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戦艦大和の水平装甲板について質問です。 戦艦大和の水平装甲は200mmのNVNCで覆われていて 大和の46センチ砲弾に対して3万m以内なら大丈夫だとされていますが、 46センチ砲威力を見ると、30000mで水平甲鈑貫徹力9.1inchつまり、23.114ミリとなっています。 これは、甲板貫徹力と言うのは別の鉄で換算したものであって、NVNCであれば、修正値を加えて設計上大丈夫ということでしょうか? それとも、上部構造物を砲弾が貫く過程での貫徹力の低下を加味しているのでしょうか? 仮田 |
- この9.1"という数字の出どころは、戦艦大和設計と建造 発行2000年です。
仮田
- 結論から申しますと、換算の必要ありと考えます。(貫徹力の数字9.1inchは対VCもしくは対NVNC、大和の水平装甲はMNCかと。)
9.1inchという数字は海軍砲術史のP.21にも出てきますので割合確かな数字なのかなと思いますが、同書のP.364『徹甲弾の装甲鈑に対する貫徹力の求め方』を読んでも『40cm砲徹甲弾対VC鈑FM曲線図』(FM:撃速修正率)とかの情報はありますが、46cm弾やMNC鈑に関するデータは記載されておりません。つまり装甲鈑はVCもしくはNVNCではないかと推測してしまう訳です。
一方で昭和造船史P.527、P.656の記述が参考になるかと思います。P.527には『水平甲鉄は射距離3万mの場合撃角59゜となりMNC甲鉄にて厚さ200mm〜(略)〜との結果が求められた。』『完成した46cm砲による各甲鉄に対する射撃試験の結果は〜(略)〜190mm 〜(略)〜にて均衡することが判明した 』とあります。P.656の表にも『撃角55.5度の時の200mmMCN(MNCの誤記か?)に対するFM値』があります。
つまり市販本からは、大和型の45口径46cm砲九一式徹甲弾の対大和型水平装甲MNCに対する貫徹力は190mmだろうとの推測になります。(申し添えると昭和造船史(第1巻)は良い本だと思います。)
以上、ご参考まで。
太助
- 堤のおっさんよ、いい加減その老害っぷりに気づけよ
通りすがり
- 1.上部構造物を考慮した結果だと思われます。
2.2: 完成した砲を用いての試験の結果、水平は10mm、舷側は20mm薄くして良いという結果になったそうです。
出典 1、2とも、世界の艦船1987年4月号 牧野茂著「日米戦艦比較論」等です。
蛇足ながら、英国では実射試験の結果、防御の不足が判明し、その結果、主砲の門数を減らして防御を強化し、竣工は1年近く遅れたそうです。
UK
- >4.
舷側装甲は上部構造物と無関係では?
蛇足は何のフネのハナシですか?
駄レス国務長官
- 甲板、舷側板等の水平防御装甲より上部にある船体構造部のことです。
キングジョージ5世級のことです。
UK
- 質問者様
「戦艦大和 設計と建造」第1部 P47の「防御要領図」に「中甲板200MNC」とあるように当該部には「MNC甲鉄」が用いられてます
「MNC甲鉄」は同P50に解説とNVNC甲鉄との比較があり衝撃値で16.6%増となってます
なので9.1インチ=231o、231÷1.166=198o<200oという計算が成り立ちます
(実弾射撃の結果は>2.にあるように190oで均衡)
駄レス国務長官
- >6.
大和の上部舷側甲鉄は外部に露出してませんでしたっけ?
駄レス国務長官
- 世界の艦船1976年4月号に日本製鋼技術部長の鈴木義彦氏の「装甲板(正確には、木反・は・金反・)の話」では、VH(大和の上部舷側装甲)、NVNC(同下部舷側装甲)、MNC(同水平装甲)、厚さ180mm以上と180〜75mmの場合のTS(Kg/平方mm)、伸び(%)、シャルピー値(ft−lbs)を記されていらっしゃいますが、これによるとTSは各々75と80、75と80、75と85であり、同じく伸びは>20と19、>20と>19、>28と>20であり、シャルピーは35と33、35と35、40と35です。また、CNC(同比較的薄い水平装甲)は、75mmから25mmまで、TSは85、>19、>30です。但し、この記事に記されている原点には当たっていませんが、MNCの180mm以上の場合の伸びとシャルピーは、180未満の数値、特にTSと比較しても判るように何か誤記あるいは誤植のようです。厚くなってTSが大きく低下しているのに、逆に伸びやシャルピーが大きくなるとは考えられません。他種の装甲も、そう大きな変化はありません。従って、MNCが特に優れているとは思えませんが。
また、シャルピーだけを比較しても意味がありません。
US
- >9.
MNC甲鉄はNVNC甲鉄よりも粘性大とすべく開発されたNi-Cr-Mo鋼ですから伸びが20%以上に対して28%以上と成っていても別におかしくはないと思いますけど
>7.の引用元にも出てますので誤植ってワケでもないでしょう
抗張力が大でも伸びが小な材料は普通に存在しませんかね
駄レス国務長官
- ×抗張力が大でも伸びが小な材料は普通に存在しませんかね
○抗張力が小でも伸びが大な材料は普通に存在しませんかね
駄レス国務長官
- 実際にMNC甲鉄はNVNC甲鉄と比べて炭素量が約7掛けですから抗張力が小でも伸びが大となるのは自然です
> MNCが特に優れているとは思えませんが。
そう仰られても実際に採用されてますのでね
> シャルピーだけを比較しても意味がありません。
成分がどーたら抗張力がこーたら伸びがフンダララと言うよりも甲鉄に求められる特質を端的に示せる、つまりハナシが短くて済みますのでね
駄レス国務長官
- >>9の原典は添付の『第6表 甲板裏面の機械的性質』ですかね?
坑張力の単位などは誤記の可能性ありですので(内容が内容だけに)査読も受けていないかもしれませんが、MNC甲板は著しく靭性が大で極めて強力であったとの記述ありです。
鉄と鋼 第53年(1967) 第9号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tetsutohagane1955/53/9/53_9_1119/_pdf
『第6表 甲板裏面の機械的性質』ですが、衝撃値の最低が、
・NVNC(>180mm) :>30
・MNC(>180mm) :>35
とあり、これから
35÷30=1.1666666666・・・
と計算され、>>7で駄レス国務長官さんの仰る数値とも整合がとれます。
つまり>>12の見解は妥当かと思われます。
太助
- >13.
ご紹介の論文著者佐々川清元海軍技術少将は松本原本(昭和27年)に情報提供しておりP81に「説明資料は佐々川博士からいただいたものである」とあります
また海軍砲術史(昭和50年)の第1編第4章も佐々川氏の記述ですからソースは一緒ってコトですね
世艦記事は上記いずれかの引用でしょう
駄レス国務長官
- MNCでしたか、勘違いしておりました。
様々な資料の情報も頂けて、有難いです。
機械工学を学んでいるもので、大変興味のわくお話をありがとうございます。
仮田