1064 いつもご教授頂き有り難うございます。

「日本戦艦は主砲の分火射撃はできない」と「太平洋戦史シリーズ65 決定版・金剛型戦艦」(学習研究社)にはあります。

大東亜戦争当時、日本戦艦は前部・後部にそれぞれ独立した射撃指揮所を持っていますが、なぜ分火射撃ができないのでしょうか?
言い換えれば、「主である前部射撃指揮所が問題なく機能している時、後部射撃指揮所は何をしているのか」となるかと思うのですが(後部射撃指揮所は単なる予備装備なのでしょうか?)。

宜しくお願いいたします。
Ranchan

  1.  http://navgunschl.sakura.ne.jp/koudou/arekore/wadai_02_12.html#FC_02_1
     こちらの射撃指揮所に「通常主用・副用 としての「前部」と「後部」の2箇所があり、 更には予備用があります。特に分火の場合には、主・副の両方を同時に使用する必要があります」とありますので、分火できるはずです。
     該当号をどこに置いたのか分からなくなっていますので、確認のしようもないのですが、なにかの勘違いではないでしょうか。
     
    hush

  2. ご回答有り難うございます。
    「太平洋戦史シリーズ65 決定版・金剛型戦艦」(学習研究社)の該当箇所を引用してみます。

    (ここより引用)
    「なお、後部指揮所への方位盤の搭載によって、前後部射撃指揮所が別個に前後部の主砲塔群を指揮して分火射撃ができるようになったとする資料があるが、昭和一三年年度版の『砲術年報』に『方位盤による分火射撃を実施できる戦艦はない』とあるように、あくまで後部指揮所の射撃指揮所は前部射撃指揮所の予備であった。艦隊側は分火射撃実現のために機構の改正を要望したが、『捷号作戦』時の『金剛』と『榛名』の戦闘詳報に『方位盤による分火はできない』旨が記載されているので、就役中に改善はされなかったようだ。」(引用終わり、P126より)

    素直に読めば「後部射撃指揮所は前部射撃指揮所の予備だから、前部射撃指揮所が機能している時は後部射撃指揮所は機能していない、または前部射撃指揮所のサポートしかできない(後部射撃指揮所は独立して機能することはできない)」となるのかなぁ・・・と思います。

    自分でも「アジ歴」で捷号作戦時の「金剛」の戦闘詳報を読もうとしましたが、大部分が真っ黒に潰れていて読めませんでした・・・。
    Ranchan

  3. >大部分が真っ黒に潰れていて
     いや、普通に読めましたが、スマートフォン等では見にくいのかもしれませんね。
     それはともかくとして、榛名、金剛の戦闘詳報を読んでいても、分火できないというのを見つけられずにいます。ただ、「軍艦金剛捷号戦闘詳報(C08030567200)」の10ページには以下の記載があります。
     (三)主砲後部予備方位盤に高角測距儀を装備するを要す
     砲塔測距儀は対空射撃に於ては殆んど利用の道なきを以て後部砲群を分火する場合は遠距離対空射撃の効果は殆んど期待し得られざる現状なり(原文片仮名、一部の漢字を変更)
     ここに「後部砲群を分火する場合」とあるのは主砲だと思いますので、御紹介いただいた記述に首をひねっております。
     なお、上記の記述の続きに「十米測距儀の予備をも兼ね後部には可及的長基線(八米程度)の測距儀装備を必要と認む」とありますので、後部射撃指揮所の測距儀はかなり小さいものだったようで(多分、自明の事実なのだろうと思っていますが、艦名が専門ですので…)、分火時の射撃指揮には能力不足だったのだろうなと思っています。このあたりが、分火不能の根拠なのかもしれませんが。
     
    hush

  4. ご回答有り難うございます。
    「決定版・金剛型戦艦」に記述されていた「分火できない」の意味を、下記のどれかだろうと思っていました。

    (1):機械的に後部射撃指揮所は前部射撃指揮所に隷属しており、前部射撃指揮所が機能している間は独立して機能できない。

    (2):全火力を1目標に傾注しても足りないくらいなのだから、分火しようと思えば機械的には可能だが分火しても実用性がない。従って前部・後部両射撃指揮所が機能している場合でも分火射撃は実施しない。

    (3):分火射撃をする機会が少ないから、そもそも戦闘時に後部射撃指揮所は人員も配置せず、使用していない。後部射撃指揮所はあくまで前部射撃指揮所が機能発揮できない場合に限り使用されるものである。

    個人的には(2)なんだろうか・・・と思っていましたが、そもそも「分火射撃はできない」という記述自身がおかしいのかと思えてきました。
    Ranchan

  5. >4
     鄭重な御礼をいただき、恐縮いたしております。
     この件については、つぶやき始めた方がおられますので、そちらで解説していただけるものと思っております。
     
    hush

  6. 追記
    私個人が「方位盤による分火射撃」一文中の「方位盤による」の一言の重みを理解していなかったようです。
    (大東亜戦争中の時期なら、「方位盤によらない射撃」は方位盤が機能発揮できない緊急時ぐらいしか実施されないだろうから、「『方位盤による分火射撃はできない』=『(まともな)分火射撃はできない』」と考えていました。)

    よく考えたら、「各主砲塔の直接照準による分火射撃」という手段もありましたね。
    Ranchan

  7. >4.
    (1)(2)(3)とも水上戦闘を想定したモノと思われますけど捷号作戦時は主砲も対空戦闘に参加してますので四方八方より殺到する敵機に対し前部後部砲塔群が別働しないと拙いこともあるんじゃないですかね
    「榛名」戦闘詳報には当該記事が見つけられませんでしたが「金剛」戦闘詳報についてはhush先生の書かれた通りです
    何はともあれ砲術の専門家によるご説明を待ちたいと思います
    駄レス国務長官

  8. >5
    続報
    http://navgunschl.sblo.jp/article/187788116.html

    ポンコツニート

  9. ただ今「つぶやき」を拝読し勉強させて頂いております。
    戦艦の分火の影にあれだけ大きな歴史やものや組織が隠れているとは思いもよりませんでしたので、ただただ圧倒されております。

    いろいろ教えて頂きまして有り難うございました。
    Ranchan


Back