382 日本において、蒸気タービン駆動+可変ピッチプロペラを備えた艦艇はありましたか?航空機では可変ピッチプロペラが戦前から装備されているのに、艦艇では採用されていない理由が分かりません。製作技術・制御技術に難しい点があったのか、必要性がそもそもなかったのか…
効率の良し悪し?後進タービンの有無?多軸艦で悪さするか?などと要素々々を考えてみましたがサッパリです。
よろしくお願いします。
太助

  1. 可変ピッチプロペラはエンジンの回転方向と回転数が一定のときに利点を発揮するモノですから、むしろ内燃機関との相性が良いワケです
    蒸気タービンはノズル使用数または操縦弁の開度によって回転数を広範囲に加減できますので、構造簡単で故障も少なそうな固定ピッチプロペラのほうが向いていた、ないしは実用上差し支えなかったってコトじゃないでしようか
    可変ピッチプロペラならば後進タービンは省略可能ですが、もともと力量が小さく段落数も少ないので、個別シリンダーで造ることは少なく、たいていは低圧前進タービンと同一ケーシングとしますから、省スペース・重量軽減のメリットは少ないと思われます
    あと航空機との比較で言えば、高度によって密度が激変する空気に対して水はほとんど密度一定という違いがあります
    駄レス国務長官

  2. 回答ありがとうございます。
    可変ピッチプロペラは後進タービン絡みのメリットは少ないんですね。

    あと、お騒がせしました。
    蒸気タービン+可変ピッチプロペラの組み合わせは、2007年の耐氷LNG船が世界初だそうです。
    http://www.jasnaoe.or.jp/lecture/page/080428_soy.html

    いったん筆を置きます。
    太助

  3. 内燃機関ということで、ディーゼル+可変ピッチプロペラについて調べてみました。
    最も古そうなので、1963年起工の津軽丸あたりでしょうか?
    http://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%A5%E8%BB%BD%E4%B8%B8_(2%E4%BB%A3)

    その他は石油ショック以降の導入ばかり目につきます。以下のリンクは350トン系巡視船において、1972年竣工の「やえやま」から可変ピッチを導入したとの記述です。(P.30)
    http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/044.pdf

    航空機に比べて、船舶は航続距離がシビアに扱われることが少なかったために可変ピッチプロペラが採用されなかった、ということでしょうか?操作性も上がるけど、第一は燃費とプロペラ価格のトレードオフなのかな?

    太助

  4. >>1 内燃機関と相性が良いというのがよくわかりませんので教えて下さい。
    ガスタービンと蒸気タービンを比較して考えた場合、

    ガスタービンの入力:カロリー不明の燃料・空気流量
           出力:回転数

    蒸気タービンの入力:圧力・エンタルピ不明の蒸気流量
           出力:回転数

    とみなすと、両方とも同じようなものかなと思えてしまいます。損失やら真空度やらストールやら時定数やらなんちゃらサイクルやら他にも要素はあると思いますが、ざっくり考えた場合です。
    外燃機関・内燃機関で分けて考えなきゃならんのでしょうか?
    太助

  5. >4.
    ざっくり考え過ぎでしょ
    んなコト言ったらどの熱機関も同じです
    回転数/トルクカーブを考えては如何でしょうか
    駄レス国務長官

  6.  エンジンの効率のよい使い方は、一定の回転数を維持し続けることです。回転数を変動させると効率がすぐに悪くなります。自転車でも、走り始めが一番力がいりますし、車も加速を繰り返すと燃費が悪くなります。このため、自転車や自動車などよりずっと大きな船舶の場合、どのような機関を搭載しても、一定回転数を維持していないと燃料費がかさみます。商船が最高速力よりも経済速度を重視する理由はそこにあります。
     ところが、軍用艦艇の場合は、一定の速度で走るよりも最高速度が重要ですし、加減速も必要です。蒸気タービンが開発されると艦艇の間で急速に広まったのは、これが原因です。しかし、一部の高速を必要とする船舶以外ではそれほど需要がなく、レシプロ機関が愛用され、これをディーゼル機関が更新していきます。
     一方、ガス・タービンが登場すると、小型である、起動が速い、大出力がでるというような諸特徴から、艦艇用として好適なものと捉えられました。ただ、構造上、反転はできないという問題はありましたが、蒸気タービンのように専用のタービンをつけるわけにはいきませんでした。アイドリング状態でもかなりの燃料が必要なこと等もあるとは思うのですが、高価だったからだったと思います。
     その上、効率のよい回転域が非常に小さいので、一定回転数を維持し続けることが重要でした。しかも、これはガス・タービンの最大の欠点でもありますが、燃料をガブ呑みします。このため、一部の超高速船以外には民間船舶には使用されませんでしたが、軍事用としては大きな魅力があったので、エンジン側ではなく、出力側で工夫をしようとしたわけです。
     これが、可変ピッチ・プロペラの必要だったわけです。つまり、定格出力を維持しながら、プロペラのほうの傾きを変えて速度や回転方向を制御しようというのです。そうでもしないと、燃料代がとんでもないことになるのです。
     船舶用の可変ピッチ・プロペラが登場した初期には、限られた用途のものでした。どうしたって、プロペラ軸が大型化、複雑化するからです。したがって、単純なものより、高価で、故障もしやすくなりますので、狭い港内で前後進する必要性がある船以外には使われていませんでした。ですから、このシステムを採用した最初の船が津軽丸かどうかは、私は知りませんが、大いにありえると思うのです。連絡船は、狭い港内で前後進する必要性があるです。
     http://ansqn.warbirds.jp/logs-prev/B001/B0003172.html
     駄レス国務長官閣下が上記の6に、二重反転プロペラが軍艦に採用されない理由を端的に述べられていますが、同様の理由で、可変ピッチ・プロペラも軍艦には採用されないと思います。それが全面的に変わったのは、ガス・タービンが使われるようになったからです。そして、民間船も含めて多くの船に採用されるようになったのは、燃料費が高騰したからです。最も経済的な回転数を維持しながら、最適のピッチを選んでより少ない燃料で走れるからです。
     素人なのに、長文を載せて、申し訳なく思っております。
     
     参考URL: http://turbotrain.net/fuelconsumption.htm
     
    hush

  7. >>6 hushさん、丁寧な解説いたみいります。
    艦艇ではガスタービンの短所を補うために、民間船舶では燃費のための可変ピッチプロペラなのですね。ありがとうございました。
    太助


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