720 大和型の水中防御って米艦より弱いんですか?聞く所によると、水戦下装甲繋ぎ目がアキレス腱で、そこに食らうと区画を潰してしまうと言われています。しかし、そこまで装甲を延長していない米艦は、そこに食らえばどのみち区画が壊されるじゃ無いですか。ノースカロライナみたいなヤツの方が弱いんでは?酸素魚雷はウソで、食らったのは89式魚雷なんていうややこしい名前の魚雷だそうじゃないですか。TNT換算でMK14の半分以下の威力です。
山本5600

  1. 装甲部に魚雷が命中すれば非装甲部に命中するよりは被害は減少するでしょうが、基本的に魚雷は装甲で防御するものではありません。

    「ノース・カロライナ」型戦艦は舷側装甲を上甲板部より下約4.4mで中断しています。
    続く「サウス・ダコタ」「アイオワ」型戦艦は舷側装甲をテーパーを掛けながら艦底部まで延長していますが、これは水中を高速で突進し命中する水中弾対策用です。
    そして魚雷に対しては「衝撃を吸収する空間が狭くなり、ノース・カロライナ型戦艦より衝撃吸収能力が低下している」と判定されています。
    そのため、続く「モンタナ」型戦艦(未成)では「ノース・カロライナ」型方式に戻され、舷側装甲は艦底まで届いていません。


    また「大和」の装甲云々のお話は、命中魚雷の爆発衝撃で装甲自体が動いてしまい、その時一緒に動いた装甲取り付け器具が水密区画に穴を開けてしまったもので、修理時に「武蔵」と共に構造が改正されています。

    私的には、
    (1)艦体が大きく、予備浮力が大きい
    (2)最大幅がより広い(=魚雷の爆発地点より艦中心部の距離が遠い)

    などより、大和型戦艦の方が魚雷には抵抗力があると思います。
    (ちなみに大和型戦艦は「サウス・ダコタ」「アイオワ」式に近い防御形式となっています)
    Ranchan

  2. ですよね。大和の方が耐久力あると思います。ノースカロライナが食らったのが酸素魚雷だとおもってたんですが、まさかの空気魚雷でした。届くもんですぇ。あと、TNT換算が倍は間違いの可能性もありました。八九式はTNTじゃ無くて酸素魚雷と同じ九七式爆薬でした。どのみち、ノースカロライナですらこんな有様だと、サウスダコタやアイオワも知れますね。ただ、魚雷を当てる機会が無いだけで。あと、取り付け器具だったんですね。ありがとうございます。
    山本5600

  3. 1.世界の艦船の87年秋から88年の6または7月号に毎号ではないが牧野茂氏が「日米戦艦比較論」で説明をなさっていらっしゃいます(多少、うろ覚え)。但し、他の事情も在りやむを得ないが、爆薬の猛度、爆発位置、応急(ダメスタ)、溶接の範囲等に対する考察は多少物足りない気がします。
    2.魚雷の爆薬量、爆発位置にも由りますが、武蔵と信濃の場合には、舷側装甲は背材ごと内部に押込まれ、これにより機関室内への浸水が生じました。大和の場合、設計で想定した爆薬量は350kg(牧野氏)ですが、これはTNT換算だと思います。実際には、米国の航空魚雷の爆薬量は、その20%以上多かった(猛度にて)こと、下部舷側装甲の上端(海面下2.5m)の押圧に対する支持材の接続が付合わせでなくリベットによっていたことが理由と思われます。なお、魚雷は、戦艦に対しては水面下数mに調整されるのが普通です。
    3.牧野氏は、我国の場合には、米国と異なり、バイタルパートの防御とは別に、船内への浸水を極言して復元力を維持し、戦闘力の保持を図るという考えが無かった、このため魚雷防御の範囲が少なかったのも問題とされていらっしゃいます。なお、小生は舵機の防御、冗長性が少ないのも問題と思っています。
    4.牧野氏、マユズミ氏とも、(止むを得ない面も覆いがなんと言っても)非防御部の区画が広すぎ、1区画当たりの堆積が大きすぎた、このため1発命中した場合の浸水量が多すぎたことを挙げられていらっしゃいます。
    5.信濃は止むを得ない面がありますが、武蔵でも応急(ダメスタ)も必ずしも適切ではなかったと思われます。さる造船官が武蔵の場合について、「初期にもっと思い切った注排水を行っておれば助かった可能性が高い」と記されていらっしゃいました。
    6.牧野氏もサウスダコタはノースカロライナより対魚雷防御が劣るかも知れないと記されていらっしゃるが、これは錯誤と思われます。水中弾用の装甲は在るのと無いのでは、爆発に対する強度は大違いです。
    7.総合的には、米国の方が優れていたと思います。

    UK

  4. 3の6ですが、小生の記憶間違いでした。牧野氏は、「強化されていると思われるが、設計の目標値は同じである」旨記されていらっしゃいます。
    3の1ですが、水中防御は、1988年の1月号でした。
    UK

  5. UKさん、ありがとうございます。大和型の水中防御はやはり劣るのですね。

    パンジャンドラム


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