1022 アメリカは、真珠湾で日本軍によって沈められた戦艦を引き上げ修理してまた使用しました。機関室に海水が入った場合、ボイラー、タービンはどの程度修理が効くのでしょうか。三笠は爆沈後引き上げてまた動くようになりました。往復式蒸気機関は構造が単純ですから塩分を洗い流せば、また使えると思いました。しかし高速回転のタービンは修理が可能かどうかわかりません。場合によっては新しい機械を入れたのかもと思います。教えてください。
電気戦艦

  1.  こちらの984で申しましたように、海水に浸かっている間は錆などは発生しませんので、機器自体に損傷がなければ使用可能だと思います。ただ、電気関係は984でフォローしていただいた
    GO船長の仰るように厳しいようです。
     そうした場合、タービン・エレクトリック推進の戦艦カリフォルニアはどうなるんだと思ったのですが、、 http://www.researcheratlarge.com/Ships/BB44/PearlHarborDamageReport/ にある損傷状況を見ると、機関室はもしかしたら浸水していいないかもしれません。実際、同艦は1942年3月25日に浮揚6月7日には真珠湾を出港して西海岸に自力で回航されています。つまり、2ヶ月弱で自力回航可能な状態に漕ぎつけていますので、機関部に大きな損傷はなかった可能性が高いです。
     一方、同様の機関を持つウエスト・ヴァージニアの場合は機関室に浸水していたため、乾燥後の分解組み立てが大変だったと https://www.history.navy.mil/our-collections/photography/wars-and-events/world-war-ii/pearl-harbor-raid/post-attack-ship-salvage/salvage-and-repair-of-uss-west-virginia--december-1941---april-1.html に記されています。
     駆逐艦梨の場合がそうですが、長期間、海中に浸かっていても、機器類は適切に処理されれば、再使用は不可能ではないようです。そして、機関部は、場合によっては船体に匹敵するほどに高価なものですから、再利用できるのならそうしたいとなります。実際、アメリカでさえ、真珠湾で全損となった駆逐艦ダウンズとショーの機関部等を利用して、再建造しているぐらいなのです。
     
    hush

  2.  hush様 早速のご教示ありがとうございました。ある程度短期間のうちに引き上げた場合は、十分な再整備の上再稼働は可能のようですね。仕事的には、泥と油が混じったものを拭い取るという面倒な作業があるのですが。紹介いただいたサイトは大変有益で、写真も初めて見るものばかりで興味深かったです。今後詳しく読もうと思っていますが、さっと見て印象的なところを挙げますと、船体外板部の修理は電気溶接でなされていること、舷側装甲が幅は小さくなってもほとんど艦尾まで及んでいること、水雷防御隔壁が変形はするものの破断されていないこと、などがあります。我が大和が魚雷攻撃により大浸水を被りましたが、修理の時溶接がどの程度使用されたのかは興味あります。
    電気戦艦

  3. >2
    >ある程度短期間のうちに
     駆逐艦梨の場合は1945年に沈没し54年に浮揚され警備艦わかばとして再就役しており、機関は艦本式ですので、9年間、海中に浸かっていても、条件さえ合えば修復できるということになります。ただ、わかばの機関は充分なレストアを受けたにも関わらず、かなりの雑音を発し続けたということですので、影響はあったということだろうと思っています。
    >修理の時溶接がどの程度使用されたのか
     http://www.warbirds.jp/ansqn/logs-prev/B001/B0002900.html
     上記を見ておりますと、高張力鋼の溶接は困難だそうです。大和の被害箇所が通常の鋼材であれば、当然、溶接していたと思っています。
     
    hush

  4.  海水中の鋼材腐食量を調べてみました。約0.1mm/年で、海水面上の気中では0.13mm/年程度ですので、やはり海水中の方が錆びにくいといえます。10年くらいですと、実用上は無理なく使えそうです。ただし海水中でも流れがあると酸素供給が増えるため、腐食は増加します。
     海水中に長期間浸かっていたエンジンが再使用されている例を紹介します。浦安市の郷土博物館には焼玉エンジンが実物展示されています。毎週運転しています(今は?)。1958年製造されたもので、旧江戸川(海の近く)に船ごと放置されました。20年以上たった1997年にエンジンは泥中から引き上げられ、2,3年かけて製造元で修理しました。シリンダは分厚い鋳鉄製ですから、少し内側を削れば新品みたいなものでしょう。
     
    電気戦艦


Back