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いわゆる除氷作業についての疑問です。国籍を問わず、北海やオホーツク海などを航行中の艦艇では甲板上に張り付いた氷塊を乗組員が毎日取り除いていたと聞きますが、この作業はどの程度の頻度で、また何時くらいの時間帯に行うことが多かったのでしょうか?
作業中の写真はいくつか見つけたのですが、その詳細が分からずもやもやしております。かなりマニアックな内容ですが、ご存知のかたがいましたらお教えください。
のけ

  1.  何か参考になることはないかと、アジア歴史資料センターで北洋で活動していそうな艦の戦闘詳報、戦時日誌を漁ってみましたが、管見の限りでは見つかりませんでした。
     したがって、以下は憶測になります。

     甲板よりも、高所に結氷しますと重心が高くなって横転の可能性が出てきます。もちろん、艦艇の高所部にそれほどの面積があるわけではありませんが、 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjasnaoe1968/1972/131/1972_131_137/_pdf で読める「船舶の着氷について」という講演では、船橋前面の着氷量は385kgであったのに対し、上甲板上に仮設した2条のライフラインでは357sとほぼ同量の着氷量があったと記されているように、索具類やヤードに着く氷の量は存外に多いわけです。これは、壁面、甲板上等については面積当たりの氷の量になるのに対して、ロープやパイプ等には同じ厚さの半径の氷、つまり、直径では2倍の量となるからです。このため、横転したという記載が同じ講演の第1報のほうに海外の情報として記載されています。したがって、この氷を取り除くというのは、危険性が生じる可能性が出たら早急にということになります。
     つまり、どの程度の頻度で、どのような時間帯に作業を行うものかというのは、状況次第ということになり、深夜でも、必要があればしなくてはならないということにます。
     逆に結氷の程度が小さければ、作業が危険と思われた場合、放置しておくでしょう。
     もちろん、砲塔、魚雷発射管やレーダー、それに揚錨機等の可動部分や艦橋の窓等は凍りつくと問題ですし、甲板を作業や移動の際に困難を生じますので、除去しておいたほうがいいと思います。
     ところで、御質問が最後に書いたようなケースを想定されている場合、回答するような知識は持っておりませんが、甲板が凍り付いていると作業時に危険が生じますので、外に出る前に行う必要は生じるとは思います。ただ、緊急時を除いては夜間は困難を伴いますので、作業は始業時が基本となると思われます。そして、夜間、気温が下がるときに結氷は起こりやすいとは思いますが、海水の飛沫が多く、気温が低い場合は、日中でも甲板が凍るということ生じますので、再度行う必要が生じるとは思います。
     したがいまして、日常作業においても必要があればということになり、日に何度と定めるような種類のことではないと思われますし、上記の講演で示されていますのは、間宮海峡南部でのものでありますから、たとえば、オホーツク海北部やベーリング海等では状況が異なり、季節、天候によっても大きく変動することを考慮に入れると、定量化することは困難であろうと愚考致しております。
     

    hush

  2. hushさん、ご回答ありがとうございます。
    手持ちの小説(といっても架空戦記ですが)に「毎日2回人を出してうんぬん」と書かれていたので気になって質問いたしました。
    やはり気象条件そのほかで変わるので、定型化はされていないと考えたほうがよさそうですね。参考にさせていただきます。
    のけ

  3. 追記
    自分が想定しているのは、装備類も含めた甲板全体の除氷作業です。毎日の日課として、部署ごとではなく艦全体で一斉に行うものなのかなと思って質問させていただきました。
    のけ

  4.  横からですが・・・近現代の艦船についている放射能洗浄のためのスプリンクラー(?)は除氷・融雪には使えるんですか?
     気温が低すぎると逆効果になりそうな気もしますが・・・
    おうる

  5. >4
     雪国では、道路に水道設備があって、雪を融かしていますが、あれを北海道の人が見ると非常に驚くのだそうです。そのようなことをしたら、道が凍ってしまうだろうと思うからです。
     北海道では、冷蔵庫を保温庫と申します。凍らせたくないものを入れておくためです。逆に凍らせておきたいと思ったら、戸外に出せばよいわけです。
     また、道南の一部を除くと瓦屋根がありません。凍って割れてしまうからです。
     それぐらい、北海道の気温は低いわけですが、それでも道東沿岸しか海は凍りません。
     しかし、船舶に着氷するような海域は海氷が漂う海域でもあるのです。そのようなところで水を撒いたら、仰られているように逆効果でしょう。
     
    hush

  6. おうる様
    質問投げた自分が答えるのもなんですが…。
    高緯度地帯における船舶の除氷作業を、街中の雪かきと同レベルでとらえてはいけません。なにしろ波しぶきが凍り付いてできた分厚い氷の塊を、でっかいハンマーでかち割って海に捨てるという重労働なんですよ。たかだかスプリンクラー程度の水を撒いても、氷の厚みが増す結果しか生みません。
    のけ


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