729 艦幅、メタセンタ高さ、GM/艦幅比と散布界はどれくらい関係しているのでしょうか?
GM幅値が少ないほど動揺周期が増大するということは、値が小さいほど散布界の向上に繋がるのでしょうか?
また、GM/幅比、GM値ではアイオワに劣る大和が安定性に優れるのは何故ですか?

totororo

  1. 第1文と第2文について
    艦幅、メタセンタ高さ、GM/艦幅比と散布界は、直接の関係はありません。
    散布界は、製造誤差、調整誤差、発射時の火薬の燃焼や砲身の振動や船体の歪の不整合等及び射法による人為的調整(日英は広く、ドイツは狭い)等によります。
    第3文について
    質問の意味内容が不明です。
    UK

  2. 斉射弾の散布ということでお話ししますと、

    斉射弾の散布の原因については次の記事が詳しいので、これを参照いただくのがよろしいかと思います。

    http://navgunschl.sakura.ne.jp/koudou/ijn/shahou/riron/youso/youso_sanpu.html

    即ち、艦の動揺が弾着の精度に影響するのは「照準誤差」によるためですが、砲側照準ならともかく、方位盤照準では全砲が同じ射撃計算値、即ち同じ誤差で発砲しますので基本的に散布界の問題にはなり得ません。

    方位盤での照準誤差は一つの斉射弾での散布ではなく、斉射毎の誤差、即ち「射心移動」の原因の一つとなって現れるに過ぎません。

    とは言いながら、日本海軍などのように、方位盤発射の場合でも各砲(砲塔)で射手(俯仰手)と旋回手がそれぞれ射撃指揮装置で計算された発砲諸元を表示する指示器の値に追従するように手動操作する機構(米海軍などの名称で「Indicator Firing Mode」)では、各砲の発砲に方位盤射手が引金を引いた瞬間から最大で4秒(発砲回路の通電時間)までの遅延が生じることになります。

    この秒時の間に方位盤射手の照準に誤差が生じた場合には、それぞれの砲の射弾に誤差が生じ、これが斉射弾としての散布の原因となり得ます。

    ただし理論としてはあり得ても、実際の射撃による経験値としては、これによる誤差はその他の原因によるものと比べて問題とするに足らない程度とされています。

    また、米海軍などの「Automatic Firing Mode」に切り替えた場合は、その名のとおり全砲全く同時に発砲しますので、上記の誤差が生起することはありません。

    艦船ファン

  3. 1の追加です。
    どの様に精度良く製造し、観測しても、ある程度の誤差が生じるのは避けられません。長門型戦艦では、30000メートルの距離で150メートル程生じたそうです(60年前に読んだ記事なので誤差がありえます)。また、当時は、大口径砲の砲身の俯仰角の調整は人が行うため、船体の動揺周期と整合しつつ射撃します。即ち、ピッチングやローリングによる艦の地球を基準とした角度変化の速度が最も小さい特に発射します。また、発射された弾丸が目標位置に到達するまでには30秒から40秒かかります。さらに、現在と異なり時々刻々に弾道を計算することは不可能です。従って、数門の艦砲を同時に発射する際には、公算射法が採用され、弾丸がある範囲内に分布するように設定されます。なお、小生は、具体的な設定方法は知りません。これが、散布界の設定であり、日英は広く、独は狭くされています。このため、GM値と散布界に直接の関係はありません。
    次に、第2文と第3文ですが、GM幅値、GM/幅比は、何のことでしょうか。
    また、安定性とは何の安定性、どの様な概念でしょうか。
    UK


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