1030  蒸気タービンが艦船の動力に採用されてもしばらくの間は、減速歯車装置が実用化されなかったため、スクリューはタービンに直結されていました。ここで興味深い事例があります。ユトランド沖海戦で沈没したドイツの軽巡ヴィースバーデンには、フェッテインガー式流体接ぎ手がスクリュー回転軸に接続されていました。この流体接ぎ手の設置目的はなんだったんでしょうか。姉妹艦にも付いていないし、何かの試験目的だとは思うのですが、どなたかお分かりになっているなら教えてください。
 なお、駆逐艦3隻にも備えられていました(高木氏の蒸気推進研究所による)。この質問は、ブログ 「三脚檣>ガンルーム>ヴィースバーデンの時計」 がきっかけとなっています
電気戦艦 

  1. タービンのブレードは迎角一定のため逆転不能ですので前進用と別に後進タービンもしくは後進段落が必要です
    フェッテインガー式流体接手は入力(回転方向&回転数)一定でも出力(回転方向&回転数)可変なので前記後進タービンもしくは後進段落を省略可能です

    (所長が解説を忘れちゃったようで相済みません)
    駄レス国務長官

  2.  駄レス国務長官様 ご回答ありがとうございました。流体接ぎ手で逆転可能ということは、考えていなかったので、改めてフェッテインガーが1909年に英国で取得した特許の明細書を見ました。結構複雑ですが、接ぎ手内部の流れの通路を切り替えることでそれができることになっていました。回転速度の調整はまだよくはわかりませんが、もっと調べてみます。
     この方式が艦船用としては続かなかったのは、いろいろ問題があったのかと思います。

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  3. なお老爺心より付言しますとフェッテインガー式流体接手は2軸中の片軸のみで他軸は減速歯車式巡航タービンを備えたパーシャル・ギヤード・タービンです(後進時は片軸のみ運転)
    またヂャットランド海戦ではフッド隊(インヴィンシブル)の初弾で主蒸気管を破壊され瞬時に全蒸気を失い敵前に停止するのやむなきに至ったモノです
    駄レス国務長官

  4. 駄レス国務長官様 詳しい情報ありがとうございました。このヴィースバーデンはかなり実験艦という要素が強かったのですね。
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  5.  駄レス国務長官様 この船の主蒸気官は合わせて一本ということでしょうか。二軸推進艦ですからボイラを二組に分けて、それぞれに右舷及び左舷の主蒸気官があると思っていたのですが。
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  6. 2軸だから独立2系統4軸だから独立4系統というコトでは運用にフレキシビリティがありませんので遮断弁(個別)と交通弁(左右両舷)により任意の主缶と任意の主機を接続可能です
    また被害時は被害箇所を系統から切り離し被害局限とともに接続を適宜切り替えて動力源の確保を図ります
    該艦は4缶室で前から油焚両面2缶・石炭焚片面4缶・同4缶・同2缶
    主蒸気管は左右1本ずつでそれぞれ油焚両面1缶・石炭焚片面4缶(2室の片方)・同1缶に接続と推定されます
    主蒸気管2本は機械室前部で交通管により左右接続し交通弁を開けば左右交通し閉じれば左右独立となります
    独の中型艦以下は主蒸気管2本が艦中心線近くに並行配設されており(英艦は舷側寄りに離れて配設)被弾1発で両方破損となる可能性が大です
    また最後位缶室と機械室の境目あたりに被弾しても同様の結果を招きます(命中したのは12インチで相応の被害半径)
    駄レス国務長官

  7. 駄レス国務長官様 詳しい説明ありがとうございました。ついでにもう少し質問させてください。アイオワ級戦艦は機関部のシフト配置が有名で、艦首よりから B1-M1-B2-M2-B3-M3-B4-M4 となっています。例えばB1からの蒸気はM2, M3, M4 にも通じるようになっていたのでしょうか。
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  8. 世艦アーカイブ「アイオワ級戦艦」によれば前群(翼軸)B1-M1-B2-M2と後群(内軸)B3-M3-B4-M4の2群分離だそーです
    駄レス国務長官

  9. 駄レス国務長官様 よくわかりました。ありがとうございました。

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