211  日本陸軍の9サンチ青銅臼砲について質問します。
 この砲は、「臼砲」という名前がついているわりには砲身がかなり長いように見えます。
 また、日露戦争時に「防御を施した村落程度の陣地の攻撃に使うにも威力が不足している」と評価されていますが、臼砲ならばそれほど砲としての威力がなくても、曲射さえできればそれなりに役に立つのではないかと思います。
 実際にはこの砲の設計思想や日露戦争当時の使用法はどのようなものだったのでしょうか?

大名死亡

  1.  当時の臼砲は頑健な構築物に破甲榴弾を曲射弾道で打ち込む火砲です。つまり威力が第一の、ある種の攻城砲なんです。
     日露戦争時の9センチ臼砲も主要弾は鋼製破甲榴弾で、他に榴散弾が用意されていましたが、日本軍全体がそうであったように鋼製弾や榴散弾の製造が追いつかず、臼砲も鉄製の破甲榴弾が支給されていたようです。
     以上から、元々小口径なので対物威力は限られたものでしかないのに、弾殻が弱体で貫徹力に欠けるか、弾殻強度を補って肉厚になって炸薬量が減ってるであろう鉄製砲弾を用いた結果、本来用途である構築物への威力が貧弱になってしまったということでは無いでしょうか。

     また普通の榴弾はこの時代には殆ど無かったし、榴弾や榴散弾で人馬や軽構築物を破壊して歩兵戦闘とコンビネーションを行うような戦法も無かったので(それをするのは野砲の仕事です)曲射の活用手段も無かったのです。
     また砲身ですが、モーターですから90mm迫撃砲だと思えば、その長さは普通だと思えます。また破甲榴弾を打ち込むのですから、小口径なので速度で威力を稼ぐしかないという点を考えれば、ごく自然なことではないかと思います。
    SUDO


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