304 太平洋戦争中の日本海軍潜水艦に搭載されていた航空機には
30KGの爆弾が搭載できたとありますが、これで敵の駆逐艦
に対抗できなかったのでしょうか?
金魚

  1. 零式小型水上機の爆装は最大で6番2発ですから、要目としての爆装は対艦戦闘ができる威力を持っています。
    けれども潜水艦搭載の飛行機を飛ばす為には浮上した状態で格納筒から分解状態の飛行機を引き出して組立てを済ませ、燃料を入れ発動機を暖機運転した上で射出しますから、これだけの手間を掛けているうちに駆逐艦からの砲撃で艦ごと制圧されてしまうのが普通です。
    飛行性能や、照準装備、そして回収など困難な課題が多く、敵駆逐艦発見と共に急速潜航するより上策とは言えません。

    BUN

  2. 零式小型水偵は、良く組み立て開始から発進可能時間まで10分強と書かれていますが、伊25による米本土爆撃の一回目の手記を読む限り、浮上→組み立て→爆装→発進までに30分掛かっています。
    手記上では「マニュアルよりは早い時間」と言っていますから、爆装を行っての発進は、浮上してから30分超の時間が掛かるのは普通だった様です。
     これを駆逐艦が見えた段階で行っていたら、如何考えても砲撃を受けているか、艦載機が呼ばれるか、という伊号にとっては昏い未来しかないでしょう。



  3.  潜水艦は浮上中が最も脆弱な状態であり攻撃されればひとたまりもありません。水上砲戦の能力は駆逐艦にとてもかなわない。
     当時の潜水艦は、水中航そう能力がきわめて低く離脱が困難であるため、たとえば潜航中に潜望鏡が発見されるなど位置が特定されると、生存は運を天に任せる状態となります。つまり潜水艦の生存の可否は敵駆逐艦が握るのです。
     以上の状況から、潜水艦がレーダー等で発見される距離以内では航空機は発艦できません。
     それより遠くで水上機を搭載している艦が搭載機を発艦した場合、搭載機は通常零式小型水偵ですが、オレゴン州を爆撃した藤田中尉の機は特別に翼下に爆弾搭載装置を取り付けて出発しています。もし、全ての搭載機が爆弾を積めたとしても爆撃装置は無く命中率は極端に低くなります。当ってもこの程度の爆弾では1隻も沈められないとみて良いでしょう。しかも相手は1隻とは限らないのです。もっとも、それ以前にセスナ機のような軽飛行機で速度は180km程度しか出ない偵察機、敵艦艇に接近すれば、対空射撃でひとたまりも無く撃墜されるでしょう。万が一攻撃が成功して機体が無事でも母潜が潜航離脱している状態の中、限りある燃料でどこへ逃げるのでしょうか、太平洋はとてつもなく広いのです。
     これを要するに、敵に所在を知られない状態を維持しでようやく戦闘能力を発揮できる潜水艦が、あえて無力な偵察機を攻撃に向かわせる道理は無いということでしょう。
    つっち


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