737 30年ほど前から冷戦末期まで、「ソ連は、(補助的な部分ではなく)耐圧船殻にチタン合金を使用した潜水艦を建造している。」旨の記事をよく見かけましたが、本当だったのでしょうか。
UK

  1.  それを否定するものを読んだことはありませんが。
     http://weaponnavi.com/weapon01/9563/
     逆に、今年度にロシアの通信社がノーボスチが出した上記の記事には、誤訳でなければ、明確にチタン製原潜と書かれております。
     現在、チタン製の潜水艦が建造されないのは、建造費が高くなることと、鋼材の進化によりチタン製に近い耐圧船体ができるようになったからであり、当時、他国が追従しなかったのは、価格の問題もあったと思いますが、チタンは音波の反射が激しかっただろうと愚考致しております。
     なお、軍事用ではありませんが、日本の潜水調査船しんかい6500の耐圧船体はチタン製です。
     
    hush

  2. どうも有難う御座いました。なお、小生は(当時の米国の原潜における)5年毎の核燃料の交換時、あるいは原子炉に何か不具合があった場合には耐圧船穀を切断し、復旧する必要がありますが、チタン合金では不可能ではないかと思って質問しました。なお、スレッシャー号の沈没の原因も、沈没時の状況などから、その直前のポーツマス海軍工廠における耐圧船穀の切断、復旧時のミスと思っています。ましてや、ソ連において、さらにチタン合金においておや。
    UK

  3. 米海軍は「ALFA」級がチタン合金製船体であることは公表文書(例えば「Understanding Soviet Naval Development」など)でも正式に言っていますね。

    強度はもちろんのこと、軽量で非磁性体であることは潜水艦にとってメリットは極めて大きいです。

    艦船ファン

  4. アンドレイ・V・ポルトフ氏の「ソ連/ロシア原潜建造史(世界の艦船別冊)」にはチタン合金製の船体寿命は100年以上と見積もられ、20年ごとに装備の近代化を図って船体を解体・再溶接する構想が立てられた、とありますね。
    この構想に従って計画されたのが705/705K(西側呼称アルファ級)型で、2番艦以降がこの前提で建造されたようです。
    他にも同書によるとマイク級、シエラ級、パパ級がチタン合金船体で建造されているとなっています。
    薩摩

  5. 3,4;
    ご存知と思いますが、西側では、公式文書や公式の報国所においてさえ、軍事費を獲得する目的でソ連の兵器を過大評価して報告することが多々あります。ましてや、単なる公表文書においておや。マスコミも、読者獲得のためセンセーショナルに記載することが多々あります。
    現実の中近東における戦争の結果、ソ連の航空機や戦車等の性能、戦績はお粗末です。また、性能ではありませんが、北海道に逃げてきたMIG25は、チタン製でなく鋼鉄製でした。
    他の例を挙げるなら、アルファー型原潜等においても、採用されているといわれる溶融金属型の原子炉等は、舶用どころか陸上用においても、西側でさえ実用化されていません(「常陽」等の研究用の小型炉は、別)。
    小生は、今後ともこれらの記載の信憑性をフォローしていく心算です。
    なお、艦船ファン様、薩摩様に他意は全くありません。
    UK

  6. >5
    何をおっしゃりたいのか分かりませんが、では一体何のためにここで質問されたのでしょう。
    秘密文書の内容がホイホイと出てくるとでも?
    もちろん当方は非公開文書については “知りません” ので。

    艦船ファン

  7. 貴殿の目的はソ連の潜水艦にチタン合金が使われているか否かを知りたいって事では無いのですか?その疑問に対し明確な回答が出ているのに、訳の分からない一般論を持ちだしてイチャモンを付けるのはあまりにも回答者に対し不誠実では無いでしょうか。
    sa

  8. >5
    ではポルトフ氏の著作でアルファ級の原子炉が液体金属による冷却方式の何処に間違いがあり信用出来ないのか明示して頂けないでしょうか?
    「ソ連/ロシア原潜建造史」には同級の原子炉についても原潜基地のインフラ問題なども明記されており、新技術であるがゆえにその運用に苦労していたことが明確に読み取れます。
    加えて水中排水量わずか3000トン強のアルファ級に40ノット以上の速力を与えるために小型高出力が可能な液体金属冷却方式が採用され、これにより300トン以上の軽量化が果たされたとも書かれています。
    明確な証拠もなく同書の信用性を否定する発言をなされるのであれば、同書を購入の上巻末の参考文献の全てを読んだ上でどこが間違っているのかを明示して頂きたいものです。
    薩摩

  9. まあ、
    >小生は、今後ともこれらの記載の信憑性をフォローしていく心算です。
    とのことですから、氏から何らかの形で研究成果が報告されると思いますので、それで白黒決着が付く筈ですから待ちましょう。
    堂々立派な成果内容を期待しておきます。


  10. 4.5.6.7:
    液体金属原子炉の場合、燃料交換はどのようにして行うのでしょうか。陸上設備(例えば、「文殊」)でさえ、大変ですよ。
    4: ポルトフ氏が、実際にどの様な立場の人か不明です。また、「構想が立てられた」、「この前提で建造されたようです」では駄目と思います。米国のシーウルフは運転の制約の少ない液体金属原子炉で計画はなされましたが、実際には予算を流用して通常のPWRとなされました。まあ、第2次世界大戦後に、大型軽巡を多数建造したソ連のことですから、おかしな計画は多々あったと思います。実際がどうかを聞いています。
    軽水炉であれば、純度の高い軽水を原子炉の頂上に最低3メートル張って遮蔽とし、上から見ながら核燃料の交換を行います。従って、実際の軽水の厚さは数メートルとなります。溶融金属炉の場合には、炉心や交換装置を最初から位置決めして建造します。また、多数の付属設備も、多くは最初から位置決めして設置されています。何しろ、溶融金属は不透明なので。
    原子力潜水艦の場合、このようなことは不可能です。さらに、単に耐圧船穀を切欠き、強烈な放射線環境で再溶接するだけでも大変です(特別な遮蔽が必要です)。ましてや、チタン合金の場合には、あの当時実用的には電子ビーム溶接しかありませんが、どの様にして真空を保持するのか(F14の可変翼の基部、比較的小さい航空機用であれば可能でしょうが)。
    小生が知りたかったのは、主要部に用いたか否かです。
    これに限らず、基本的な技術事項について検討を行わずに、本に書いてあるからそうですというのが多すぎると思われます。


    UK

  11. >>10
    では「ソ連海軍がアルファ級の原子炉に液体金属冷却を採用しなかった」明確な証拠をまずは提示してください。
    貴方の書き込みは思い込みのみでその証拠となるものの提示が全くありません。
    なおポルトフ氏は旧ソ連&ロシア海軍の専門家で、1996年からロシア太平洋艦隊の公式通訳も務めていた方です(2007年時)。
    薩摩

  12. 11:
    採用の前提となる技術の不可能性、あるいはかなりの疑問点について10で充分に説明しています。小生が書いてある事項は、軽水炉、FBR、溶接の技術者において自明な事項です。うそだと思うならば、それらの分野におけるある程度専門の書籍を読んで下さい。
    なお、それらについて何も記さず、明確な証拠をまずは提示してくださいと記す事自体が、己の技術的無知をさらけ出しています。
    なお、ポルトフ氏が専門家といっても何処までの専門家か、どの様な立場にあった人か、公式通訳等は、技術に関しては話にならない。
    小生が本当に質問したいことは、原子力潜水艦の基本計画、運用等について責任ある地位に居た人(大日本帝国海軍であれば、平賀中将等)が本当に建造し、運用したと言っているのか、若し言っているのであれば上述の技術的問題をどの様にして解決したのかです。
    解決手段の説明無しに、無条件に実現を信じるわけにはいきません。
    UK

  13. >9
    そうですね、“ご自分の知識で”理解できないことは信用されない方のようですから。

    既に出ている米海軍の公文書やポルトフの著書はもちろんのこと、Norman Polmar、Milan Vego、A.S.Pavrov、G.YU.Illarinov などという
    その道の権威がどの様に書こうとも

    >解決手段の説明無しに、無条件に実現を信じるわけにはいきません

    だそうですから、きっと立派な成果内容がご披露いただけることでしょう。

    艦船ファン

  14. >>耐圧船穀を切断し、復旧する必要がありますが、チタン合金では不可能ではないかと思って質問しました。

    潜水艦の船体は魚雷型や涙滴型に一体成型して作っているのではありません. 一枚板をロール加工して曲げたものを何枚も継ぎ接ぎの溶接をして船体を作っています. チタンであろうと切断・溶接は可能ですし、それが不可能ならそもそも最初から船体を作れません.
    深海潜水艇の場合は、たしかチタンの半球をレーザービーム溶接か何かで2つくっつけて作ってたはずです.(鋼材のようなバーナー使った溶接ではありません)
    素人ですが

  15. チタン合金製船穀の旧ソ連の原潜としては、以下の4種類が有名ですね。
    (1)1隻のみ建造されたK-162(後にK-222)[プロジェクト661アンチャール(Anchar)、パパ級巡航ミサイル原潜、1968年12月進水、1971年には44.7 ktの潜航中速力の世界記録を達成]
    (2)705型リーラ(プロジェクト705リーラ(Lira)アルファ:Alfa級)1971年竣工・就役
    (3)コムソモレツ(Komsomolets)、K-278、プロジェクト685 Plavnik、マイク級攻撃型原潜、1983年6月進水、 1983年12月就役。1985年に深度1027mの潜航を実施。
    (4)プロジェクト945/945A/945B、シエラ級攻撃型原潜、 シエラ1型の一番艦は1990年から就役を開始し、同じく2隻を建造。

    チタン素材の製造や加工技術ではソ連/ロシアは米国等に並ぶ国ですが、特にチタン合金の大型部材の製造技術はロシアは世界最高レベルにあり、それはソ連時代に既に確立されていた技術ですね。
    スポンジチタンの製造、スポンジチタンを溶解したインゴットの製造、インゴットから板材、鍛造材、型材などの展伸材の製造とチタンの主要3工程を一貫して行える企業は米国のTAIMET、ATI(Allegheny Technologies Incorporated)、ロシアのVSMPO-AVISMAの3社に限られ、VSMPO-AVISMAは世界最大のチタン総合メーカーです。
    VSMPOでは、1959年から鍛造設備を導入しチタン展伸材工場として発展していきますが、1960年代以降は、航空機のチタン適用拡大、チタン合金製潜水艦の開発などチタン展伸材増産、大型化の需要が増えていったそうで、旧ソ連では1960年にチタン合金の加工技術が完成したためチタン合金を使用した潜水艦船体の設計が開始されたと言う話とも整合しますね。
    潜水艦に適したチタン合金の開発、大型展伸材製造技術の開発、大型チタン合金材成型の技術、溶接技術が開発されていったわけですが、チタンの加工は大型になるほど困難さが増しますから、チタン合金製船穀の潜水艦を完成させた当時のソ連の技術力はかなりのものだったと言えるでしょう。
    しかしソ連崩壊で旧ソ連でのチタンの需要は急落することになります(チタンの主要用途は先ず航空機、次にチタン製潜水艦でした)。ロシアのチタン産業は、壊滅した旧ソ連の需要に代わり主に輸出市場に活路を見出すことになりました。
    欧米に劣らぬ品質の製品をより低コストで提供できるので、現在ではボーイングやエアバス等の機体メーカー、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)やロールスロイス等のエンジンメーカーなど欧米の主要航空関連企業はロシア製のチタン合金製品を色々と採用しています。一例としてボーイング787の胴体(中央翼)と主翼を結合する大型の接合部材(長さ5.2m)や前脚や主脚のランディングギア(チタン鍛造材)などがロシアVSMPO-AVISMA社の製造品が使われています。

    チタン・チタン合金は高温では極めて活性になり大気中の酸素や窒素などのガスと反応すると溶接部分は硬化して脆くなります。従って溶接する前に溶接面を十分に清掃・脱脂すると共に溶接時はアルゴン等の不活性ガスでシールドするか電子ビーム溶接のように真空中で行う必要がありますね。
    チタン・チタン合金の溶接には一般的に以下のようなものがありますが、通常一般的に使用される溶接法は(1)のTIG溶接が多く、厚板の溶接には高能率のMIG溶接が多いようです。ただしMIG溶接のガスシールド治具は、より規模が大きいものが必要とされます。
    (1)イナート(不活性)ガスアーク溶接
     ・ティグ(TIG)溶接
     ・ミグ(MIG)溶接
    (2)プラズマ(Plasma arc)溶接
    (3)電子ビーム(Electron beam)溶接
    (4)レーザービーム溶接
    (5)抵抗(Resistance)溶接

    1960年代の初頭に米海軍では潜水艦の新しい船殻用材料として当時開発していたHY150高張力鋼が技術的に未解決な部分があったので高張力鋼に代るものとして、チタン合金の利用が検討されたことがあります。.
    板厚50mm、降伏点120,000psi(84kg/平方mm)(HY120鋼相当)のチタン合金とかの溶接の問題が研究されました。.
    例えばTi-6Al-4Vの母材に5Al-2Cb-1Taの心線(細径の電極)を用いMIG溶接した場合に比較的良好な結果が得られたとされます。
    当時のソ連でも同様なチタン合金の溶接法が開発・使用されたのではないかと思います。
    MK@2004-

  16. >15
    ご紹介ありがとうございます。

    >以下の4種類が有名ですね。

    有名と言うより、チタン合金製は技術的問題ではなく建造費の点から Sierra (Proj. 945) 型で打ち切られ、以後高張力鋼製の Akura (Proj. 971)型などへ移行していますので、今後のことはともかく現在までのところ全13隻が全てですね。

    艦船ファン

  17. >>16
    一応特殊任務用の1910型、1851型、10831型合計6隻もチタン合金製ですね。
    純然たる戦闘用ではないので「原潜」の括りに入れるかどうかは微妙な所ですが。
    後は01210型もチタン合金製の可能性があるようです(セラミック系とも言われ未だ詳細不明の特殊艦、潜航深度6000mってホントかいな?)。
    薩摩

  18. >17

    >「原潜」の括りに入れるかどうかは微妙な所ですが。

    はい、試験・実験・特種用途用のものはもちろんカウントしていません。

    それに Project 01210 を始めとしてこれらはまだ確たる情報が出てきて
    いませんので、これが確定するのは“今後のこと”ですね。


    艦船ファン

  19. 15の書き込みでチタン製造企業で有名な米国のタイメット社のスペルを"TAIMET"と誤記しているのに気付きました。"TIMET"に訂正します。

    尚、ソ連崩壊後の1990年代以降の話ですが、ウラジオストックで解体された旧ソ連の潜水艦船体に使用されていたチタン合金の大型スクラップ材の売り込みが日本業者にもあったが、結局断ったと言うのを聞いたことがあります。
    ロシアの業者側からは一括購入の要求だったようですが、あまりに大量で大型であり、原潜に使用されていたもので残量放射線が強かったのが断った主な理由と聞きました。
    (解体されたアルファ級原潜の船体のスクラップ材だったと思います)

    液体金属冷却方式の話も出ていましたので、以下ご参考まで。
    液体金属冷却原子炉(LMR:Liquid Metal Reactor)を使用した原潜には、アメリカ海軍では1957年に就役したシーウルフ級(初代)のSSN-575 Seawolfがありますね(当初は液体金属冷却炉のS2Gを使用)。しかし、原子炉関係のトラブル多発によりノーチラス級同様の加圧水型原子炉のS2Wに1958年12月から約2年かけて交換工事を行っています。
    米国のS2Gは一次冷却系の液体金属冷却剤としては一般的な金属ナトリウムを使用するものでした。

    一方、旧ソ連では645型(改ノヴェンバー級)に搭載のVT-1原子炉以来、ビスマス・鉛合金を一次冷却系の液体金属冷却剤として使用するのが標準となったようです。
    ビスマス・鉛合金は、金属ナトリウムに比べれば腐食し難いことや漏れて二次冷却水に接触しても炎上したりしない反面、ポロニウム210(210Poは非常に強い放射能を持つ)が一次冷却系に発生するなどの保守整備の面ではそれだけ厄介になる欠点があります。
    そして液体金属冷却方式は常に一次冷却系を高温に保っておかないと固着して閉塞する欠点もあります(例えば125℃以上に維持要)。
    ちなみにVT-1原子炉の液体金属温度は440℃、加熱蒸気温度355℃とのことです。
    液体金属冷却方式は水よりも高温にできて熱交換効率が良く、加圧水型原子炉のように一次冷却系を加圧する必要が無く、自然循環式にできるため循環ポンプを不要とすることも可能で静粛化にも寄与します。(米国のオハイオ級SSBN等では加圧水型原子炉使用ながら低速航行時には循環ポンプを止めて自然循環で冷却しているようです)

    1番艦が1971年に竣工・就役した705型リーラ(アルファ:Alfa級)では小型高出力のOK-550(705K型となった2番艦以降はBM-40A)型液体金属冷却炉(出力155MW)1基、OK-7K(ギヤード)蒸気タービン1基1軸約38000馬力を使用し、水中排水量約3100トンと軽量小型化した船体等により最大水中速力40kt超とされ、大西洋などでも実際にその高速性をNATO側から確認されていますね。
    MK@2004-


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