275 アングルド・デッキを備えた空母に飛行機を着艦させるとき、空母は艦首を風上に向けるのでしょうか? それともアングルド・デッキが風上に向くように、艦首を風上から角度を持たせるのでしょうか?
また、発艦は蒸気カタパルトによるものとして、上記の質問の場合、発艦と着艦は同時に行なえるのでしょうか?
真弓

  1. 理想的には常に風上に艦首を向けます。
    しかしよっぽどの強風で真横からでなければ大丈夫なようです。
    アングルド・デッキを風上に向けても艦の進行方向からの風が発生しますからあまり意味は無いと思います。(許容範囲とでも言えるでしょうか?)

    アングルド・デッキは本来発艦作業と着艦を同時に行なう為に採用されたシステムですから現在の蒸気カタパルト装備の空母なら同時に行えます。
    SC

  2. >1.
     便乗質問で申し訳ありません。 もう少し詳しい話しをお願いします。

    >アングルド・デッキを風上に向けても艦の進行方向からの風が発生
     これは相対風のことでしょうか、絶対風のことでしょうか?

    >現在の蒸気カタパルト装備の空母なら同時に行えます
     これは“物理的には”という意味でしょうか、オペレーション(空母の航空管制)を含めての話しでしょうか?

    艦船ファン

  3. さて、意地の悪い質問ですねw
    >2
    吹くと言う言い方がまずかったようですが、此処では相対風になるのかな?
    物理的なベクトルの計算は私には無理です。
    帆船やヨットなどを扱う方はよくお知りと思います。

    その為にアングルド・デッキは全て10度以内になっていたと思います。

    それと、アングルド・デッキの方向には船は進めませんねw


    同時活用は物理的に可能です。
    ただし限定はされますが。(シャルル・ドゴールは若干無理そうですが。)
    空母の航空管制上の事は詳しくは知りません。
    しかしアメリカ海軍がそのような事をしてるとは聞いた事はありませんね。

    そもそも艦船ファンさんはもっと専門的な事を知ってられると思いますが?
    ぜひ詳しいお話をお願い致します。

    SC

  4. >3.
    決してそのようなつもりでは。 単に回答された内容が具体的にイメージできなかったのでお尋ねしたまでです(^_^;

    >此処では相対風になるのかな?
     申し上げるまでもなく、絶対風(真風向・真風速)と艦の針路・速力との合成ベクトルが艦上での相対風(視風向・視風速)になります。 したがって、真風向より艦の針路を右にとれば左舷側からの視風向となります。 その時の真風向・新風速と艦の使用速力に応じたて、アングルド・デッキの角度(向き)に合致した視風向(相対風)となりように艦の針路をとることは簡単なことです。

     ただし、これは空母の艦上においての話しで、アプローチしてくる、あるいは発艦した航空機にとっての合成風は別の話です。 したがって、空母の飛行作業においては、アングルド・デッキを使おうが艦首カタパルトを使おうが、基本的には単に艦首を風上に立てて真風向と艦の針路を同じにし、合成ベクトルを最大にします。

     とはいっても、風向・風速は常に一定ではなく、ある程度変動する性質のものですで、これを見越して視風向が艦の針路(艦首尾線)より右舷側からにはならないように、ある程度左からの視風向を受ける様にする(言い換えれば、平均の真風向より僅かに右の針路とする)のが一般原則です。 どれくらい左舷側からの相対風向にするのかはその時の状況によりますので、一概には言えませんが。

    >同時活用は物理的に可能です。
     これは勿論アングルド・デッキで着艦作業を行いつつ、艦首カタパルトで発艦作業を行う、という意味ですね?

     この方式は可能と言えば可能ですが、通常の着艦作業をする時には甲板上にある航空機は前部側と右舷側に移動してアングルド・デッキをクリアーにします。 ですから、この時に同時に艦首カタパルトで発艦作業を行うとなると、その為には前甲板には駐機できませんから、予め甲板上の航空機をそれに支障がないように全て移動しなければならなくなり、大変な作業になります。 ましてや同時離発艦の機数がそれぞれ複数になって来ると・・・・

     したがって、空母の通常の運用法(オペレーション)としては、この方式は余程の状況が発生しない限り、行われることはまずありません。 (もちろん空母の運用能力維持のために予めこれを計画して訓練する場合は別ですが。)

     飛行作業は毎日前日に翌日24時間分の飛行計画(Flight Plan 及び Flight Schedule)が作成されますが、これに基づいて離発艦に伴う飛行甲板を始めとする艦内での厖大な作業が割り振りされます。 上記の甲板駐機の予定もこれに含まれます。

     このため基本的には飛行計画は着艦作業と発艦作業とで時間帯がキチンと分かれるように作られます。 これはこの飛行甲板での作業の都合は勿論ですが、同じように重要なのが、空母近傍空域での離発着機相互の輻輳と錯誤の危険を避けるためでもあります。 

     当然ながら、有事の場合はもちろん日々様々な予定外の状況が発生しますので、先の離発艦同時作業も含め、その時その時で「エアボス」の一声で柔軟に対応できる様になってはいますが、飛行甲板作業はもちろんのこと、現在の複雑な空母の航空管制方式ではこれまた大変な作業です。

    艦船ファン

  5. 素人から失礼します。

    空母で艦上機が離発艦する際の操艦で、もっとも重要なのは、できるだけ離発艦の安全を確保することです。言い換えれば、できるだけ艦の動揺を少なくするように操艦しなければなりません。もしも、たったの1〜2ノットの向かい風を求めて艦長(もちろんパイロット)が、うねりなんかに突っ込ませたりしたら、エアボス(もちろんパイロット)が黙っていないでしょう。
    豪腕少年タイフーン

  6. >5.
    申し訳ありませんが、何を仰りたいのか意味不明です。
    艦船ファン

  7. >4
    やはり艦船ファンさんの説明は合理的で詳しいですね。
    私の様な素人の出る幕じゃありません!w

    勿論空母のフライトプランの複雑さは素人なりに理解はしているつもりですが「―発艦と着艦は同時に行なえるのでしょうか?―」との質問に物理的に可能と返答した次第です。申し訳ありませんでした。

    詳しい説明ありがとうございました。

    >5
    豪腕少年タイフーンさん。
    >1〜2ノットの向かい風を求めて…。
    まず大型の空母が1〜2ノットの風で生じるうねり程度で航行に問題が有るのですか?(瀬戸内海の様な内海でもそれくらいは普通ですよ?)
    てか、離発艦時は30ノット近く出せる空母が1〜2ノットの風を求める為に無理な方向へ操艦する事など無いのでは?
    SC

  8. 艦船ファンさま、SCさま、レスを有難うございます。
    私のカキコの意味がうまく伝わっていないかもしれませんが、おっしゃる通りだと存じます。

    >それともアングルド・デッキが風上に向くように、艦首を風上から角度を持たせるのでしょうか?
    との御質問のような、無理な操艦を空母がするわけがありません。

    ただし、荒海での操艦がヘタだと、パイロット以外に一番被害をうけるのはLSOですので、LSOのsea storiesに、いろいろな逸話が書かれています。

    豪腕少年タイフーン

  9. >8.
    >無理な操艦を空母がするわけがありません。
     具体的に何が“無理”なのかのご説明をお願いします。 そしてそれ以前のこととして、そもそも“船の動揺を少なくする”ということと“うねりなんかに突っ込ませたりしたら”の関係、それが空母の飛行作業とどう関係するのかが判りませんので、これもお願いします。 私なら「ローリング」を局限する方が最優先、と思いますが・・・・

     しかも“荒海での操艦がヘタ”とか“被害をうける”とか言われても、それが具体的に下手とはどういうことなのか、被害とは何なのか、そしてそれらがどの様な関係にあるのかについて何の説明もなく突然「断定」されても、一体何を仰りたいのか全く理解できません。 これもご説明をお願いします。

    艦船ファン

  10. 1)特に海が荒れている際での離発艦作業中の航空母艦にとって、一番重要なのは、離発艦作業の安全を確保することでいいでしょうか。

    2)たかだた10度程度、風上より右方向に(無理な操艦によって!)進路を変更したところで、アングルド・デッキ上での風速の増加はせいぜい1〜2ノット程度で無視できる範囲でしょう。

    3)もちろん私は10万トンの艦船を操縦したことや、空母に着艦したことなど(シミュレーター以外では)全くありませんが、多くのパイロットやLSOのsea storiesでは、着艦直前のピッチングで、艦尾が急に持ち上がることを一番いやがっている(着艦時に失敗して艦尾にぶつかるのってなんていいましたっけ?)のではないでしょうか。

    4)着艦直前に、予期せずに艦尾が持ち上がった際には、被害(幸い具体的な事故にならなくても)を受けたLSOなどが、よくフォー・レター・ワードを叫んでいますが、私はそのののしりの相手は、操艦担当者だと思っておりました。それ以外に他の誰かをののしっているのでしょうか?


    艦船ファンさまは、よく質問に質問で答えておられますので、私どもからも質問させてください。

    >私なら「ローリング」を局限する方が最優先、と思いますが・・・・
    とは、どういう理由なのか、資料を引用して教えていただければ幸いです。ついでに、艦船ファンさまが潤沢にお持ちの資料は、(1)一般に公開されている私どもでも手に入る資料なのか?(2)機密に指定されている資料を合法的に手に入れられているのか?なども教えていただければ幸いに存じます。
    豪腕少年タイフーン

  11. >10.
     ここでもまたですか。 はぐらかさずに、お尋ねしていることにキチンとお答えいただけませんでしょうか? 当方がどんな資料を持っているかなど、何の関係もありません。

    >1)
     その様なことは申し上げるまでもないことでしょう。 ですから、その為には海象・気象と船体の状況に対して具体的にどの様に操艦したらそれが確保できるのかをお聞きしているのですが? ご存じなんでしょ? ですから「うねりなんかに突っ込ませたりしたら・・・・」と断定されているんですよね? どの様にしたら、うねりに突っ込まない上手い操艦が出来るのでしょうか?

    >2)
     その「無理な操艦」の“無理”とは何を意味するのかお聞きしているのですが? 何の、どの様なことが“無理”なことなんでしょうか? 具体的にご説明下さい。

    >3)&4)
     そのピッチングはどの様にしたら止められるのでしょうか? それが操艦の上手い下手によってどの様に違うのか、波・うねりと船体動揺の理論的な関係と、そしてそれに対する具体的な操艦方法をご説明願います。 ご存だから書かれたんですよね、ピッチングを止められる上手い操艦方法を? だから「荒海での操艦がヘタだと・・・・」と断定されたんですよね?

    >(シミュレーター以外では)
     「ローリング」の影響の意味がお判りにならなければ、それで試してみたらいかがでしょう、大きなローリングの中で離発艦が無事にできるものかどうかを。

    艦船ファン

  12. 書き込みが思わぬ方向に発展し、恐縮する次第です。
    質問しておきながら失礼とは存じますが、私の聞きたいことは、既にお答いただいたと思います。
    皆様、ありがとうございます。
    質問者
    真弓

  13.  そうですね、やはり予想通りの展開となり、スレを汚して大変失礼いたしました。 しかし誤った情報がこのまま残ってはいけませんので、お詫びも兼ねて、本来のご質問に関連して空母の操艦と飛行作業について私の知るところを若干補足させて下さい。

    (1)船体の動揺は「縦揺れ(ピッチング)」と「横揺れ(ローリング)」に分けられることはご存じのとおりです。 そして実際にはこの2つが複雑な関係の「ヨーイング」となり、更にはこれに艦首の左右の“振れ”が伴います。 ピッチングとローリングとはその大きさと周期をお考えになれば、どちらが艦船上において影響が大きいかはお判りいただけると思います。 例えばローリングの10度などはごく普通に生じることですが、ピッチングの10度となると相当な状況です。 ましてや今日の8〜10万トンもある空母でピッチングが10度などになったら大変なことです。 しかも着艦においてピッチングの影響は航空機の高度によってコントロールすることは可能ですが、ローリングは高度や姿勢では不可能です。

    (2)空母が飛行作業において「風に立つ」というのは、これによって風と自速との合成ベクトルを得て、航空機の離発艦を楽にするためであることは申し上げるまでも無いことと思います。 そして、この「風に立つ」ということは波・うねりの来る方向に向かうということですから、必然的にこれはローリングを小さくすることになります。

    (3)風と自速との合成ベクトルは、大きければ大きい程それに越したことはありません。 しかし速力が高くなるとそれだけピッチングに悪影響が出ますし、海面状況によっては高速力が出せない場合もあります。 また、航空機の機種やその時の自重などによってはそれ程の合成風が必要ない場合もあるでしょう。 したがって、どれだけの合成ベクトルが必要で、その為にどれだけの速力で走らなければならないかは、その時の状況によります。 場合によってはピッチングの影響を多少忍んでも高速を出さなければならないこともあり得るでしょう。 当然ながら、その様なことは操艦の上手い・下手とは何の関係もありません。

    (4)上の(2)に関係しますが、「風に立つ」といっても風向と波・うねりの来る方向とが同じとは限りません。 いや、うねりの場合は一致しない方が多いと言っても良いかもしれません。 一致しない場合、真風向に艦の針路を取ると合成風速は大きくなりますが、斜めから波・うねりを受けることになりますので、これはローリングの原因となります。 したがって、合成風速を優先するのか、ローリング低減を優先するのか、しかもそれぞれをどの程度、という選択肢が生まれてきます。 場合によっては、波・うねりに正対するため、相対風を真艦首ではなくある程度斜めに受けなければならないことも生じるでしょう。 これをどうするのかはその時の状況によりますし、艦長の判断です。 これも操艦の上手い・下手とは関係ありません。

    (5)ピッチングは波・うねり、特に大型艦になればなるほど後者、の状況と艦の状態によります。 したがって、艦の速力とうねりに対する針路(角度)を調整して、うねりの平均周期に対して艦の縦揺れ周期を微妙にずらす(合わせるのではありません)ことにより、ピッチングを出来るだけ小さくします。 しかし、うねりというものは音叉の波形の様な規則正しい間隔・形状でかつ同じ大きさのものの連続では決してありません。 うねりの形状、間隔、大きさはその時の海面でも一つ一つで異なります。 このため、如何に細かく針路や速力を設定、調整したとしても、ピッチングを“無”にすることは不可能なことです。

     長くなりますので、2つに分けます。

    >12.

  14. >13.
     連投で申し訳ありません、続きです。(投稿者名にアンカーが入ってしまいました)

    (6)航空機の着艦に際してピッチングが無いことは、それに越したことはありませんが、(5)の理由で常続的に“無”にすることは空母と雖も海面に浮かんでいる以上不可能なことです。 したがって、着艦はピッチングがあることを前提にするのは当然のことです。 平穏な海なら小さいですし、荒れた海なら大きいのは当たり前ですから 

    >着艦直前のピッチングで、艦尾が急に持ち上がることを一番いやがっている

    嫌であろうとなかろうと、それを操艦の上手い・下手でどうにかなる問題ではありません。 着艦直前に艦尾が持ち上がらないようにする、その様なことは操艦の問題でコントロールできる訳はありません。 したがって、LSOの“ののしりの相手”、それは“海”以外にないことは言うまでもないことです。 (もっとも、LSOは操艦については知りませんので、筋違いな八つ当たりをする者がいたとしても、それはそれで不思議ではありませんが。)

    (7)「エアボス」として最も重要なことは、全パイロットの技量を熟知していることです。 したがって、荒天時にVFRにするのかIFRにするのか、個々のパイロットの技量とその時の状況によりどうするかを適切に決めるのは彼の責任になります。 危ないと思えば、ACLS(Automatic Carrier Landing System)を使って着艦させればよいことです。 自尊心は傷つけられるかもしれませんが、命には替えられませんので。

    (8)そもそも飛行作業時の空母というものは、ただひたすら“真っ直ぐ走る”だけです。 ですからそこには所謂一般的な意味で言う「操艦」などはありません。 ましてや“無理な操艦”など一体何のことを言っているのかと。 この時に最も重要なことは、決められた針路に「保針」すること、つまり「操舵」です。 海の上に浮いている船は絶対に真っ直ぐ走りません。 必ず左右どちらかに曲がろうとします。 これは船体の状況(傾き、汚れ、惰力、等々)であったり風潮の影響(例えば、航走中の船は必ず風上に切り上がろうとします)であったり、また舵は中央にしても必ずどちらかに微妙にずれますから。 この微少な回頭のモーメントでも、8〜10万トンもあるような空母の場合、そう簡単には止められません。 小さな舵角を使ってこれの修正を繰り返すことにより、左右に振れながら進みます。 この左右の振れを如何に小さく押さえるかは操舵員の腕になります。 特に荒天の場合には、うねりによって艦首を左右に振られますから、操舵員の技量は重要になります。 当然ですがこれを「操艦」の上手い・下手とは言いません。 ましてや操艦者たる艦長や航海長・当直士官の話ではありません(もちろん操舵員の教育・指導の責任はありますが)。

    (9)そうとは言え、上手い操艦というのは確かにあることはあります。 例えば、荒天の時には常に海面と状況と船の状態に注意しながら、1〜2度左右に針路を変えてみる、あるいは3〜10回転ぐらいの間でプロペラ回転数を増減してみることにより、波の叩かれ具合(船体の振動)や動揺を大幅に減少させることが出来る場合があります。 これができる(判る)操艦者は“上手い”と言われます。 ただ、これはある程度熟練を要しますし、しかもこれが有効なのは小回りが効くせいぜい1万トン台までの艦艇であって、今日の大型空母などではとても無理であり、不可能な話です。

    (10)ご存じのとおり、現在の米海軍の空母艦長は全てパイロット出身です。 航空隊司令を終わった者には、将来CAGへ進むか空母艦長へ進むかの選択肢ができます。 艦長を選んだ者は、原子力を含む水上艦艇の教育を受けつつ、空母副長、補給艦などの大型艦艦長を経験し、それから空母艦長となります。 もし8〜10万トンもある大型空母で上の(9)の様な操艦が可能であり、かつそれが要求され、そして優先されるものなら、たたき上げの水上艦艇出身者に航空教育を施して艦長にすればよいことです。 何故そうなっていないかはお判りでしょう。 艦載機の効果的運用と安全が最優先だからです。

     これを要するに、“操艦が下手だとLSOが一番被害を受ける”? “うねりなんかに突っ込ませたりしたら、エアボスが黙っていない”? などはどこを取ってもそんな話にはならないと言うことです。

     以上ですが、長くなりましたが本来のご質問に対する回答のご参考として、>4. と合わせてお考えいただければ幸いです。

     ご専門の方がおられましたら正誤についてご教示をお願いしたいと思います。
    艦船ファン

  15. 豪腕少年タイフーンさん

    すいませんが7での私の質問の返事もお願いできるでしょうか?お願い致します。

    >荒海での操艦がヘタだと…。
    空母のように大型艦が「動揺?」するほどの天候では個人の操艦技術などで「動揺」を少なくするのは難しいのでは?
    横揺れはフィン・スタビライザーで有る程度なんとかなりますが、縦揺れは何か防止する装置は有りましたっけ?

    >10
    1)当然ですよね?天候によっては離発艦中止となるでしょうし。
    2)これは先の質問の答えをお願い致します。
    3)自慢話はさておきまして、ピッチングを嫌がるのは皆同じでしょう?
    4)「予期せず」起こった事故に対して八あたりをしている話など意味がないのでは?
    これらの話は横道にそれ過ぎているように思われますが、如何でしょうか?

    機密どうこうとお書きですがこの程度の話に機密事項があるのでしょうか?

    以上素人からの質問で申し訳ありませんが御返答お待ちしております。

    SC

  16. SCさま、ご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございませんでした。

    まず、最初のご質問にあった「それともアングルド・デッキが風上に向くように、艦首を風上から角度を持たせるのでしょうか?」については、特にアングルド・デッキが向かい風に正対するような操艦は行わないとの回答でよろしいでしょうか?

    次に、私の文章が悪くて誤解させてしまいましたが、>7のご質問で、1〜2ノット云々というのは、先に述べたように、飛行作業が可能な天候において、アングルド・デッキに一番強く向かい風が来るように、10度ほど艦首を風上より右舷に寄せたところで、アングルド・デッキ上での合成風力はほとんど変わらないということです。1〜2ノットでうねりが発生すると言ったつもりはなかったのですが、誤解させてしまったとしたら、謝らせて下さい。


    飛行作業を安全に行うためには、空母の動揺をできるだけ少なくするのが重要なのは当然ですが、着艦作業中に、操舵担当者が可能な限り艦の動揺を少なくするような操艦の妙を発揮したりでもしたら、完全な直線航行にならないどころか、飛行作業も不可能になります。

    逆に、何処からどのような波浪や風が邪魔をしても、飛行作業中の空母は一度決定した進路に向かって、レーザービームのように完璧な直進航行をするために、完全自動操縦で(ノルデン照準器のように?)機械的に操艦されているとの話も聞いたことがありません。もしそうならば、飛行作業中の操舵員は、なにもすることがなくなってしまいます。

    つまり、荒海での安全な飛行作業を行うためには、これら二律背反する二つの条件を、最適な形で満たさなければならないわけです。一般に公開されている飛行作業中のブリッジ映像などからは、きびしい試験に合格した操舵員が、真剣なまなざしで必死に操舵している姿をよくみかけます。これらがコンピューターが操縦している間の、単なる演技なのかどうかは、私には全くわかりません。飛行作業中の操舵マニュアル(まず最高機密でしょうけれど)をお持ちの方なら、お答がいただけると期待したまでです。


    アングルド・デッキが実用化されてからのエビエーターにとって、着艦時のトラブルのなかで一番おそれられているのは、「ランプ・ストライク」です。LRLSのFAST FLASHやSLOW FLASHならばもちろんですが、センターラインにのっていても、急に空母の艦尾がせりあがってきそうな際に、エビエーターやLSOがまず予想する悪夢は、空母の艦尾を直撃してしまうランプ・ストライクです。他の着艦時の事故とことなり、脱出の方法はおろか、そんなことを考えるヒマもなく最悪の結果が待っています。ですから、アレスター・ワイヤーが4本あれば、3番目のワイヤーを狙ってアプローチをするのも、ランプ・ストライクを出来るだけ避けるためです。


    ローリングによる事故も、もちろん好ましいものではありませんが、タッチダウン地点はほぼ空母の中心線上付近ですので、ランプ・ストライクの怖さとは比較になりません。せり上がってきた側の主脚のオレオの範囲内でワイヤーをつかめれば、無事着艦できますし、運悪く跳ね飛ばされれば、再び飛び出せばよいだけです。ローリングがオレオの範囲を超えてひっくり返ってしまっても、ワイヤーさえ捕まえられれば、命に別条はないでしょう。ともかく、そんな海象では、飛行作業は当然中止されると思います。

    空母が、他の水上艦とことなり、特にピッチングを嫌がるのは、ご理解いただけましたでしょうか?

    飛行作業中の空母の操艦は、どの程度機械的に直進させているのかは、私もぜひ知りたいところです。以上の私のカキコは、トム・クランシー氏と同じく、色々なシー・ストーリーから組み立てたもので、なんら機密事項は入っておりません。氏と大きく異なるのは、全くファイリングもせず、出典も不明なままで、ベストセラーも書けず、お金持ちにもなれなかったことです。氏の初期のインタビューにもありましたが、このようなカキコを安易に引用すると、とんでもない恥をかくかもしれませんので、ご了承のほどをお願い申し上げます。
    豪腕少年タイフーン

  17. 豪腕少年タイフーンさん

    細々と御説明ありがとうございました。

    >操舵担当者が可能な限り艦の動揺を少なくするような操艦の妙を発揮したりでもしたら、完全な直線航行にならないどころか、飛行作業も不可能になります。

    操艦の妙とは?w
    基本的に(海上自衛隊は別ですが)海軍の大型艦艇に自動操縦装置は無いです。
    それから操舵員に特別な操艦試験が有ると聞いた事はありません。

    >アングルド・デッキが実用化されてからのエビエーターにとって、着艦時のトラブルのなかで一番おそれられているのは、「ランプ・ストライク」です。

    これはアングルド・デッキ採用以前から有りませんでしたかね?

    >飛行作業中の空母の操艦は、どの程度機械的に直進させているのかは、私もぜひ知りたいところです。

    これは自動操縦装置の事でしょうか?(上記済み)


    ほとんどの事は艦船ファンさんがお書きなのでよく解ったのですが、
    豪腕少年タイフーンさんはやたらと機密事項が云々とこだわり過ぎる所が誤解を招いていると思います。

    私はトム・クランシー氏の著書はほとんど読みませんので其処からの引用はございませんので悪しからず。

    ともかく御返答ありがとうございました。
    SC

  18. SCさま、本当に御迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。

    1)>操艦の妙とは?
    それを私が簡単にカキコできれば、たたき上げの連中は報われないと存じます。風を勘案しながら、遠くまで波浪を広く観察しておいて、次に自分の艦船に訪れる状況をできるだけ早く正確に予測する妙技だと存じますが、簡単に説明したり、身につけたりするのは不可能でしょう。特に荒天の中で、10万トン近い大型艦船を、正確に定められた進路をとりながら、できるだけ動揺しないように操艦するのは、神業に近いと思います。飛行艇のパイロットにも、離水時に限っての上手下手があるのと似たようなものでしょうか?

    2)>これはアングルド・デッキ採用以前から有りませんでしたかね?
    もちろん以前から有りましたが、それよりももっと恐ろしい危険が着艦時には数多くあったと存じます。アングルド・デッキを採用してもうまく解決できなかった、着艦時のトラブルの一つだと御理解下さい。

    3)>それから操舵員に特別な操艦試験が有ると聞いた事はありません
    ナショナル・ジオグラフィックやディスカバリーなどがわざとウソをついていなければ、空母の舵輪(今では形はだいぶ異なりましたが)に触れるためには、厳しい試験と資格が必要だと聞いています。インタビューでは、空母の操舵員であることに、とても強い誇りをもっているようです。こんなことは公開情報だと思いますので、すぐに確認がとれるはずです。

    4)>これは自動操縦装置の事でしょうか?
    今の世の中では、コンピューターにすべてをまかせた方が有利なことは、できるだけコンピューターにやらせる方向に向かっています。少なくとも、バックアップ用のコンピューターぐらいは装備されています。それにもかかわらず、いまだに10万トン近い空母を、手間ひまかけて猛訓練した人間の手で操舵しているわけですから、単に風上に向かって直進させるのにも、なにか人間の介入が必要な理由があるはずだと考えております。もしかしたら、それも「操艦の妙」のひとつと言ってもよいかもしれません。
    豪腕少年タイフーン

  19. 横合いから一つ修正を
    >その為にアングルド・デッキは全て10度以内になっていたと思います。
    これは違っています。日本を事実上の母港にしていたミッドウエイは13.5度でした。

    操船技術はもちろん高度な物が必要ですが、リカバリー時にそれが発揮されるシーンはほとんどないと思われます。
    空母は同乗記などのしばしば発表されていますが、リカバリー時の操船はひたすら直進を保つのが必要て言う事しかコメントはないですね。
    操船技術は、補給船からの洋上補給時とされてます。
    その他狭い海峡を抜けたり、入港・出港も当然神経を使いますが、
    その場合はパイロットの腕に掛る要素が多いようです。



    ROCKS

  20. ROCKSさん
    >19
    訂正ありがとうございます。
    現用の空母ばかりに気を取られそれ以前の物は全く失念していました。
    再度訂正させて頂きますと、現用の空母はと言う事です。
    ちなみに、
    ミッドウェイは後期に11.9度
    キティホークで11.3度
    J・F・ケネディで10.7度
    エンタープライズで11.2度
    そして試行錯誤のうえで現用ミニッツ級で9.3度になっていたと思います。


    操艦技術の面ですが、豪腕少年タイフーンさんの書かれている部分は私には???ですが、
    入出港時の難しい操艦はその港湾の専門パイロット(水先案内人)が操舵する事もあったと思います。

    空母など大型艦は低速時の方が操舵が難しく、洋上補給時の操艦は大変難しいようですね。
    それに比べれば離発艦時の高速の方が操艦が案外楽だと思うのですがね?
    SC

  21. >19.&20
    >操船技術は、補給船からの洋上補給時とされてます。
     洋上補給は、補給艦が基準艦となり指定の針路・速力で直進し、受給艦がこれ
    に対して運動しますが、空母の場合は空母が基準艦となります。 これは空母の
    方が大型で運動能力に劣るためです。

    >入出港時の難しい操艦はその港湾の専門パイロット(水先案内人)が操舵する
     押し船が支援しますが、これらの使用もありますので大型艦船の場合には基本
    的には専門のパイロットが操艦します。 ただし、これを「水先案内人」とする
    と少し意味が異なります。

    >空母など大型艦は低速時の方が操舵が難しく
     これは「保針」、つまり一定針路を維持するのが、という意味ですね。 このため
    洋上補給では通常は12〜15ノット、状況により18ノットで実施します。 これ以上
    高速になりますと、微妙な操艦が難しくなりますので近距離で並走する場合には
    危険です。 洋上補給では、0.5度単位(通常は1度単位)で操舵員に指示ながら
    基準艦との横距離が一定になるように操艦します。
     ただし、出入港などでの単艦での微妙な操艦ということになると、低速の方が
    逆にやりやすいです。

    艦船ファン

  22. >現在の蒸気カタパルト装備の空母なら同時に行えます

     発艦と着艦を同時に行える事が、アングルド・デッキの最大の旨味ではありません。最大の旨味とは、着艦しようとする機がアレスティング・ワイアを捉え損なった時、そのまま水平に航過できるようになった事です。つまり、アングルド・デッキ以前よりも着艦技量が低いパイロットでも安全に着艦できるようになった訳です。
     アングルド・デッキ以前では、概ね前部エレベーターの後端より前方を駐機区域に設定し、駐機区域の後方に網に似たバリアを立て、さらにバリアの後方を着艦区域に設定しました。このバリアは、着艦機がオーバー・ランして駐機区域に突っ込む事を防ぐためにありました。そして、着艦機がアレスティング・ワイアを捉え損なった時は、急上昇してバリアを避ける必要がありました。とはいえ、一瞬のタイミングを外してしまって脚をバリアを引っかけ、もんどり打って甲板に激突する危険がありました。アングルド・デッキ以降、この危険が解消された訳です。

     諸兄の指摘の通り、発着艦を同時併行するような飛行計画は立てないでしょう。しかし、例えば攻撃隊の発艦作業中に故障機や被弾機を緊急着艦させなければならない、あるいは攻撃隊の着艦作業中に直掩機を緊急発艦させなければならない事態が有り得ます。そうした事態に於いて、アングルド・デッキであれば、より短時間で着艦もしくは発艦を行える態勢に移行できる利点は大きいと申せましょう。
    骨皮道賢

  23. >22.
     アングルド・デッキのメリットの話しではなかったのですが・・・・それはともかく

    (1)前半部分について

    >発艦と着艦を同時に行える事が、アングルド・デッキの最大の旨味ではありません。
     目的・重要性とメリットとは異なります。 アングルド・デッキは現行のタッチアンドゴー式の着艦方式を実施するために採用されたものであって、ジェット機着艦時の安全確保のためには最も重要なものです。 しかしもしこれの最大のメリットを言うとするならば、それは飛行甲板を効率的かつ有効に使えるようになったことです。

    >急上昇してバリアを避ける必要がありました。
     ストレート・デッキ時代のジェット機において、その様な着艦方式はいつ、どこの海軍が行っていたのでしょうか?  現在のタッチアンドゴー式の着艦方式は、1952年に英海軍の「トライアンフ」でアングルド・デッキの実験を行って初めて実行可能なことが実証されたものです。 そもそも重量化し高速化するジェット機ではクラッシュ・バリアーを飛び越えるもなにも、そのようなことは不可能なことで、だからこそアングルド・デッキが考案されました。 肝心な「エセックス」型や「ミッドウェー」型などは前部エレベーターの後どころか、中部のサイドエレベーター位置の後にクラッシュ・バリアーがあるのですから。(なお、クラッシュ・バリアーの形状はは“網に似た”ものではありません。念のため。)

    >アングルド・デッキ以前よりも着艦技量が低いパイロットでも安全に着艦できるように
     アレスティング・ワイヤーがどこに何本あるかはご存じのことと思います。 現在のアングルド・デッキと、ストレート・デッキ時代とで。 アングルド・デッキでこの狭い範囲に着艦しなければならないのは、タッチアンドゴー式であっても安全に再発艦するための滑走距離がとれないからで、これが可能となったのはミラー式以降の着艦誘導装置が開発されたからです。 そしてこれがあるからこそ初めて技量の低いパイロットでも安全に着艦できるようになった訳で、アングルド・デッキだけの話しではありません。

    (2)後半について
    >より短時間で着艦もしくは発艦を行える態勢に移行できる利点は大きい
     それが可能であることはこの項の初めから出ていることですが、あえてメリットと言い直せば仰るとおりです。 ただし、

    >攻撃隊の発艦作業中に故障機や被弾機を緊急着艦
     何を優先するのかの問題ですが、基本は発着艦の順序を入れ替えれば良いだけのことで、同時発着艦はそれでも間に合わない非常措置の場合です。

    >攻撃隊の着艦作業中に直掩機を緊急発艦させなければ
     攻撃隊は直衛機も含め連続発艦するものですからこの様なことは起こりません。 もしこれがCAPの意味でしたら、そもそもアラート5は始めからカタパルトに着いての即応状態です。 そしてアラート15やアラート30などならば、必要があれば発艦順序を入れ換えれば済むことです。

    艦船ファン

  24. 艦船ファンさまが、なんでも知っておられるのに、改めて敬服いたしております。

    >22 骨皮道賢さま。
    エセックス原級でのパンサーの運用については、映画「トコリの橋」や「第8ジェット戦闘機隊」をごらんになると、よく理解できると思います(御存じのごとく、最初のスター・ウォーズの参考作品です)。ランプ・クラッシュはもちろん、クラッシュ・バリアーに突っ込むシーンや、クラッシュ・バリアーが故障したために、クレーンにクラッシュ・バリアーの代わりをさせるシーンがあります。当時のエヴィエーターの事故率は、スペースシャトルの3倍ほどだったと聞いておりますが、正確な事故率などは、艦船ファンさまなら、すぐに教えていただけると思います。


    >23 艦船ファンさま。フィクションだと片付けられてしまえばおしまいなのですが、映画「第8ジェット戦闘機隊」には、被弾機を着艦させるシーンが2度ほどあります。その際には、大慌てで前方に駐機していた機体をエレベーターでおろして、タッチアンドゴーもできるぐらいにフライトデッキをきれいにしていました。また、被弾機が着艦する際には、クラッシュ・バリアーは下げたままになっていたように映っていました。

    実際の非常事態の際には、大急ぎで飛行甲板をきれいにしておいて、クラッシュ・バリアーを使わずに緊急着艦させる着艦方式が定められていたのでしょうか?この映画のシーンが、全くのデタラメの単なるフィクションでなければ、ご教授いただければ幸いに存じます。
    豪腕少年タイフーン

  25. >>23
    >(1)
     タッチ・アンド・ゴーとは、着艦するために進入〜ワイアを捉え損なって離脱する操作を模した訓練を指し、着艦の方式を示す用語ではないと存知ます。訓練であるが故に、陸上基地に於いても実施された訳です。ワイアを捉え損なったら離脱、上昇し、再び着艦を試みる点は、現行もレシプロ機時代も異なりません。
     つまりアングルド・デッキによって、離脱の際に邪魔になる収容区画(旧海軍の呼称)が着艦区画の前方からなくなったということです。アングルド・デッキは、レシプロ機には無用・無意味ということではなく、もしレシプロ機時代に導入されていたにせよ有用・有意義だったはずの設備です。
     なお旧海軍は、光学式の着艦誘導装置を用いておりましたし、それは周知の事実ではないでしょうか。

     クラッシュ・バリアは、国や時代によって形態が異なります。旧海軍では、甲板に3本のワイアを張り渡し、それら横索が間隔を空けた縦索で繋がれた形態でした。ジェット化されて以降は、丈夫な布ベルトを縫い接いで拵えた、間隔が詰まった梯子のような形態と記憶しております。それらを一まとめに形容するに、「網に似たバリア」で不都合である理由が分かりません。

    >(2)
     新造時から舷側がオーバーハングしたフォレスタル級以降のCV/CVNすら、艦首側カタパルトより後方かつアングルド・デッキより右舷側の面積が極端に拡がった訳ではありません。その結果、通常は依然として、艦首側カタパルトがある飛行甲板前部も収容区画に利用せざるを得ません。また数編隊(10数機〜20数機)を連続発艦させる際も、発艦を待つ機体の一部ないし過半はアングルド・デッキに駐機せざるを得ません。フォレスタル級以降は飛行甲板面積が拡がり、搭載機数が増えました。ただし格納庫まで拡がった訳でなく、搭載機中の甲板繋止する機数の割合が高まり、飛行甲板を整理するために格納庫に降ろす余裕に乏しくなりました。飛行甲板は拡がったものの、甲板上の機体のハンドリングが窮屈な点が余り改善されていないということです。
     そして、現在進行中の作業を中断して着艦ないし発艦させなければならない事態を指して、「緊急…」を用いました。艦首側カタパルトに待機させる場合、収容区画に利用できる面積が狭くなることに対応した甲板上のハンドリングや着艦スケジュールを事前に計画しなければならず、すなわち緊急に含みません。

     なお、フォレスタル級以降やシャルル・ド・ゴール、アーク・ロイヤルがアングルド・デッキ側にもカタパルトを備える目的を、エレベーター配置と併せてお考え下されば宜しいと存知ます。
    骨皮道賢

  26. >25.
    >着艦の方式を示す用語ではないと存知ます。

     では何と言うのでしょうか? それまでの着艦方式と区別するためにその操縦方法である“タッチアンドゴー式”と表現しましたが、貴殿ならこれの正式な名称をご存じなのでしょうから是非ともご教示ください。 そして、もし正式名称が無いとするならば、現在の着艦方式と何と表現し、何と言われているのかも。

    >訓練であるが故に、陸上基地に於いても実施された訳です。

     艦上及び陸上基地で実施するのは、その初歩と練度維持を目的としたものですので、実際にアレスティング・ワイヤーに引っかけることでなく、単に操縦方法を訓練するためです。 言わずもがなですが。
     即ち、タッチ、アンド、ゴーをすることが目的ではなく、“空母着艦時と同じ”操縦方法を訓練するためであって、それを“タッチアンドゴー”と呼んでおりますが、それが何か?
     さらに正確に言うならば、“タッチアンドゴー”とは空母着艦のための“操縦方法”そのものを言うのであって、それを行う訓練のための名称ではありません。 念のため。

    >現行もレシプロ機時代も異なりません。

     ジェット機時代も、そしてレシプロ機時代においても、いつ、どこの海軍が“クラッシュ・バリアーを乗り越える”ようなことをやっていたのでしょうか? 浅学にして存じませんのでご教示下さい。 同様なことは先にもお尋ねしましたが、まだご回答をいただいておりませんので。
     申し上げるまでもなく、クラッシュ・バリアーが必要ない状況であるならば、アングルド・デッキであろうとストレート・デッキであろうと、現在のタッチアンドゴー式の着艦方式でも問題ないことは同じです。
     そして、当然ご存じのことと思いますが、旧海軍の空母のエレベーターは上に揚がる方式のものが一般的です。 したがって、急速連続着艦の場合には、前部エレベーターは収容作業のために上がっている場合もあります。 クラッシュ・バリアーのみならず、これも飛び越えるわけですか? その様なことが不可能なことは、ちょっと冷静になってお考えいただければ宜しいかと。
     更に申し上げるならば、これも当然ご存じだとは思いますが、旧海軍では「接艦訓練」と称して着艦フックを降ろさずに通常の着艦操作を行い、その後直ちに着艦指揮官の手旗信号によりスロットルを全開してそのまま滑走発艦に移ることを行っておりました。 これは着艦訓練を反復演練するためですが、これは現在で言う“タッチアンドゴー”とは全く別のものですし、当然ながらこれを“タッチアンドゴー”とは言いません。 念のため。

    >離脱の際に邪魔になる収容区画(旧海軍の呼称)が着艦区画の前方からなくなった

     肝心な頭の部分が抜けていますね。 ジェット機時代になって従来方式では対応出来なくなったことにより、タッチアンドゴー式の着艦方式を実現せざるを得なくなったために、が。

    >レシプロ機時代に導入されていたにせよ有用・有意義だったはずの設備です。

     そこまでの大改造、設計変更の手間暇をかけて得られる“メリット”になるかどうか、そしてなぜジェット機時代になってから考案され、直ちに実用化されたかをお考えになれば答えは明らかでしょう。
     要は“必要性”の問題であり、“目的・重要性”の問題であって、先にも「メリットとは異なります」と申し上げたところです。 ご主張は、レシプロ機時代に戦後のスーパー・キャリアーが建造されていれば有用・有意義だったはず、と言っているのと同じことで何の意味もありません。

    >なお旧海軍は、光学式の着艦誘導装置を用いておりました

     旧海軍とアングルド・デッキの話しは何の関係もありません。 それは周知の事実ではないでしょうか? この様なことを持ち出しても先の反論には何もなりませんが。

    >「網に似たバリア」で不都合である理由が分かりません。

     「網」というものは、一般に糸や針金を“編んで”造ったもののことを言います。 したがって、クラッシュ・バリアーは形状的にも構造的にも「網に似た」ものとは全く当てはまりません。
     もちろん、貴殿がそう言い張りられたいのでしたら、それは個人の自由ですからご勝手にどうぞの話しですが、ここをお読みになる方々はもちろん一般の共感を得られるわけは無いでしょう。

    >数編隊(10数機〜20数機)を連続発艦させる際も、発艦を待つ機体の一部ないし過半はアングルド・デッキに

     それはアングルド・デッキにある3番及び4番のカタパルトを使用するからであって、当然のことですが? そして、別に発艦待ちでなくても、後部甲板に駐機するのは通常のことですが? その時その時の状況に応じた“効率的・効果的”な飛行甲板の使用は当たり前のことですから。

    >艦首側カタパルトに待機させる場合、

     艦首カタパルトとは限りませんが? 逆に重量機を連続発艦させるのは艦首カタパルトが優先しますので、CAP機の様なものは3番・4番は普通に使います。

    >甲板上の機体のハンドリングが窮屈な点が余り改善されていないということです。

     アングルド・デッキがなければ、ただ飛行甲板面積が広がっただけのストレート・デッキがどうなるかはちょっとお考えいただければ宜しいかと。

    >アングルド・デッキ側にもカタパルトを備えるを目的エレベーター配置と併せて

     重量化し高速化するジェット機時代では、レシプロ機時代のような自由滑走方式による多数機連続発艦が不可能となり、カタパルト発艦は必須のものとなりましたが、当時のカタパルト発艦はその準備に(現在よりももっと)大変手間暇がかかるものでした。 したがって、カタパルトによってジェット機を短時間に連続発艦させることは、空母の運用上重要な事項になったわけです。
     このため物理的にはカタパルト数を増加する以外にはなく、艦首以外にも装備するのはこれが目的であって、アングルド・デッキ発明以前から追求されてきたとこです。 例えば、幻で終わった米海軍の「ユナイテッド・ステイツ」や初期の「フォレスタル」の計画案をご覧いただけば一目瞭然でしょう。
     エレベーター配置は、これら発艦と着艦に伴う甲板上での航空機の取り回しを考慮して決められるものであって、話しの後先が全く逆ですね。

     本来のご質問と離れておりますし、議論ボードではありませんので、ご疑念がある場合には別スレを立てられるか議論ボードで話題にされるべきかと存じます。

    艦船ファン

  27. >25・26、骨皮道賢さま、艦船ファンさま

    元の本題とは完全に離れてしまいましたが、空母ファンの方が多くおられると思いますので、まとめさせてください。

    1)骨皮道賢さまは、「ボルター」と「ウェイブ・オフ」とを混同されておられませんでしょうか?

    (1)「ウェイブ・オフ」は「ゴー・アラウンド」を示す米海軍用語で、日本語では「着陸復行」でしょうか?これは民間機も含めた一般に使われる用語であることは、御存じだと思いますが、アングルド・デッキが実用化される前の空母への着艦時から現在まで、使われている用語です。

    ジェット戦闘機が従来の直線式飛行甲板に着陸する際にも、ピッチングで艦尾がせりあがってくるなど、様々な理由でLSOが「ウェイブ・オフ」を指示して、「着陸復行」させます。もしLSOからの「ウェイブ・オフ」の指示が遅れてしまったら、艦尾に激突するランプ・ランディングになるか、「バリヤー」か「バリケード」にクラッシュ・ランディングしてしまいます。

    緊急着陸を必要としている被弾機に対して、そのまま着艦させるか、着陸復行させるかを決定しなければならないバット・マン(LSO)の葛藤が描かれるのは、当時の映画の定番でした。そもそも、タッチ・アンド・ゴーとは無関係のマニューバーです。

    (2)「ボルター」とは、アングルド・デッキが実用化された後の米海軍の空母(他の国ではどう呼ぶかは存じません)特有の用語です。着艦フックやアレスティング・ケーブルなどを使用してCATOBARやSTOBARが空母へ着艦する際の特有用語で、一般の航空用語ではありません。

    これはご存じのごとく、LSOが着艦を許可してから後に、ワイヤーをフックできなかった場合に、フル・パワーでアングルド・デッキを再度離艦して、「ウェイブ・オフ」と同様に1,200フィートまで真っ直ぐに上昇するマニューバーです。

    エビエーターにとって、かなり恥ずかしい事例ですので、その飛行隊で最後に「ボルター」をやらかしたパイロットの椅子の背には、辱めるための目立つカバーが掛けてあり、つぎに誰かが「ボルター」をやらかすまで、いつも恥ずかしくそこに座っていなければなりません。

    これは、バットマンの時代からOptical Landing Systemが実用化された現在も同様です。エビエーターにとって、一番の難関はNight Carrier Qualificationsのようで、厚木で夜間に何度もタッチ・アンド・ゴーをやらかして問題となっているのは、空母のパイロットは皆「ボルター」などやりたくないために、猛訓練をしているのです。

    同じことが直線式飛行甲板で発生してしまえば、「バリヤー」か「バリケード」に突っ込んでしまうだけですので、直線式飛行甲板の時代では、「ボルター」をさけるためにタッチ・アンド・ゴーを繰り返して訓練する必要などはないのです。

    ただ、映画などで空母に緊急着陸をする際には、飛行甲板前方に駐機している航空機を全部かたずけて、「バリヤー」も「バリケード」立てずに、そのままタッチ・アンド・ゴーができそうな状態で着艦を試みているシーンがあります。このような訓練を実際に行ったのかどうかは、私にはわかりません。もっと詳しい方にお尋ねください。

    2)艦船ファンさま、色々と貴重な書き込みをいただき、有難うございました。ただ、艦船ファンさまは、「バリケード」と「バリヤー」を混同されておられませんでしょうか?

    ワイヤー・バリケードはアレスティング・ケーブルよりかなり高い位置(翼よりは下)に横に張ったワイヤーで、これで降着装置をひっかけて、機体を無理やりとめて、飛行甲板前方に駐機している他の機体との衝突を防止する装置です。

    ネット・バリヤーも目的はワイヤー・バリケードと同じですが、これはワイヤー・バリケードよりさらに上方(翼より上方)に張ったワイヤーと下のワイヤーの間の上下に多数張ったワイヤーで、翼をひっかけて停止させる装置です。初期には多数のワイヤー・ロープが上下にはられていましたので、一度「バリヤー」につっこむと、その機体の翼はボロボロになってしまいましたが、その後すぐににナイロンの多数の帯にとってかわられましたので、ネット・バリヤーに突っ込んでも、あまりひどいダメージを受けることがなくなりました。

    「バリケード」と「バリヤー」の両者の違いは、ネットにも動画が多数アップされていますので、一度ご確認いただければ幸いです。私は、ナイロン製のネット・バリケードへのシーンだけで、ワイヤー時代の「バリケード」の動画を見たことはありません。
    豪腕少年タイフーン

  28. ↑誠に申し訳ございません。「バリヤー」か「バリケード」はwire "barrier"と net "barricade"の日本語約で、全く逆に訳してしまいました。申し訳ございません。

    着艦時にいつも立ち上がっていて、脚をひっかけるのがワイヤー・バリヤーで、通常は「ウェイブ・オフ」の邪魔にならないように、引っこんでいて、LSOが必要と判断したときに、瞬時に立ち上がるのがネット・バリケードです。

    アングルド・デッキが実用化された現在でも、ネット・バリケードは残っていますが、以前のように瞬時に立ち上げる必要がなくなったため、多人数の手作業でかなり時間をかけて、ナイロン製のネット・バリケードを張っています。

    他人の混同を指摘しながら、自分でも混同してしまいました。深夜にこんなことをするものではありませんね。それでは失礼いたします。
    豪腕少年タイフーン

  29. ↑↑誠に申し訳ございません。日曜日の深夜にカキコしたために、間違いだらけでした。この辺で終了させていただきます。

    1)の(1)の『ランプ・ランディング』は『ランプ・ストライク』の間違いでした。

    2)蛇足ですが、アレスティング・ケーブルよりも高い位置で(翼に接触するほど高い位置ではありません)、着艦時には常に横に複数本張られているのが、脚を引っ掛けるためのワイヤー・バリヤーです。機体が停止すると、タキシングの邪魔をしないように、一斉に艦首側に倒れます。

    逆に、一セットしかないネット・バリケードは、LSOの指示で、艦尾側から艦首にむかって瞬時に立ち上がります。ちなみにネット・バリケードの真ん中で翼をくるみこむためには、ネット・バリケードは翼の2倍の高さが必要になります。こんな高いものがいつも立っていれば、飛行甲板のより艦首部に駐機している機体よりも、もっと「ウェイブ・オフ」の邪魔になりかねませんので、LSOの指示がないかぎり、通常の着艦時には艦尾側に倒してあります。

    起倒する方向が、ワイヤー・バリヤーとネット・バリケードでは逆なのが面白いです。
    豪腕少年タイフーン

  30. >>27-28
    >「ボルター」と「ウェイブ・オフ」とを混同されておられませんでしょうか?

     度々のご教示ありがとうございます。とはいえ、機体が着艦制動索(アレスティング・ワイア)を捉え損なった場合であれ、操縦士あるいは着艦指揮官の判断によって着艦を復行する場合であれ、離脱〜再進入の手順は異なりません。
     ただし、滑走制止索(ワイア・バリア)と滑走制止装置(ネット・バリケード)の用法の違いが混同されやすいように思われます。前者は強制収容(下掲URL参照)に用いられ、制動索と同じく着艦機のフックに引っかけられます。それに対して後者は、先に降りた機体が駐機してある収容区画に突っ込むことを防ぐために用い、機体前面を受け止める装置です。つまり連続着艦という作業の中で、滑走制止索は強制収容を、滑走制止装置は衝突防止を受け持つ訳です。なお連続着艦は常態ではなく、可能な限り単機毎に収容したのでしょう。
    ttp://www.warbirds.jp/senri/23ura/34/sidoo.html
     着艦は、操縦士にとっても制止索や制止装置を受け持つ甲板員にとっても寸秒の判断と操作を求められます。着艦指揮官の指示が適切であれ不適切であれ、操縦士や甲板員が100%指示通りに動くとは限りません。そうした中、制動索をミスした操縦士が、制止索を嫌ったり制止索すらミスしたりして離脱を試み、慌てて立てたか予め立てられていた制止装置が裏目に出て、それに脚をひっかけて墜落するという事故は起こり得た。あ号作戦中タウイタウイ出撃後、1944年6月13日に大鳳で生じた事故はその実例でしょう。
     要するに、アングルド・デッキ導入以前は、連続着艦に深刻なリスクを伴っていたと申せましょう。
     
    >>29
     旧海軍の空母では、滑走制止索1基+滑走制止装置2基を1組とし、加えて艦首近くに制止索1基(隼鷹型)あるいは制止装置1基(大鳳型、雲龍型)を備えていたようです。オーバー・ランしてドブンを、防ぐためだったのでしょう。

    >>26
    ttp://www.jal.co.jp/jiten/dict/p291.html#03-03
    ttp://ja.wikipedia.org/wiki/タッチアンドゴー
     お答えは不充分です。フォレスタル級→キティホーク級(→ミッドウェーの最終形)→ジェラルド・R・フォードと、CV/CVNの平面プランは変遷しております。また、各カタパルトの使用頻度が見て取れる画像資料も示しておきます。
    ttp://www.fas.org/man/dod-101/sys/ship/forrestal.gif
    ttp://www.fas.org/man/dod-101/sys/ship/kitty-hawk.gif
    ttp://www.fas.org/man/dod-101/sys/ship/midway.gif
    ttp://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/images/cvn-78-deck.jpg
    ttp://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/35/USS_Harry_S._Truman_CVN-75.jpg
     要するに、2番射出機は1番の予備ないし補完、4番射出機は3番の予備ないし補完に過ぎず、3番よりも1番が重視されている訳です。緊急着艦を考慮しないで済む場合の連続発艦ならば、1番と3番が同等に使用され、双方とも発艦待ちの機体を駐機するスペースに問題ない。また連続着艦時に甲板前部が収容した機体で埋まっていたにせよ、左舷エレベーター上ないし格納庫内に緊急発艦するかも知れない機種を準備しておきさえすれば、3番ないし4番射出機から緊急発艦が可能になります。
     またCVN-78に於いては、右舷艦尾側のエレベーターを廃して艦橋を艦尾寄りに後退させ、1番/2番射出機使用時の機体ハンドリング面積を広げています。ミッドウェー最終形に於いては、射出機の能力向上に伴って前後長が伸びたこともあり、アングルド・デッキ側の射出機を諦めて艦首側に集約、発艦時は左舷/艦尾側のエレベーターを、着艦時は右舷/艦首側のエレベーターを主用するという、よりシンプルな平面プランが採られています。要するに、艦首側射出機がアングルド・デッキ側よりも重視されている訳です。ま、見れば分かるはずですが。
    骨皮道賢

  31. 貴殿も彼の某氏と同じで、指摘に対してキチンと答えず、話しを関係のない別な方向へそらすタイプの方ですね。

    >ttp://www.jal.co.jp/jiten/dict/p291.html#03-03
    >ttp://ja.wikipedia.org/wiki/タッチアンドゴー
     貴殿は冗談を言っておられるのですか? 民間機の話しをしているのではありませんが。 それとも民間機が空母着艦の訓練をしているとでも?

    >お答えは不充分です。
     何が不充分なのでしょうか? 当方は艦首以外のカタパルトの装備理由について貴殿の誤りを指摘しただけで、デッキプランの変遷の話しなどはしておりませんが。 元よりそのようなことがこのスレの話題ではありませんので。 もしこれを話題になさりたいのでしたら、別スレをお立てになるか、議論ボードへどうぞ。 元々貴殿の最初の書き込みは本スレの質問への回答には関係ありませんので。

    >各カタパルトの使用頻度が見て取れる画像資料
     このアンスクでふざけておられるのでしょうか? 例示のもののどこが“使用頻度が見て取れる”なんでしょう。 それとも貴殿はたったこの平面イラスト数枚と写真1枚だけによる“想像”で発言されるわけですか?

     たった一つの例で貴殿のご想像を否定します。 貴殿ご推薦(らしい)の同じFASサイトの中にもありますが、さて、これ ↓ をどの様に“言い訳”されますでしょうか?
    http://www.fas.org/man/dod-101/sys/ship/tr-cvn71.jpg

     2番カタパルトは1番の予備・補完でもなければ、4番が3番の予備・補完ではありません。 その時その時のフライト・プラン、フライト・スケジュールとその時の飛行甲板使用状態に従ってそれぞれ両方使用します。 もし貴殿が実際のフライト・プランやスケジュールをご覧頂ける立場におありでしたら、一目瞭然のことですが。

     そして敢えて言わせていただくならば、せめて「U.S.Aircraft Carriers : Illustrated Design History」(Norman Freidman)位は出されてからにされたらいかがでしょう。

    >要するに、艦首側射出機がアングルド・デッキ側よりも重視されている訳です
     艦首カタパルトが本来のものであり、機能・構造上も使用効率からも最も適していることは当たり前のことでしょう。 ですから先に“逆に重量機を連続発艦させるのは艦首カタパルトが優先しますので”と申し上げておりますが、その意味さえご理解いただけてないのでしょうか?

     ついでに申し上げれば、「ボルター」(bolter)とはアレスティング・ワイヤーを着艦フックで捉え損なった場合の、その後の措置である行為・現象のことを言います。 これは空母艦上においてその行為・現象の発生時に端的に報告・通報するために使われるようになった用語で、現在では部外向けに公的にも使われるようになりました。(元々のこの単語の意味からして、実に言い得て妙ですが)

     そして肝心なことは、パイロットが着艦時に着艦フックがアレスティング・ワイヤーを捉えたかどうかを確認してからスロットルを一杯にするのでは間に合いません。 したがって、脚が甲板に着いた瞬時に、着艦フックが掛かったか掛からなかったかに拘わらず、スロットルを一杯にします。 要するに、ボルターはその後の着艦フックが掛からなかった場合のことであって、今話題としている着艦時の操縦操作(特にそのスロットル)とは別次元のことですのでお間違えのないように。

     ですから、先に当方は、その操縦操作を従来の着艦してスロットルを絞る方式と区別するために“タッチアンドゴー式”と表現し、それが違うという貴殿に対して“では正式には何と”いうのですか、とお聞きしているわけですが? 未だにお答えがありませんが。

     何れにしましても、これ以上続けてもしかたありませんので、当方はこれにて。 後はお好きなように。

    >ま、見れば分かるはずですが。
     ま、ちょっとキチンとお調べになれば分かるはずですが。 単なる想像・推測ではなくて。


    艦船ファン

  32. >>31
    >ですから、先に当方は、その操縦操作を従来の着艦してスロットルを絞る方式と区別するために“タッチアンドゴー式”と表現し

     「従来=ストレート・デッキ」に於いても、スロットルを開いたまま降着します。プロペラのピッチを浅くしてエンジンのスロットルを絞るのは、機体がワイアに拘束されたことを操縦士が確信した後です。したがって艦上機のジェット化や傾斜甲板の導入の前後で、着艦の手順は変わっていません。すなわち、前と後でタッチアンドゴー式/非タッチアンドゴー式と称び分ける必要性それ自体が存在しません。

    > ttp://www.fas.org/man/dod-101/sys/ship/tr-cvn71.jpg
    >ですから先に“逆に重量機を連続発艦させるのは艦首カタパルトが優先しますので”と申し上げておりますが

     2番/4番射出機を使わない所存ならば、始めから装備しません。関連する多数の画像を通覧していただければ明らかですけれども、2番射出機の上に1番から射出予定機の列線を置く例が多い。前掲した USS_Harry_S._Truman_CVN-75.jpg でも、ブラスト・デフレクターの煤け方の差に、必ずや気付いていただけるものと疑わなかったのですが、残念です。ということは、各級・各年代毎のブライドル・ホーンの有無についても、お気付きにならなかったのでしょう。カール・ビンソンは1番射出機以外のブライドル・ホーンを省略して竣工しましたが、定期修理やSLEPを機会に、既成艦も1番および3番以外のブライドル・ホーンを撤去する例が相次ぎました。そしてカール・ビンソンが1番射出機のブライドル・ホーンだけ残した理由は、1番が最も使用頻度が高かったためです。なおブライドル・ホーンの要不要について、非ずもがなの説明はお要りでしょうか?。
     しかし1〜4番の射出能力に差はありません。重量機云々は、おそらく論拠が見つからないでしょう。単に、状況次第では3番/4番も1番/2番と同じ機数を射出する場合があるけれども、1番/2番の方が3番/4番よりも使用頻度が高く、結果的に1番が最も多く重量機を射出するに過ぎません。
     では、なぜ艦首側の射出機を傾斜甲板側より優先するか?。改めて示すまでもありませんが、機体をハンドリングする面積を広く取れる上に、傾斜甲板に着艦した機を収容区域に移す→軽整備および給油・給弾(あるいは昇降機で格納庫に移す)→射出待ちの列線を組む→再射出という一連の流れが円滑に進められるためです。傾斜甲板側の射出機は、緊急着艦があり得る状況では射出予定機の列線を置く余地がございません。また3番/4番は、傾斜甲板の使用すなわち着艦を阻害する位置にあります。つまり、1番/2番よりも3番/4番の使用頻度が低くなるのは、説明するのも馬鹿々々しいほど当然な訳です。

     言葉を換えれば、CVN-77以前の平面プランでは多数機の持続的な同時連続発着艦は困難だったし、諦められてもいた。それがCVN-78に到って初めて、1-2コ編隊程度ならば同時連続発着艦を持続できるようになったということです。それはつまり、乾坤一擲の決戦が生起する蓋然性が減った代わり、米海軍の空母の隻数が少なくなったにもかかわらず、低脅威度紛争に於いて持続的なCAPやCASなどが求められる機会が増えたので、それに対応している訳です。

    ほねかわ

  33. え〜と「タッチアンドゴー」でもめておられるようですので、おせっかいを。

    通常の陸上機のタッチ・アンド・ゴー(touch-and-go)は、ご承知のように離着陸訓練です。つまりフラップを着陸モードにして、タッチ・ダウンし、一定の速度まで減速させた後,速やかにフラップを離陸モードにしてエンジン推力を増加させて、再び離陸するマニューバーです。

    それに対して、厚木なんかで艦上機が繰り返して騒音問題を撒き散らしているのは、あくまでもボルターを含めた着艦訓練で、決して離着陸訓練なんぞではありません。手順はご承知のとおりです。

    その二つの全く異なったマニューバーをマスコミがひっくるめて「タッチアンドゴー」と間違って呼んでいるだけなのです。英文でも、CarQualのためのtouch-and-goなどと間違って書かれていることは珍しくありません。

    しかし疑問を持っている方に、空母への着艦を「タッチアンドゴー」方式だと説明すると、誤解されても仕方がないと思います。
    豪腕少年タイフーン

  34. それと、アングルド・デッキの実用化の前と後では、着艦手順が全くことなっていますよ。

    直線式飛行甲板に着艦する際には、ウェーブ・オフを指示されないかぎり、LSOの指示でエンジンをカットして、落ちるに任せるしかないのです。運よくアレスティング・フックがひっかかるか、ワイヤー・バリヤーに脚を引っ掛けられるか、ネット・バリケードに包み込まれるかの三者択一になります。

    それでなければ、目が見えない操縦士を着艦させたりなど、できるわけがざありません。ご参考に、映画化されたそのエピソードです:

    http://thebrownshoes.org/AcrobatPDF/SCHECHTER,%20KENNETH%20A.%20%20%20KEN%20%20%205-49.pdf
    豪腕少年タイフーン

  35. ↑もちろん、ランプ・ストライクをしなければ、です。
    豪腕少年タイフーン

  36. >>34-35
    >着艦手順が全くことなっていますよ

     度々ありがとうございます。それはつまり、>>30に指摘したところのストレート・デッキに於ける連続着艦および強制収容を指しておられると解して宜しいですね?。単機毎の収容ならば、滑走制止索=ワイア・バリアも滑走制止装置=ネット・バリケードも用いる必要がなく、ボルターしていたと認めておられると。

    >目が見えない操縦士を着艦させたりなど…

     ジェット化/傾斜甲板導入の後でさえ、操縦士の負傷のみならず機体の被弾などによって、ウェーブ・オフどころかボルターも困難なケースがあり得ます。現代、傾斜甲板に残されたネット・バリケードは、そうしたケースに於いて一発勝負で収容するための備えなのでしょう。
    骨皮道賢

  37. >36、骨皮道賢さま

    私は、あまり粘着器質ではないつもりなのですが、明らかな誤りですので、訂正させてください(私は私学理系3教科だったので、国語の入試を受けていません)。

    >30に指摘したところのストレート・デッキに於ける連続着艦および強制収容を指しておられると解して宜しいですね?。単機毎の収容ならば、滑走制止索=ワイア・バリアも滑走制止装置=ネット・バリケードも用いる必要がなく、ボルターしていたと認めておられると。

    何を同読んだらそのように理解されたのか、私にはわかりかねますが、私は30で、ボルターとの用語はアングルド・デッキができてから初めて使われた用語だと理解しております。ですから、いくらクリーンな飛行甲板でも、直線式の空母では、ボルターの意義は全く関与しません。ともかく、朝鮮戦争時代の米国海軍の直線式飛行甲板の空母を話題にしているのに、帝国海軍の海軍航空の話題を持ち出されても、話がややこしくなるだけで、なんら建設的なご教授にはならないと存じます。

    ただし、時間が十分にある場合にかぎってなら、被弾機など問題のある機体を着艦させる場合には、可能な限り飛行甲板をクリーンにするように努力するのは、当然のことだと存じます。だぶんちゃんとしたマニュアルもあるはずですので、もっと詳しい方にお尋ね下さい。
    豪腕少年タイフーン

  38. >>37
    >ボルターとの用語はアングルド・デッキができてから初めて使われた用語だと理解しております。

     ご不快の念、真に申し訳なく存知ます、いやマヂで。ボルターには、へぼ助とか間抜野郎とかのニュアンスが被せられているでしょうし、その発生起源を探ることは、それはそれで興味深くはありましょう。さりながらボルターには、オン・スロットルが前提であり、着艦制動索を捉え損なっても(更に失策を重ねない限りは)安全に離脱し得るという予見/ないし「大抵そうなる」という実態があるように思われます。だからこその、嘲笑や侮蔑の対象なのでありましょう。
     貴兄の文意は理解している所存ではあります。とはいえ、それをボルターと称ぼうが称ぶまいが、オン・スロットルで着艦を試み、もしフックがワイアが捉え得ずとも離脱して着艦を再び試みる点に於いて異ならない。それを認めていただきたく存知ます。
    骨皮道賢

  39. 1)緊急着陸とクリヤー・ザ・デッキ

    ストレート・デッキの空母への被弾機などの緊急着陸の際には、映画などではクリヤー・ザ・デッキと放送され、飛行甲板前方に駐機している他の機体はもちろん、始動車なども全部片付けられてしまいます。実際に起こったことなら、1975年4月30日のサイゴン陥落の際に、空母ミッドウェーにセスナO-1が着艦に成功しています。避難してきたヒューイなどを全部海に捨てて、飛行甲板をクリアーにして、ストレート・デッキのように普通に着艦したようです:

    http://www.lettersofnote.com/2011/03/permission-to-land.html

    正式な対応マニュアルがあったのかどうかは存じませんが、ストレート・デッキの空母へ緊急着陸の際には、可能な限り、クリヤー・ザ・デッキとの命令がでたと思われます。


    2)ストレート・デッキの空母のLSOの指示

    ストレート・デッキの空母に着艦する際には、LSOは2つの指示のどちらかしか出しません。すなわち、(エンジン)カットかウェーブ・オフかのどちらかだけです:

    http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/19/LSO_signals_day_US_Navy_1945.jpg

    着艦のやり直しを指示されないかぎり、直ちにエンジンを切って、後はLSOの能力と運に任せるしかありません。まっているのは、1)ランプ・ストライク・2)ケーブルのフッキング・3) ワイヤー・バリヤーを引きずりながらネット・バリケードに止めてもらう ・4)直接ネット・バリケードで翼を包み込んで止めてもらう。の4者択一しかありません。

    アングルド・デッキとMirror Landing Aid(IFLOLS)やMOVLASが実用化されて、やっとランプ・ストライク以外の問題はかなり改善しました。しかしグライド・スロープよりも激しくピッチングをしたら、どうしようもありません。絶対に着艦は不可能になります。ですから荒天での着艦時に、LSO(もちろん操縦士も)が一番嫌うのは、想定範囲以上の不意のピッチングなのです。
    豪腕少年タイフーン

  40. >>37
    >ボルターとの用語はアングルド・デッキができてから初めて使われた用語だと理解しております。

     ご不快の念、真に申し訳なく存知ます、いやマヂで。ボルターには、へぼ助とか間抜野郎とかのニュアンスが被せられているでしょうし、その発生起源を探ることは、それはそれで興味深くはありましょう。さりながらボルターには、オン・スロットルが前提であり、着艦制動索を捉え損なっても(更に失策を重ねない限りは)安全に離脱し得るという予見/ないし「大抵そうなる」という実態があるように思われます。だからこその、嘲笑や侮蔑の対象なのでありましょう。
     貴兄の文意は理解している所存ではあります。とはいえ、それをボルターと称ぼうが称ぶまいが、オン・スロットルで着艦を試み、もしフックがワイアが捉え得ずとも離脱して着艦を再び試みる点に於いて異ならない。それを認めていただきたく存知ます。
    骨皮道賢

  41. ↑このコンテンツは疑問に対して、出典が明記された根拠のある真実、もしくはシーストーリーなどで蓋然性の高い事項を無償で回答し、管理者に無償でログまで作っていただいています。認めるもなにも、今後誰が読むかわからないのに、全く間違った回答を看過するわけにはまいりません。読む方に全く無視するようにアドバイスするか、管理者に削除をお願いするしかなくなってしまします。


    このスレッドが長くなってしまった責任者の私は、空母が着艦作業をしている際には、風上に向かって直進していることをよく存じております。また、空母には自動操縦装置などは全く装備されておらず、操艦担当者(COまたはOOD?)が操舵員に命じて動かしていることもよく理解しております。その上で、私は16の最後のパラグラフで:

    >飛行作業中の空母の操艦は、どの程度機械的(これはメカニカルにと言う意味ではなく、「きかい‐てき【機械的】 [形動]3 機械が動くように、意思をもたずに決まった動作を行うさま。『―にページをめくる』」との意味で使用しましたが、誤解を招きましたでしょうか?)に直進させているのかは、私もぜひ知りたいところです。

    との、質問を追加したまでです。単に愚直に空母を直進させるだけならば、なぜもっと正確なはずのコンピューターに操舵をまかせないのか、不思議でなりません。私の知るシーストーリーからでは、荒海での飛行作業中の操艦担当者は、可能な限り艦の動揺を少なくするよう努力をしているように思っておりました。

    まだどなたからもご回答をいただいておりませんが、もしこの追加質問に出典のはっきりした解説いただければ、幸いに存じております。
    豪腕少年タイフーン

  42. 骨皮道賢さんも豪腕少年タイフーンさんも此処では無く御自分で質問なり、議論ボードなりに書かれる事をお勧めします。


    SC


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