.W.Taylor の論文などがこれに続き、これが現在に繋がっています。

    D.W.Taylor “Some Model Basin Investigation of the Influence of Form of Ships Upon their Residtance”(1911)
    E.M.Bragg “Results of Experiments upon Bolbous Bows”(1930)
    D.W.Taylor “The Speed and Power of Ships”(1933)

    D.W.Taylor はご存じの通り1914年には米海軍の Chief of the Navy Department's Bureau of Construction and Repair のポストに付くことになる造船畑の海軍士官です。

    したがって、もし時期的に前記の彼の研究が活かされているとすれば(微妙なところですが)、デラウェア級は“理論に基づく意図的な”最初の球状船首を有する設計ということになるでしょう。

    なお余談ですが、球状船首は、船首波第1波頂を前方に移動させて見せかけの船の長さを増大することになる効果によるものですが、長さが短く幅が太い船体ほど大きな球形船首でなければその効果が得られません。

    ここで注意を要するのはこの様な大きな球状船首では、低速では逆に全抵抗が増大することで、この球状船首による効果が現れるのはある程度の高速でなければなりません。 また、船体形状からは荒天時には不利であるともされています。

    したがって、ある程度の速力が発揮できる大型の船である必要があります。 戦艦や大型客船、大型タンカーなどに適すると言え、実際過去その様な船に採用されてきたわけです。

    艦船ファン


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