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電気溶接率についての質問です 戦艦ビスマルクの船体の溶接率は、80%以上とか、90%に達していた、と言われます。この溶接率についてはは何か計算の方式が確立していたのでしょうか。そもそもの設計が、リベットと溶接で違うので単純に比較できないような気がします。 電気戦艦 |
- 熔接継手長さの全体に占める百分率じゃないでしょうか(残りがリベット継手)
継手部分が単板強度の何パーセントかを示す 継手効率 とは違う概念です
ちなみにリベット継手は計算で求まりますが熔接継手は上手い下手で全然強度が違ってきます
駄レス国務長官
- 程度にもよるでしょうが、上手い下手で全然強度が違うなら、技術とは言えませんよ。戦前の溶接とリベットは一長一短がありますが、一般的には溶接が優れていました。
戦後しばらくの間、そして現在も?溶接で一番怖いのは手抜きでしょうね。私は、大した時化でもないのに、竣工後そう年月も経過していないのに、突然船体が割けて沈没したボリバー丸やカリフォルニア丸は、込め金が原因だと思っています。
まあ、リベット接合でも手抜きはあるよです。日航機事故も、根源は修理の手抜きですし。
UK
- >2.
「込め金」って初めて聞きましたけど説明願います
駄レス国務長官
- 溶接の場合、良好な強度を得られるように、接合する金属板の端面を予め加工して、例えばU型の隙間あるいは溝を形成しておきます。そして、溶接棒を溶かしてその隙間を埋め込むことにより、母材と溶接棒の原料が強固に接合されます。この場合、作業を手短に行うために、作業の途中で隙間に何か異物を詰め込むことがあります。この場合には、接合部に異物が存在するため、強度が足りなくなり、脆性破壊を起こす原因となります。
以上の他、予め接合部に所定の加熱を施したり、窒素等の不活性ガス中で作業したり、特殊な物質で覆っていたりすることもなされます。しかし、これらの作業に手抜きやミスがあっても、一旦溶接をしてしまえば一見しただけではわかりません。
現在では、それらの手抜きやミスを防ぐため、種々の対策が講じられています。
UK
- 業界用語ですね
駄レス国務長官
- >1.
おっしゃる通りだと思います。ただ気になったのは、本来2列リベットも1列リベットも区別しないで1本と考えていいのか、ということでした。まあ、区別しないほうが簡単かとも思います。
私の次の疑問は、この溶接率は、設計者がきちんと計算して出したものなのか、のちに熱心な軍艦ファンの人が自ら図面を見て計算したのか、どうなのかということです。数値がばらついているので、後者かと思うのですが。
>2,4.
「込め金」は初めて聞きました。同じ意味で私が聞いたのは「あんこ」です。おまんじゅうのあんこです。このような隠語が公然とあったということは、あまり「造船大国」などと自慢はできません。当時会社が溶接作業を専門の下請に任せていたと聞きますが、本当に本社は知らなかったのかどうか疑問です。
ジャンボ機の修理では、ボーイングが無能力だったのか、わざと手を抜いたのかは分かりません。日航の技術部門も弱体だったのでしょう。圧力タンクの薄板修理では、両側から当て板を当て、リベットでしめないといけないのですが、B社はサボって一枚だけにしましたから、変な曲げモーメントがかかり、破損に至ったのでしょう。
電気戦艦
- 1 4を一部修正 「窒素」を「アルゴン」に、「不活性ガス」を希ガスとします。
2 日航機の場合、マスコミによる事故の原因の解説では、補修用の材料板の切断ミスで、本来2列にすべきリベットを1列にしかできず、またそのままだったことが後日の破壊の原因となったそうです。あの当時の民間機の安全率は、確か2.5でした。従って、私の材料や材料の接続に関する知識では、如何なる補助的なそして応急的な追加措置をしても、一定期間内にやり直させるべきでした。いわゆる、リマークを付すべきでした。私なら、ボーイングの技術陣がどのように言ったとしても絶対にそうさせたでしょう。この場合には、リベット列が不足でも大丈夫と保証したボーイングの技術陣、それをそのままOKとした日航と我国航空関連の官庁の保険部門の技術陣の技術力、素質に問題があったと思います。
3 ビスマルクの溶接率は船体の重量や接合個所の強度や被害時の耐水性に大きく影響するため、計画時に大まかに決定されたと思います。但し、詳細設計や生産設計時に多少の変更が加えられることはあり得ます。
4 近年ニュースになった事例では、東日本旅客鉄道の車両の製造に関して川崎重工でなされた乱雑な製造を挙げられます。熟練の班長か組長は、製造を若手にやらせたまま、チェックしなかった。受け取る側も、乗客の命に係わる部分なのに、ちゃんと設計図通り製造されているか否かを検査しなかった。但し、両者の上層部は、手抜きには無関係だったと思います。
UK
- >7 「窒素」を「アルゴン」に、「不活性ガス」を希ガスと〜
使われるシールドガス種に「二酸化炭素」を追加します。業界により異なりますが、日本の造船所で圧倒的に使われているのはCO2ですので。
>込め金、あんこ
「置き棒」とも言うようです。いろんな表現があったんですね。
本論と関係ない話で申し訳ありません。
電弧棒
- ビスマルクの非溶接率10パーセントの意味するもの
wiki(英文)によればビスマルクの船体溶接率は90パーセントとなっています。これは大体正しいとすれば、残り10パーセントはリベット接合ということです。どこがリベットになっていたかは興味有ります。すぐにはわかりませんが商船からの類推が役に立つかと思います。
戦後造船会社が大型の本格的な商船を作り始めて時、溶接継手線の位置は、一番力のかからないところから採用し(例えば舷側の中央あたり)、経験積みながら少しずつきびしい場所にも採用を広げていきました。最後に残ったのがガンネル部(舷縁部、gunnel)です。ここは舷側外板の最上部と上甲板が直交する場所です。それまでこの場所には大型で強力なアングル(形鋼)を置き、二者をリベットで締めました。それで安心感があったようですが、リベットの職人がいなくなったので、全溶接になったと聞きました(川重の例)。
軍艦と商船では構造が多少は違いますが、一番応力条件が厳しい場所にリベットが残されたと思います。
電気戦艦
- 先ほどのアングル(ストリンガーアングル、ガンネルアングル)は昭和40年代前半もまだ採用されていたようです。
世界の艦船 2020年6月号 104ページの写真をみてください。建造中のドイツH39型戦艦(ビスマルクも同じようなものでしょう)の艦底です。艦底は全て電気溶接で組み立てられていることがわかります。細長い鋼板は、鋼板相互の位置を確保するための仮留め用のものです。日本海軍はほぼ同時期大和級を作っていましたが、20年前に長門や陸奥を作るのと同じ技術(リベット接合)で作っていました。なんとなくがっかりしますね。
電気戦艦