706 こんにちは 現代の戦闘艦の機関出力の信号は操舵室から機関室に電気的に送られているのは分かるのですがその信号は自動車のようにダイレクトにエンジンにアクセスしているのでしょうか? それとも機関員が仲介してエンジン出力を調整・操作をしているのでしょうか?
東方

  1.  統合艦橋システムを採用している艦艇、たとえば特務艇はしだては、直接、艦橋から機関を操作しているようです。ただ、海上自衛隊のほとんどの艦艇にエンジン・テレグラフが置かれていますので、機関室でその指示を見た機関員が操作する方式であろうと思われます。
     他の国の場合はよく知りませんが、似たような状況ではないでしょうか。
     
    hush

  2. あさぎり型護衛艦のWikipediaには以下の記述がありますね。これによると「艦橋からの遠隔操縦」と「テレグラフを介した操縦」はメイン/サブの関係ではない、要は使い分けだと読めますが、個人的感想では艦橋からの直接機関操作がメインなのではないかと考えています。

    -----Wikipediaより-------------------
    なお本型より、主機運転について、艦橋からの遠隔操縦が導入された。これは、従来より用いられてきたエンジンテレグラフによる速力指示機構と併設されており、適宜に選択して用いられた。一般的には、精密な操艦が求められる出入港時、洋上補給などの洋上作業時、総員戦闘配置時にはテレグラフ方式、それ以外の外洋行動時には遠隔操縦方式が選択されることが多かったとされている[6]。

    太助

  3. hush様 太助様 前々から気になっていた疑問に回答いただき感謝いたします 直接操作も可能というのは私は想像はしていましたがやはり出来るのですね! 艦艇は奥深くてますます好きになっていきます! 丁寧で詳しい解説本当にありがとうございました
    東方 2015.12.23

  4. >2
     フォロー多謝。
     エンジン・テレグラフがあるからといって、遠隔操作ができないということではないのですね。御指摘感謝申し上げます。
     ところで、きり型でそのようになっているのでしたら、以後の護衛艦でもそのようになっているはずだと思って調べてみましたら、むらさめ級にも遠隔操作用コンソールが設置されておりました。したがって、現在の護衛艦のほとんどが、艦橋からの直接操作が可能になっているのではないかと思っております。
     なお、「戦闘艦」という御指定がありましたので触れておりませんでしたが、随分と前から、民間船舶では遠隔操作は当たり前になっております。これとメンテナンス・フリーの主機により人員を大幅に減らすことができ、人件費を浮かすことができるからです。
     ただ、民間船舶の場合、出入港時以外は一定の速度で航行するのが通常ですが、艦艇の場合はそうではありません。また、艦橋に被弾しただけで航行不能になるというのは問題ですので、そのように二重の方式を採用しているのだと思っております。
     実際、イージス巡洋艦ヨークタウンをスマート・シップ計画により、コンピューターによる自動運転を行っていたところ、制御不能になって2時間45分にわたって航行不能になるということがありました。ただ、軍においても人件費は押さえたい事情はあり、この種の自動化、省力化はかなり進んでいると愚考致しております。
     
    hush

  5. 便乗です。以前体験乗艦の機会があったときに知ってから気になっていたのですが、
    なぜわざわざ艦橋から指示→機関制御室で操作という手順を行うのでしょうか。
    バックアップのために両方で操作できた方がよいというのはわかるのですが、そうだとしても不測の事態が起こるまでは艦橋からの操作で良いと思うのですが。
    せつ

  6. >5
     その不測の事態がいつ起こるか分からないからではないでしょうか。
      
    hush

  7. ゆき型以前:操縦室操縦のみ
    艦橋からテレグラフで指令し、操縦室で機関操作をします。

    きり型:基本は操縦室操縦、艦橋操縦も可
    操縦室にある操縦盤の簡易なものが艦橋にも設置され、直接操縦が可能となりました。
    しかし、その操作には専門の知識と技能が必要なため、使用時には機関科員が昇橋して機関操作に当たります。

    あめ型以降:基本は艦橋操縦、出入港時などは操縦室操縦
    それまで操縦員の技量によっていた細かな操作が、コンピュータ化されたことで極めて容易となり、機関科員以外でも操作可能となりました。
    ただし、出入港や洋上補給など誤操作やコンピュータのエラーが許されない場面では、やはり操縦室で機関科員が操作します。

    操縦室では、機関の操作だけでなく、主機の運転状況や電機系統、冷却器系統など操縦に必要な様々な情報をモニターしています。(例えば、海水温度が上がると冷却能力が下がって負荷が大きくなる、気温が高いと出力が下がる等)
    緊急時など、艦橋は無理な機関指示をしがちですが、操縦室的に好ましくない状況は多々あります。
    その微調整や、どうしても無理な場合のリコメンドなどはコンピュータには不可能で、やはり人の手でやらなければなりません。
    未だにテレグラフが残されているのは、こういう事情もあるものと思います。
    YK

  8. なるほど、数秒間のエラーも許されない状況ということですね
    せつ

  9. >7 興味深く拝見させて戴きました。
     
    hush

  10. 民間商船でも機関制御室ではYK様が書かれているように機関室内の主機、補機、冷却器などの動作や圧力、温度などをモニタリングしています。
    その様子を確認しながら機関員は主機を立ち上げて、動作が安定してからブリッジに制御を渡すのが流れとなっています。
    ブリッジにも制御室や機側に備え付けと同様のエンジン制御装置があるため、エンジンの回転数を制御するだけならばブリッジと制御室の機能に変わりはありません。
    現在のエンジンは電子化が進んでいるため電気信号的には制御室でもブリッジでも機側(の操縦盤)でも同一です。
    ですが、制御室内の機器のように補機等をモニタリングする機能はないので、エンジンの立ち上げや低速回転中などは機関制御室での操作に切り替えています。
    ブリッジの言うとおりにエンジン回転数を急速に上げて、冷却器の制御が追いつかずにオーバーシュートしてアラームだらけになって大わらわになった時に、以前の職場の先輩からブリッジにエンジン制御を簡単に上げるなと叱られたことがあります。
    あくまでも民間の新造時の公試の時の話ではありますが、艦橋、機側、機関制御室からの操作が可能な自衛艦でも事情はそれ程変わらないかと
    後任伍長


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